表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら俺が神になっていた件――なお教義はだいたい後世の解釈  作者: 後世の解釈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/48

エピローグ

 夕方の社務所には、俺と榊原さんだけが残っていた。


 爺さんは帰った。田村さんも、奥さんに呼ばれて帰った。


 箱は社の裏にある。御神体ではない。今日も箱だった。


 榊原さんは、書類を閉じた。


「今日はここまでです」


「はい」


「明日も掃除です」


「はい」


「水を」


「ワインにしません」


 いつもの確認だった。


 俺は頷いた。


 それから、湯呑みに水を少し注いだ。


 榊原さんの目が細くなる。


「ナザレさん」


「はい」


「だめです」


「はい」


「分かっていて、やっていますね」


「はい」


「許可しません」


「はい」


「なら、やめてください」


「それはできません」


 榊原さんは黙った。


「なぜですか」


「俺が、渡したいからです」


「理由になっていません」


「はい」


 湯呑みの水が、静かに色を変えた。


 夕方の光を少し閉じ込めたような、淡い葡萄の色だった。


 榊原さんは、それを見つめていた。


「受け取りません」


「はい」


「受け取るべきではありません」


「はい」


「でも」


 榊原さんは、湯呑みを受け取った。


「飲み物は、飲むものです」


「はい」


 彼女は少しだけ飲んだ。


「おいしいです」


「よかった」


「腹が立つくらいに」


「すみません」


「怒っています」


「はい」


「でも、ありがとうございます」


 榊原さんは、残りを飲み干した。


 飲み物は飲む。残して、記念品にしない。


 湯呑みはすぐに洗った。水で洗った。水は水のままだった。


「これで終わりです」


「はい」


「明日から、また掃除です」


「はい」


 社務所の外は、もう薄暗かった。


 俺たちは何も記録しなかった。


 明日から、また掃除をする。


 水は水のままにする。


 ただ一杯だけは、許されたようだ。


ここまでお疲れ様でした。長い話にお付き合いくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ