下水管破裂の原因
「次の話題は近年急増中の下水管破裂の件です」
画面が、何かの録画映像に切り替わる。
トンネルの中のようだ。
目の前でこちらが照射する光に反射しキラキラ光るものが動いている。
「これは下水管の中を特殊なロボットカメラが捉えている映像です」
光る塊から、何か手のようなものがゆっくり伸びた。
次の瞬間、画面は真っ暗になった。
「今のは?」
O笠原の質問は、今日もむなしくスルーされていく。
「今日は都市工学が専門のH島大学理工学部教授のA道先生にリモート参加いただきました」
「こんばんは、A道先生。こんな時間にありがとうございます」
「こんばんは」
「近年急増している下水管破裂について……でしたね」
「やはり老朽化のせいでしょうか?」
「いや、さっき、何か動いとったやん」
当然スルーだ。
「老朽化も深刻ですが、近年は別の問題があります」
「まだ何かあるんですか?」
「地球温暖化で下水管が高温多湿になってることです」
「なるほど」
「高温多湿になることで、スライムが自然発生します」
「なるほど、それは問題ですね」
「スライムとは、どのような生き物なのでしょうか?」
「はい。スライムは、非常に生命力が強く、
配管・コンクリート・鉄筋・時には重機まで捕食します」
「下水の中では、さすがにお腹を壊すのでは?」
「いえ、何を食べても死にません」
「それは面倒ですね。ご説明ありがとうございました」
「え? 対策とか聞くんとちゃうんかい」
番組は何事もなかったかのように進行する。
「この対応のため、政府は『冒険者』の緊急派遣を決定しました」
「おかしなこと言うとるで……」
「しかし、日本には冒険者ギルドはありません」
「そら、そうやん」
「そこで政府は既存の募集システムを採用する運びとなりました」
「コメディ党でも、党員募集に使われている『闇バイト』システムです」
「あかんやん、ってゆうか、党員募集にも使こうとったんかい」
「画面右側のQRコードからカンタンに『闇バイト』に応募できます」
「募集すな!」
「応募資格はございません。0歳からでも応募可能です。
誰でも面接なく即採用とのことです」
「面接くらいせぇや!」
「報酬は成功報酬のみで、他はすべて自己責任とのことです」
「ブラック企業か!」
「現在、募集が殺到しており、アクセスが集中しています。
当番組が放映されている28時台の応募をお勧めします」
「人気あるんかい!」
「早く事態が鎮静化するといいですね」
「絶対別な問題が起こるって……」
「それでは今日のニュースを終わります」
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