205.「何よ、こんな時間に」
「郁ちゃん」
みーよの小声に、すぐ反応したあたし。
一瞬で覚醒した。
みーよが教会全体に張り巡らせている結界に、反応があったのね?
まだ、みんな寝静まっている。
起こすべき?
「小さい人が一人。敵じゃないかも?」
「ん」
寝巻代わりのポンチョ姿のまま、ソロッと起きて、サンダルだけ履いて。
机の上の、腰袋と一緒にしてあるアギト・ナイフを抜いて。
そっと、部屋を出た。
気配をさぐる。
外、だね。
住居棟の玄関をそっと開けると、辺りは真っ暗。
でも、いる。
閉ざされた門の外だね。
忍び歩きで近づき、門越しに声を掛ける。
「誰?」
「デン」
急に気が抜けた。
門を開けてやる。
「何よ、こんな時間に」
「ギルド。緊急招集。すぐ来て」
冒険者ギルドは、よほどじゃないと、こんなことしない。
なんか、あったね。
「分かった」
余計な言葉はイラナイ。
デンも、何も言わずに立ち去った。
部屋に戻ると、ケイトがすでに起きていた。
出発の支度をしていると、女の子たちも起きだしてきちゃった。
「緊急招集なの」
そう言って、手早く身支度する。
シュランがドア越しに声を掛けてくる。
「行ける?」
「急ぎます」
じゃあ、待つか。
その間に、アリちゃんが昨日の残りのパンをくれた。
適当に齧っている間に、シュランがやってくる。
アリちゃんがシュランにもパンを持たせて。
眠そうなカンタに後を任せて、あたしらはギルドに向かう。




