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東方幻想郷物語  作者: 水無月奏
第三章 紅魔異変
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第十五話 試す、とは

 あっぶな……正直無意識に話していたけど、本当に魔理沙さんが参戦してきていたらただでさえ霊夢さんにも勝てるか分からないのに勝ち目が無くなる。


「あんた、戦闘前に聞きたいことがあるのよ」

「ん?何かな?」

「あんたは……木下悠を知ってる?」

「……なんでそう思うんだい?」

「さぁね。女の勘ってやつかしらね」

「勝ったら教えてあげるよ」

「そう。じゃあ勝たせてもらうわね」


 言い終わるか否や御祓い棒を構えて突撃してくる霊夢さん。流石に速い。こちらも最初から全力でいくっ。

 浴衣の袂から事前に置いておいた八卦炉を手に持つ。その数は2個。


「恋符「マスタースパーク」!」

「なぁっ!?コイツ、私の八卦炉を!?」


 霊夢さんは少し驚いたようだが流石の反射神経で避けたが、私には八卦炉が二つある。

 霊夢さんの避けた地点に八卦炉を向ける。


「二連。マスタースパーク!!」

「っち!」


 土埃が上がり霊夢さんを隠す。恐らく直撃はしてないだろう。避けようとしてたし。そうなるとこっちのほうが不利になる。むこうからはこっちが見えるが、こっちからはむこうは見えない。どこからでも攻撃できる。もうマスパによる不意打ちは出来ないからこっちの手札はもう殆どない。単なる弾幕勝負や体術は確実に負けるだろう。

 それなら打てる手があるうちに打っておくのが一番いい。今できる一番の策は……。


 私も土埃の中に飛び込む!


「うわっと」

「きゃっ」


 霊夢さんとぶつかってしまった。相変わらず可愛い反応するなぁ。


「……私の負けよ」

「……は?」

「二度も言わせないで。私の負けよ」

「そりゃまたなんでさ」

「お面。さっき取れかけてたわよ、悠」

「…………」

「そもそも最初からおかしいと思ってたのよ。宴会に来ない時点で殆どのやつが消える。わざわざ手紙をよこす人も少ないからここでも絞れる。霖之助さんかなと思ったけどそうなると手紙の意味がわからない。霖之助さんなら香霖堂に来て欲しいってするほうが自然だから」

「そう。そこまで見抜かれてたか」


 ここまでバレてるなら隠す意味がない。私はお面をとって霊夢さんを直視した。相変わらず神に愛されたような美貌だ。


「私のとこにもう…戻るつもりはないの?今ならまだ宴会もあるし、どうするの?」

「霊夢さんさえよかったら、また……ここに……」

「もちろん!……おかえり。悠」

「ただいま、霊夢さん」


 目の前が滲んで、涙が出てくる。無理やり隠して笑ったけど、霊夢さんは苦笑してたから見られてたかな。霊夢さんの目の端に光るものが見えたのは見ないふりをして。


 試す必要なんて……なかったんだ……。

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