2章 集えダイヤの戦士たち7
「さて、だいたいポジションは決まったな、あとは・・・」
全員の視線が一つに集まる。
「ふぉ?」
「残っているポジションは投手か捕手か・・・かショートか外野だな。」
「ふぉー、無理でごわす。おいどん野球なぞやったことないでごわすぅ。」
まだ春なのに既に汗だくになっているチャールズがぶんぶんと首を振ると汗が飛び散る。
「うわっ、きったねぇなぁ。」
横にいた女子社員のアリカが一睨みするとしょんぼりするチャールズ。
実はアリカはチャールズが嫌いなわけではなくむしろ好意を持っているのだが本人は全く気付いていないようだ。
事情を知っているソリスやアストラはニヤニヤしていた。
「ところで社長、この古いグローブやらバットやらはどうしたんですか?」
「ああ、それか。家にあったやつを持ってきたんだ。まさかこんなところで役に立つ日がくるとはな。」
社長が台車に乗せて持ってきた木箱の中には古い野球道具がぎっしり入っていた。
随分汚れているが保存状態はよくまだまだ十分使える。
「なんすか、昔野球チームでもやってたんっすか?」
「いや、まぁそういう知り合いがいたんだよ。それより早速練習を開始しようじゃぁないか。」
珍しく社長が言葉を濁したがみんな練習に頭がいっぱいで誰も気付いていなかった。
「私はここで見ているから。」
「え?社長もやりましょうよ。」
「私はいいよ。」
「そういわずに。」
そういってソリスは社長の頭上に軽くボールを投げる。
「あっ、あああぁあぁ」
両手を前に出して必死にとろうとする社長。頭にぽこっとあたるボール。
「痛っ!」
涙目の社長。
・・・。
「なんだ貴様ら、文句あるのか?」
誰も何も言えない。
社長は誰より野球好きではあるが野球が巧いわけではなかった。




