3章 実戦!見せるは個の力2
待ちに待った練習試合がやってきた。
あれからソリスはキャンチングの練習を死ぬほどやったしアストラも左打席のフリーバッティングで当たるようになっていた。
チャールズも守備は無理だが持前のパワーで当たれば強い打球を飛ばせるほどだ。
ロビンとランザスの二遊間の技術は目を見張るものがある。
先発投手はルイス。
右のオーバースローで直球は140キロを超える本格派だ。
「緊張しますね!しますよね?しませんか?」
ルイスは練習試合だというのにガッチリ緊張している。
「いや、大丈夫だよ。負けて何かペナルティがあるわけじゃないんだし。普段通りやろう。」
逆にソリスはいたって冷静だ。
「僕もソリス先輩に受けてもらいたいですぅ。」
「ルチアも後半投げる予定だからね、ちゃんと準備しておいてね。」
練習試合なので全員出場する予定だ。
「お、今日の対戦相手が来たな。挨拶してくるわ。」
社長が二コリとも笑わずいつも通りの態度で挨拶に行く。
それを見るたびソリスはいつも思う。
なぜあれで仕事を取ってこれるのだろうか。
「今日はよろしく頼む。」
「ああ、フローラちゃん、よろしくね。」
相手はビアンコ商店街の野球好きチームだ。
なんだかんだで社長は未だにこの街ではアイドル的扱いなのだろう。
「社長、ところでチーム名はどうするんですか?」
「ああ、もう決まっているさ。『サムライニンジャ・チョンマゲズ』だ。恰好いいだろう?」
「・・・え?」
一同呆然としている。
そういえば社長は大の田中ファンでその故郷である異世界の『ニッポン文化』も大好きであった。
「でも会社と全然関係ないですし、誰一人ちょんまげの人いませんよ?」
なんかたまに忍者っぽいしゃべり方の人はいるような気がするが。
「せっかく会社の宣伝も兼ねてるんだから社名とリンクさせたほうがよくないか?」
「ぐぬぬ・・・」
正論を言われてぐぅの音も出ない。
社長といえども会社を私物化することはできないのだ。
対戦相手を待たせるわけにもいかず結局アリカの提案した『ビアンコ・ハッピーズ』に落ち着いた。




