第五話 ⑯
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ナックルが庭に落ちたスマートフォンを探し回収して少し、サンドリヨン邸から出てきたリンダとマリアの姿を見た。
確かにリンダの言う通り、マリアの右腕は溶解している。
だが、その溶解は既に止まっているようだ。
「お? 来たか」
ナックルは左手に持ったスマートフォンごとリンダ達へ軽く手を振る。
その後方、サンドリヨン邸の正門では、ガヤガヤと多くの野次馬が集まっていた。
辺り一帯へと響き渡った破砕音が成りを潜め、様子を見に来たのだろう。
「ナックル。すごい格好ね。何それ? 右脚大き過ぎじゃない?」
「このアンバランスさが良いのさ」
リンダは何処か吹っ切れた顔をしていた。
「ナックル。ルカード様は三階で寝ているわ」
意外な事にリンダは自分からルカードの居場所をナックルへと伝えた。
ナックルがルカードを殺すかもしれないと分かっているのに。
「そいつの処遇は後で来るライフレス達任せるよ。俺はさっさと何処かに落ちた右腕を回収しなきゃいけないんだ」
「生えてこないの?」
「トカゲじゃないんだから」
やれやれとナックルは首を振る。リンダは自分をビックリ超人とでも思っているのだろうか。
『ナックル。軽口は良いからさっさとこの場から逃げな。野次馬の声がこっちにまで届いているよ』
「はいはい」
左手のスマートフォンからフィーネの機嫌が悪そうな声が聞こえる。彼女からすればしなくても良い苦労をしたのだから当たり前だ。
ナックルはリンダへとスマートフォンを渡し、左腕を大きく広げた。
未だ右脚は地面を焦がすほどの熱を持っている。だが、一回くらいなら余裕があるだろう。
「リンダ、マリア、捕まれ」
「分かったわ」
「承りました」
ナックルを正面からリンダとマリアが腕をいっぱいに使って抱きつき、その上からナックルが二人を左腕で抱き締めた。
「ちゃんと捕まれよ。今日最後のジャンプだ」
ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
野次馬を引っくり返すほどの強大な爆発音を立ててナックル達の体は上方へと飛び去った。




