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神隠しって、二度もあるものなんでしょうか?  作者: 雪柑ジュレ


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4/5

神隠しは突然に③

誤字・脱字のチェックをしていますが、チェック漏れがあったらご容赦ください。

連続投稿してます!

透子が言いかけたところで耳をつんざくような咆哮が大気を震わせた。

とっさに二人は手を繋いで周囲を警戒する。嫌な予感が的中しそうで震えた。


大きな木をなぎ倒す音とけたたましい咆哮がどんどんこちらに近づいてくる。

きっと大きな獣だ。移動する速度は遅いようだが近づく足音に合わせて大地も

震動している。


「と、透子ちゃん! 行こう、ここにいたらヤバいかも!」

「そ、そうだね!! ぜったいデッカイ奴だと思う!!!」

「私もそう思う!!」


二人は手をギュっと繋いだまま身を翻し走り出した。出口なんてわからない。

とにかくこの恐ろしい咆哮が聞こえないくらい遠くに行かなければ!

通学の靴をスニーカーにしていてよかった、と瑞希は思った。

可愛さで革靴なんて履いてたらこんなに走れない、すぐ脱げるからね!


二人は行きつくままに闇雲に走る。時々後ろを振り返りながら、大きな木がミシリと

音を立てて倒れていき木っ端が舞う。こんな映画みたいなシーン、体験したくなかった。

少しづつ距離が迫ってきているのを感じて涙がこぼれそうになる。


「危ない!!」


前を走っていた透子が急に立ち止まって強く瑞希の腕を引く。勢いのあまり足が滑り

ドスンと尻もちをついた。舌、噛まなくてよかった・・・!

お尻が痛い!・・・胃にクる。


「う、うそ・・・・」


道というものなんてなかったが、急に地面が途切れ、崖になっていた。

ここはとんでもなく高い位置にあったんだ、と絶望が声に出る。

「崖って、お約束すぎじゃん!!」

「ほんとに・・・」

そう言って透子は頭を掻き毟った。万事休すか、崖に沿って走るしかない。

逃げ場なんて横しかないんだから。それか運を天にまかせて飛ぶしかないって事。

飛ぶことなんてできない。人間は飛べないんだから!!!


ひと際大きな音を立てて大樹が左右になぎ倒される。土煙がもうもうと舞い視界を奪う。

土煙の中に、赤く光る二つの、ーー眼。


「てぃ、Tレックスだ・・・!!!!!」

「キンググリズリーだ!!!!!」


二人の絶叫が被る。

透子の頭の中はあの有名な恐竜映画でいっぱいだったようで、追われている途中から

Tレックスで確定してたらしい、けどあれは熊だ。信じられない大きさ。

RPGゲームでいったら、キンググリズリーで間違いない。かなりレベル上げないと倒せない

グリズリーの進化系だ。巨大な獣を絶望的な顔で見上げながら、瑞希も透子も頭の中が

恐怖でパニック状態だった。正式な名前なんてどうでもいい。

太く、どでかい腕で邪魔な樹々を薙ぎ払う。払った勢いの風が瑞希と透子を震え上がらせる。

動けない二人は抱き合いながら腰を抜かしたように座り込んだ。


「・・・しんじゃう」

「こわい、お母さん!!」


透子が自分の母を呼びながらギュッと目をつぶる。

そうだ。透子には両親がいるんだ。だから、こんな所で死んだらだめなんだ。

震えながらそっと透子を自分の背に隠して、さっき熊が腕を払った時に勢いで飛んだ

こぶし大の石を掴む。背後で透子が、お父さん、お母さんと泣きじゃくっている。


やるんだ!


熊から目を離しちゃ、だめ。

わたしに意識を集中させる、映画みたいにできるかな?

何度か深呼吸する。震えて上手く呼吸ができないけど、覚悟を決めた。


勢いよく立ち上がり、

「キンググリズリー!! あっちに行け!!!」

振りかぶって思い切り掴んだ石を投げた。

鼻を狙ったのに高さが全然足りなくてデカい腹にあたって不快な鳴き声をあげた。

一瞬、時が止まったように熊の動きが鈍る。

と、思った瞬間、大きな咆哮を上げて瑞希に向かって走り出した。


狙いは瑞希になった。透子がTレックスなんて言ったから恐竜映画のシーンを思い出した

透子から素早く離れると咆哮をあげながら熊は瑞希を狂ったように追ってきた。

後ろから透子の悲痛な声が聞こえる。

でも、できるだけ透子から離れるんだ。私のせいで巻き込まれてこんな所にきた透子。

本当の事を知っても、嫌がるどころか笑顔で寄り添ってくれた優しい人。


崖に沿って無我夢中で走る。学校のリレーだってこんな必死に走った事ない。

足が絡まりそうで、絡まったら確実に転んで、喰われる。

どんどん距離が狭まって、もう、限界だった。



お読みいただきありがとうございます(^▽^)/

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