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異世界ブラックオプス   作者: 幽霊@ファベーラ


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13/42

旧友たる謎多き邪悪な依頼人は背景を語り、傭兵は気にせず教皇殺しの支度を整える


 「君は興味無いだろうが、一応は彼女の背景を少し話すべきだろう」


 ミンがそう告げれば、シャワーを浴び終えて下着姿の龍兵は沈黙と共に煙草を燻らせながら続きを促し、ミンの語りが始まる。


 「私がプロパテールと呼んだ彼女こそがプロパテール()()で、君と君のクラスメイト達を召喚した標的はプロパテール()()()()


 改めて爆弾発言が飛んで来た。

 だが、龍兵は驚く事も無ければ、気にする事無く紫煙と共に続きに耳を傾けると、視線を向けて簡潔に言えと無言で言う。

 そんな龍兵の視線を察すると、ミンは簡潔に答えた。


 「一言で言うなら、当時の腹心であり、()であった標的に裏切られた。で、あの地下に封じられた」


 ソレを聞くと、龍兵は疑問をぶつける。


 「何でバカな弟は姉を殺さずに凍結扱いしてた?普通なら殺すべき所だろう?」


 権力を簒奪したんならば、本来の権力の持ち主は殺害すべき所。

 それにも関わらず、ミンがプロパテールと呼ぶ少女は殺されてない。

 そんな龍兵の疑問にミンは「私の予想だが……」そう前置きしてから答える。


 「プロパテールを、姉を愛していたのだろう」


 ミンが答えると、龍兵は鼻で笑って茶化す様にして言う。


 「愛ね。アンタが言うと、説得力が増すな」


 「私にだって愛する妻と子が居るんだ。神が愛する身内を殺せずにいてもおかしくはないだろう?」


 ミンの言葉に龍兵は納得した。


 「ソレもそうだな。それで?俺は石棺から引っ張り出して彼女……お前の言うプロパテールを救出した訳だが、救出はソレで終わりじゃないってのはどう言う事なんだ?」


 龍兵が己の引き受けた仕事に大きく関わる問いをぶつければ、ミンはシガリロを咥えて火を点して紫煙と共に語る。


 「すぅぅ……ふぅぅ……彼女があの石棺に封じられる際、彼女から7つの要素が抜き取られた。その7つと彼女。それらが全て揃って漸く君の救出任務は完了となる」


 ミンが紫煙と共に答えると、龍兵は反芻する様にして問うた。


 「つまり、今の彼女は7つの要素とやらを収める器でしかない訳か……で?その7つの要素とやらは何処にある?」


 そう問えば、ミンはシガリロを燻らせながら答えた。


 「解ってるのは教会の中枢に1つある。と、言うぐらいだ」


 「他は?」


 「残念ながら其処は調査中でね。しかし、その1つを確保する事に成功すれば、彼女が残りの位置を教えてくれる様になる」


 ミンが紫煙と共に答えれば、龍兵は呆れ混じりに「実質無計画じゃねぇか」と、紫煙混じりにボヤいてしまう。

 だが、ミンは気にする事無くシガリロを燻らせる。


 「すぅぅ……ふぅぅ……だが、君なら何とか出来るだろう?フレンセルカで私を見つけ出し、唯一()()寸前まで漕ぎ着けてた君ならばね」


 過去の思い出を振り返る様にして何とかなる。そう告げるミンに龍兵は益々呆れてしまう。

 

 「ありゃ、偶々運が良かっただけだ」


 「偶々で数十年も全ての司法機関と諜報機関に捕まらずに居た私を見付けられたら、私としては立つ瀬が無い」


 過ぎた謙遜は嫌味になる。と、言わんばかりにミンが返せば、龍兵は脱線しかけた話を戻す様に問う。


 「それで教会の中枢にブツがあると言ってたが、具体的には何処だ?」


 龍兵が問えば、ミンは答える。


 「歴代の教皇が常にその身に帯び、護ってる」


 歴代の教皇が常に身に帯び、護っている。

 ソレは即ち、龍兵の今殺したいリストの上位にランクインする現在の教皇……リシュリュー・アウグレベウスが身に帯びてる事を意味していた。

 そんな情報を知ると、龍兵は少しだけ狂気に満ちた歓喜を露わにする。

 龍兵が喜んでる事に好都合と言った様子でミンは告げる。


 「君が察してる通り、現在の教皇であるリシュリュー・アウグレベウスが常にブツを身に帯びてる。私としては、彼が死んでも構わない」


 ソレは実質、リシュリュー・アウグレベウスの殺害許可であった。

 そんな許可が下されれば、龍兵は益々笑顔になる。


 「そりゃ、良かった。丁度、殺したくて仕方なかったんだ」


 「それで君の溜飲が下がるなら安いモノさ……さて、作戦に関して詳しい説明をする前に1つ良いかな?」


 「何だ?」


 「君は何故、私の依頼を踏み倒して帰ろうとしなかった?」


 依頼を引き受けずに逃げれば良かった。

 それなのに何故しなかったのか?

 ミンが問えば、龍兵はさも当然の如く返した。


 「単純な話だ。アンタからカネを巻き上げたくなった。ただ、ソレだけの話さ」


 「まぁ、そう言う事にしておこう。そうだ……君に提案と言うか、私なりのサービスを用意してあるんだが良いかな?」


 その問いかけにフィルター近くまで燃えていた煙草を吐き捨てた龍兵が首を傾げると、ミンは言葉を続ける。


 「ほら、君の事だから2人の大事な友に何も言わずに残ったんだろう?2人と御両親。この2つと話す場を設けるが……どうするね?」


 ミンの言う通り、龍兵は2人の幼馴染……優と勇輝に何も言わず。

 否、寧ろ一緒に帰ると嘘を吐いた。

 更に言うならば、両親には何も言ってない。

 それ故にミンは龍兵にサービスとして、2人と話をする場を設けても良い。

 そう提案するが、龍兵がその提案を受ける事は無かった。


 「その必要は無い」


 「本当に良いのかね?」


 掛け値無しの善意からミンが確認する。

 だが、龍兵がその善意を受ける事は無かった。


 「今は冷却期間を設けたいんだ」


 その言葉には2人の幼馴染と実の両親に対し、何と言えば良いのか?解らずに困る龍兵の感情が込められていた。

 そんな答えにミンはコレ以上の事は言わなかった。


 「そう言う事なら何も言わないでおくよ」


 ミンが納得してくれると、龍兵は尋ねる。


 「俺からも良いか?」


 「何だね?」


 「先ずはつうか、すんげぇ今更だけど此処は何処だ?」


 そう龍兵は自分が居る所が何処なのか?知らなかった。

 ソレを問われると、ミンは答える。


 「此処は私の用意した聖域を兼ねたセーフハウスだ。今の所は標的側が手を出すのは難しいから当面の間は安全だ」


 ミンが用意したのは、ゲリラ戦に於いて必要不可欠な聖域を兼ねた隠れ家であった。

 そんな聖域だと知ると、龍兵は感心した様に言う。


 「オマケにシャワーとバスタブもあるとは至れり尽くせりだな」


 「洗濯機と乾燥機も用意してある」


 「マジで至れり尽くせりだな」


 「君は私が認めた最高の傭兵だ。出来るサービスは全てするのは当然だろう?」


 「お褒めに預かり光栄だ。さて、話を戻すが……俺の殺したいリストの映えある第2位のクソ教皇様は今何処だ?」


 龍兵が話を戻す様にして問えば、ミンはさも当然の如く答えた。


 「今は君や君のクラスメイト達の訓練を担ってた王国に居る。大激怒の状態でね」


 「なら、急いで片付けた方が良いな」


 「構わないし、その方が助かるが……性急過ぎないかね?」


 ミンが心配そうに尋ねると、今度は龍兵がさも当然の如く答えた。


 「普段の教皇ってのはガチガチに警備が固められた要塞みてぇな城に籠もってるんだろ?だったら、城から出てる状況はチャンス以外の何者でもない……ただ、ソレだけの事さ」


 「成る程。それで?具体的なプランは?」


 「理想は帰り道を移動してる所を狙ってのアンブッシュ。要するに待ち伏せ攻撃。それに尽きる」


 龍兵が考えてる作戦を聞けば、ミンは感心した様に言う。


 「君らしくて良いプランだ。あ、教皇の死体は必ず持ち帰ってくれ……ブツの確認と確保は此処で私がする」


 教皇の死体は持ち帰れ。そう要求されると、龍兵は仕方ないと言わんばかりに応じる。


 「面倒臭いが仕方ない。死体は持って帰るが……用が済んだ後の死体はどう処分するんだ?」


 その問い。用済みの死体処理に対し、ミンは告げる。


 「其処は私がしておくから気にしなくて良い」


 「なら、俺が言う事は何も無い」


 こうして話が済めば、龍兵は支度に取り掛かり始めた。

 下着姿から戦闘服になり、前後に防弾プレートが収まるプレートキャリアを纏った龍兵はアンブッシュ。即ち、待ち伏せ攻撃に必要な品々を用意していく。

 複数のクレイモア地雷に軽機関銃であるM240Bと、ベルトリンクで列なる200発の7.62ミリNATO弾を予備含め3セット。

 更にはリボルバー式のMGLグレネードランチャーに6発の40ミリ榴弾を込めると、キャンバス地のバッグに30発の40ミリ榴弾を詰め込んで予備弾とした。

 それから更にM67破片手榴弾を6個身に帯びると、M34白燐手榴弾とM18発煙弾を2個ずつ腰に下げた。

 すると、そんな支度をする龍兵にミンがある物を差し出して来た。


 「死体確保が完了したらコレで合図を送ってくれ。君と死体を回収する」


 差し出されたのは玩具にも思える赤い小さなピストル。もとい、フレアガンであった。

 フレアガンを受け取った龍兵はそれを左太腿の大きなポケットに収めると、ミンに確認するかの様に尋ねる。


 「クソ教皇様の護衛の数は?」


 「約1個小隊(約30人)規模だ」


 教皇リシュリュー・アウグレベウスの護衛である騎士達の数の確認が済むと、次の質問が投げられる。


 「標的の手下が俺に気付いて、兵隊を差し向けるまでの時間は?」


 「速くて1分。遅くても3分と言った所だろうな……」


 「なら、急いで片付けないとならない訳か……何時もの事だな」


 当たり前の様に言えば、龍兵はMGLを背負って榴弾を詰めたバッグを脇に提げると、FASTヘルメットを被ってから弾を込めたM240Bを手に出撃するのであった。



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