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第六十四話

 夕食は櫻丘剣道部後援会、つまりOBOGと保護者で作られる会の提供だった。夕食はカレーである。


 合宿所の食堂で食事を取るが、昇達4人は櫻丘の誰よりも大盛りで装って食べていた。会話の内容は剣道の話から趣味や将来の進路に話が移行していく。昇達4人はすでに将来の道は決定しているようなものなので問題ないが、一応話に乗っておく。




「俺は剣道一本だから大学もスポーツ推薦で行く事が決定してる。


 将来は警察官だ」




 そう言うのが三年の鬼頭だ。




「俺も警察ですよ」




 櫻丘の殆どが警察だと言い女子は保育士や教師を考えているという。櫻丘からお前らは?と言う顔で昇達に視線が行くと仁は暫く考え、口を開いた。




「取り敢えず、株で儲けてるから仕事しなくて良いかな~


 人間二人ぐらい養う位のお金あるし」


「僕は養われる予定なのか?」


「うん。ご飯と洗濯にちょっとした掃除してくれれば良いよ」


「後、財政管理だな。


 その内、米軍から戦車を買いかねん」




 昇の言葉に櫻丘の全員が目を見張った。曰く、学生婚をするのか?と。仁は大学行って学生生活延長してお遊び気分で入社試験受けて圧迫面接受けるのも面白そうなどと言いた出した。昇はそんな仁にそんな迷惑なことをやるのは止せと告げると。




「でも、海洋堂の社長がアハトアハト買ったから、免許と金と砲と機関銃の機能を壊せば買えると思うんだよね」


「それは買えるだろうな」


「個人的にはT-72が欲しい」


「そんなもんはロシアに言え。戦車の墓場に有るから許可取れば買えるだろう」




 昇はそんなことを言いながらカレーのじゃがいもをスプーンで切りながら告げる。昇は猫舌なので、大きめに切られたじゃがいもや人参を細かく裁断してから食べるのである。


 そんな昇の様子を見ていた仁が昇のじゃがいもを救ってフーフーした後ハイと口元に差し出す。




「何の真似だ」


「いや、養ってあげるんだから」


「お前のそれは介護か育児のどちらかで「良いから食うがヨロし」




 仁は昇の口にじゃがいもを突っ込む。昇は半睨みでジャガイモを咀嚼し、櫻丘の男子陣から羨望と憎悪の入り混じった熱い視線を受けていたが、軽く受け流す。


 その後雑談を交えた夕食を終えた所で宇山江が戻って来た。少しばかり不機嫌そうな顔をしており、昇達を剣道部しゅうごーと実にやる気のない声で集める。




「誠に不本意ながら、私は南米に行ってカルテルを一つ潰しに行かねばならん。


 で、私が不在の代わりに私の代わりに剣道五段の糞女を連れてきた」




 宇山江がそう言うとやぁと廊下の影から上杉が現れる。




「臨時副顧問に襲名した上杉よ。よろしく」


「アンタ、そもそも学校関係者じゃ無いだろうが」


「うん。でも、宇山江の学生時代の同期で別の学校で教師をやっているということに成っていて貴方達とも顔を何度か合わせているって話になってるから」




 よろしくと上杉が告げる。昇達には拒否権はないので素直によろしくと言うしか無いのである。


 そして、宇山江と上杉は櫻丘の顧問に事情を説明して宇山江だけ帰っていく。その後、入浴を終え9時には魔法少女ファンの男女は勿論、あまり興味のない者達も全員集まってジェシカの憂鬱と日本魔法少女協会のコラボで作られたジェシカの憂鬱inJAPANを見るために集まっていた。


 番組の冒頭5分程は監督とジェシカ、パトリックの3人のインタビューが流される。そこで、ジェシカもパトリックも日本の魔法少女を絶賛し、共に主演をしたジェーン・ザ・リッパーとクアトロ・セブンそして、日本で今もまたキメラと戦っているであろう魔法少女達に惜しみない賞賛と感謝を贈って終わる。


 そして、番組内部で外的身体変形及び反社会性人格障害者をキメラと発言しているがあくまで現場での声を尊重して採用していると言う文字と魔法少女達の行動は全て実際の行動を監修して十分な準備と監視の下で行ったので絶対に真似しようにと言う警告文も出た。




 番組冒頭は2人が空港に降り立つ所だった。如何にもアメリカドラマらしいジェシカの回想で日本に来る理由が説明される。早い話が、ジェシカの休暇である。パトリックと一緒にやって来ただけだ。


 そして、開始10分と待たずにキメラが空港で暴れ始める。キメラは特殊メイクをしたアクターがやっているのだが、その行動は本物ながらの迫真だった。ジェシカとパトリックはすぐさま変身して一般客を誘導しながら銃をバンバン撃ちまくる。狙いも殆ど定めず、アメリカ式の銃撃だ。




「アメリカの魔法少女ってバリバリ射つんだな。


 ベルサイユ見たいだ」




 誰かがそう告げると昇はあれはもう病気だと告げる。それに対して誰かがアメリカ研修行った時にベルサイユのせいで地元警察は装甲車持っていったそうだなと告げた。


 画面は別の場所に居るクアトロ・セブンとジェーン・ザ・リッパーにカメラが回る。2人は何故かカチンコの話をしながら歩いていた。




「なんでカチンコの話してるんだ?」


「さ、さぁ?」




 その場に居た全員がクアトロ・セブンとジェーン・ザ・リッパーが繰り広げる謎のカチンコ談義に首を傾げた所で突如悲鳴が聞こえた。そして、2人の前方から大勢の人間が走って逃げてくる。クアトロ・セブンがそのウチの1人の腕を掴んで事情を聞くと二人して壁を蹴飛ばして人混みをかき分けていった。シーンが切り替わると2人がキメラと戦っていた。そんな中で突如野太い銃声が聞こえ、キメラの手足に着弾。そして、甲冑めいたドレスを着たジェーン・ザ・リッパーがキメラの首を跳ね飛ばし、終了。


 全員がおぉと声を上げ、首の出来具合や見事な横薙ぎ一閃に感嘆していた。




「フェイクだと分かってても凄いな。


 ワイヤーアクションか?」


「いや、これは全部彼女達自身の力だ。


 ワイヤーアクション特有のもっさりした動きがない」


「魔法少女ならこの程度なら余裕で出来る筈だ。


 YouTubeに上がってる動画ではスパイダーマンとは言わんがそれに近い動きをしている。アサシンクリード並みだ」




 昇が告げていく。此処で注目すべき点はクアトロ・セブンの身のこなしであると告げる。手にしたBARは8kgちょっとで、それを抱えて飛び回っているは通常ありえないと語っていく。


 銃を持つ際のバランス感覚が素晴らしいと何時に無く大絶賛していく。真はそんな昇にどんだけ自画自賛なのよと言う顔をするので、昇は若干眉を潜めた。そして、携帯を取り出して、素早くメールを打つ。送信先は真と慶太郎で、動きは全て実際のキメラ討伐と同じだから確りと動きを見ておくようにと書いてあった。


 慶太郎は少し驚き、それから頷き、真は唇を尖らせる。




「そもそも魔法少女ってパルクールを獲得するのが基本だしね」




 仁が其処に言葉を付け加えた。パルクールってなんぞ?と言う表情の櫻丘の生徒達に昇が簡単にいえば障害物を以下に素早くそして綺麗に越えていくのかと言う物だと説明する。そして、習得すれば鬼ごっこではほぼ最強に成れると昇の言葉に何じゃそりゃと全員が笑った。


 だが、実際逃走するにしても追いかけるにしてもその高い機動性は役に立つ。


 昇はフッと笑い。僕は誰にも捕まえられないし、僕は誰でも捕まえられると断言する。そして、思い出した様に仁以外はと付け足す。




「なら、明日は鬼ごっこだ。校内を使って鬼ごっこをしよう。


 ただランニングするよりはマシだろう。ただし、校内の2階以上はダメだ。捜査域が広がるし、階段は危ないからな」




 顧問がそう告げると全員がはいと返事をした。


 それから全員が静かにドラマを見た。内容は防衛省、警察庁、魔法少女協会で作られており、実際に活躍している魔法少女の2人が現場監修としてやっているので中々のリアリティだ。また、郊外部でのシーンは殆ど無く都市部や人口密集地の戦闘が多く、そして、戦闘中遠くから人殺しを止めろ!とか連続殺人鬼!と言う掛け声とがんばれーと対向する声が聞こえてくる。


 流し見出来る軽さでありながらじっくり見ると実に胸糞が悪くなる。更に言えばちょくちょく画面隅に注訳も出てくる。キメラとの戦闘シーンでは毎回の如くキメラの両手足を切るのは逃走した場合の安全を確保するためであると出てくるのだ。


 罵倒や声援に関しても実際にあることであると出てくる。




「何か、魔法少女って大変なんだな」


「そうだな」


「でも、給料がかなり良いんだよね。


 4ヶ月に1度出動するだけで年600万を貰えるよ。600万が丸々。勿論、それは出動費だから、基本給もある。基本給は月16万だったかな?此方で税金とか引かれるけどね」




 仁がそう説明すると半分近くがそれでもこんな怖い目にあって罵倒されるのは嫌だなと言う反応を見せる。


 勿論、魔法少女には同情するが、と言う。




「ま、彼女達が居るから日本の都市部でキメラに拠る大殺略が起こらないんだ。


 そう思うのなら僕達は彼女達にがんばれ、ありがとうと声援を贈る側になれば良い。それだけだ」




 昇がそう告げると鬼頭が立ち上がり。俺は魔法少女を応援すると断言した。昇は勿論、全員がどんな反応をして良いのか?と言うふうに顔を見合わせてから、頑張れと言うしか無かった。


 鬼頭はウムとそれに頷き、再びストンと座る。


 ドラマの内容はジェシカとパトリックがクアトロ・セブンと、ジェーン・ザ・リッパーに出会う、日本の魔法少女の現状に2人が知り改善を求めようとする、架空の外的身体変形及び反社会性人格障害者遺族の会に行き、彼らの言い分を聞く。


 彼等が演説をしている時に複数人のキメラに襲われ、4人が助ける。和解、と言うなんとも陳腐な内容だった。しかし、戦闘シーンはハリウッドばりの迫力だったし、カメラワークも凄いので内容の割に楽しい。しかし、じっくり見るとかなり考えさせられると言う内容だ。




「キメラは治せないの?」




 1人の生徒が鬼頭や昇にそう尋ねる。




「治療法は見付かってないし、研究も進んでいない。


 倫理と人権が深く関わることだ。人間以外の動物、つまりは猿や犬と言った生物はキメラにならない。海外ではキメラを捕まえて病院に送り込み、人体実験の様な事をしているらしいが、日本ではそれが出来ない。勿論、人体実験をしても発見された成果なんぞ死体を回収してそれから得られる結果と一緒だ。


 発病原因は不明。治療法も不明。発病したら最後、命が尽きるまで周辺の生物を殺しまくる。もし、僕がキメラになったら誰かを殺す前に殺される。もし、僕が魔法少女で、家族がキメラになったら誰かに悲しみをばら撒く前に殺す。


 それが、家族としての義務だし権利だと、僕は思う」




 昇はそう告げると僕はもう寝ると立ち上がった。それを皮切りに魔法少女に興味のない生徒達は続々と寝室に向かった。


 テレビでは一週間後の同時間帯にクアトロ・セブンとジェーン・ザ・リッパーの独占インタビューを行うと言うCMに今放送したドラマのスペシャルDVD,BDをクアトロ・セブンとジェーン・ザ・リッパーのサイン付きでプレゼントと流す。


 鬼頭は物凄い速さでその応募先と応募方法を記録し、何処かに電話とメールを掛け始めた。


 他の生徒も同様に携帯を取り出して応募の手続きをメモしたり、写メに収めたりしている。




「じゃ、私達も寝ますかね」


「そうね」




 仁達も立ち上がってゾロゾロと寝室に向かう。合宿はまだまだ始まったばかりだ。




もう暑すぎて書く気しないよね


取り敢えず、気晴らしに書き散らした異世界召喚、転生モノが貯まってくよ


今、私の中で熱いのは異世界でエルフを守るために銃器を駆使して戦う主人公側の話と異世界に銃と弾丸を自由に取り出せるけど、ゴブリンすら倒すのに一苦労でしょうが無い、酒場の用心棒をやる主人公の話だよ



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