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第四十五話

Chapter:3 If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.








「兄貴、この撮影に出るの!?」




 ウィークエンドの騒動から1ヶ月後、ある日突然桜がノートパソコンを片手に昇の部屋に押し入って来た。桜は部屋をノックすることをしない。特に現在のように仁が居ると尚更音も無くやって来る。魔法少女と成って現在、彼女は愈々本格始動し始める魔法少女に寄る犯人逮捕への第一期協力者に参加するべく体力向上と能力制御の訓練をしている。


 また、魔法少女で犯罪を犯した者もこの協力者に成ることで刑期の軽減や更生の機会を与えると言う名目で強制参加させられており、赤池も同様に活動している。現在は桜と共に日頃の運動やら何やらを行っており家に入り浸るように成っていたりする。


 勿論、昇は断固反対しているが、祖父母は容認しており仁も昇を説得している。




「何だそれは?」




 そして、現在、ベッドの上で仁を膝に乗せて漫画を読んでいる昇が視線をノートパソコンに移した。




「ちょっと、何兄貴にひっついてるのよ!


 離れなさい!」




 桜は昇の膝に居る仁を脇に押しのけると自分が収まり、海外のセレブ情報サイトを見せた。記事にはアメリカで大人気らしい魔法少女の活躍を描いだ連続ドラマの新シリーズを日本の魔法少女とやるとかで、其処にはジェーン・ザ・リッパーやアイアン・フィスト等といった有名な魔法少女の中にクアトロ・セブンの名前もあった。


 勿論、昇はそんな情報を貰って居ないし、仁も同様だ。2人でなんだこれは?と首を傾げ、ソース元を見ると、どうやらこのドラマを作っているプロデューサーと主演の女優が新シリーズはどうしたい?と言う話の時に言った希望らしい。




「こんな情報は貰ってないから多分無いだろう。


 そもそも、日本でこんなキメラを殺すのを見せ物にする様なドラマをやってみろ。苦情殺到だぞ」




 昇の言葉に仁もウンウンと頷いていた。桜がそれもそうねと頷くと部屋から出て行く。昇と仁はお互いに顔を見合わせ、ヤレヤレと首を振った所で携帯が鳴った。お互いに誰だ?と確認すると担当官である。この時、2人はヒシヒシと嫌な予感を感じていたが、メールで今からBARウィリアムズに来れるなら来てくれと書いてあったので、渋々重い腰を上げて向かうことにした。


 2人が玄関に向かうと当然という顔で桜も付いて来る。




「呼び出しだ」


「そう」




 昇がそう告げると奇遇ね、私もよと桜は靴を履き始めた。昇は桜に何か言おうと思ったが、本当にヤバイ話なら柳葉がどうにかするだろうと内心話を付け、3人揃って歩き出す。BARウィリアムズに着くと案の定柳葉が先に居た。他にザ・オールド・ワンに見たことのない外人、陸上自衛隊の人間であろう緑色の制服を着た男が座っていた。


 一体何だ?と言う顔で仁と昇は顔を見合わせると赤池が相変わらず不敵な笑みを浮かべていらっしゃいと告げる。奥の方には礼威も居り、3人分のお冷を用意している。




「おう、悪いな。此方に来てくれ」




 そして、3人に気が付いた柳葉が声を掛ける。




「何の用ですか?」


「おう。お前等、マギカって知ってるか?」




 柳葉の言葉に仁がホホウと目を輝かせて魔法少女まどか☆マギカですかな?と行き成りオタク口調で話し始める。昇と桜は絶対違うと思うが突っ込むのもアホらしいし、昇はマギカと言われて思いついたのがまどかか魔法先生ネギま!しか無かったので黙っておいた。




「違う。


 マギカと言うアメリカのドラマだ。日本じゃ、ジェシカの憂鬱とか言うドラマらしい」


「知ってるわ!」




 そう声を上げたのは桜だ。そして桜はさっき言ったドラマよとやはり首を傾げている昇と仁に告げるとあぁと2人は頷き、案の定と告げた。




「申し訳ないが、僕は御免だ」


「わ、私も」




 そして、昇と仁がNoというと同時に何故だと声を上げたのは桜だ。




「何故も何も、お前だって知っているだろう日本における魔法少女の立場とキメラに対する見方を。


 キメラ殺しを賛美するような内容のドラマを撮影してみろ、撮影現場にはアホな連中がバカなプラカード掲げて大挙として押し寄せてくるぞ」




 貴方だって解ってるでしょう?と昇は柳葉を見る。柳葉は俺は反対の立場だと告げてから、隣でコーヒーを飲んで1人部外者のような顔をしているザ・オールド・ワンを見た。




「うん。アメリカでやるような内容なら、私は反対したよ。


 でも、彼は番組プロデューサーなんだけどね。彼の考えている話を聞いたら我々の立場向上にも繋がるし、より国民にも魔法少女の現状を理解して貰えるんじゃないかと思ったんだよ」




 分かるだろう?そう告げるザ・オールド・ワンの表情は穏やかであるが、拒否権は一切認めんと言う目である。


 仁と昇は内容は?と尋ねるとプロデューサーと名乗る男が英語でベラベラと話してくる。昇は英語が出来ないので仁を見る。仁は理解しているようでフンフンと話を聞いている。桜も昇同様に困った顔をすると、脇に居た自衛官が通訳してくれた。




「今回は日本の魔法少女に焦点を当ててドラマを撮影していこうと思って居ます。


 日本とアメリカでは国民の考えが大きく違い、キメラの事を人間としてみていると言う世界的に見てもあー……少し特異な人間が多いのが特徴です」




 少し特異な人間、きっと日本語だと気違いとかそう言う奴を更に汚い言葉で表したのだろう、昇はそのまま通訳してくれて構わないのにと思った。




「そして、我々はそんな日本における魔法少女達がいったいどのような活動をしているのか大変興味を持ったのです。


 我々は日本の現状を海外に知らしめて貴女達の立場を向上したいと言う気持ちがあります。脚本も今までのモノから一線を画して、新しい脚本家達と取り組んでいきたいと思っているんです。


 また、日本政府とも協力して日本が行っているクールジャパン政策の協力にも成るんです」




 其処まで来て漸く、これは最早“お願い”から“命令”に成ったのだと2人は確信した。




「しかし、何故此処東海地方でやるのですか?


 東京の方が良いでしょう」


「それは簡単だよ。


 東京と名古屋ではどう考えたってキメラ出現率は東京の方が多い。キメラが出る度に撮影を中止していたらそれこそ撮影は終わらないからね」




 ザ・オールド・ワンがそう告げた。確かに、日本で最もキメラが出るのは東京だ。人工密集地区であり首都でもある。眠らない街とまで言われる東京には多くの人が集まり、それゆえに多くのキメラが現れる。東京には首都ということで多くの魔法少女が居るが、それでも彼女達では捌き切るのが手一杯と言う量のキメラが現れるのだ。


 ジェーン・ザ・リッパーが此方に来てから人手が足りなくてベルサイユが出向している程だ。




「成る程」


「それに、君達は世界的に有名なウィークエンドを殺したじゃないか」




 ザ・オールド・ワンはそうからかうように笑う。実際は魔法少女4人における戦いで最終的には全員がお互いに良いのを入れて気絶しただけだ。試合はドローで宇山江とザ・オールド・ワンに寄って話し合いが付けられ、気がついたら4人はベッドの上だったのである。




「……そうですね」


「と、言う訳で君達には是非とも魔法少女として撮影に協力してもらうよ。


 幸いにも後2週間ほどで夏休みが始まる。違うかい?」




 ザ・オールド・ワンはそう言うと、流暢な英語でプロデューサーに話し掛ける。プロデューサーは何やらオーバーなリアクションをしながらThanksと連呼して仁と昇に握手を求めた。そして、2人にこれが台本だと赤い表紙の本を差し出しザ・オールド・ワンと共に去って行った。


 詳しい事はまた後日と言う事らしい。




「やったじゃないお兄ちゃん!


 サイン貰って来てよ!」




 桜は興奮した様子で昇に抱き着く。昇は犬の糞を踏んだと言わんばかりに眉間に皺を寄せて抗議の視線を柳葉に向ける。柳葉はスマンと一言告げるだけで、手元の台本を開いた。仁も台本を開いて渋い顔をした。




「昇、これ開いてみ」




 そして、仁が告げるので、昇も開くと中は英語がビッシリ書かれている。昇は無言でそれを閉じると、日本語版が無い限りは僕は出ませんからと告げると立ち上がった。桜はそのまま残るわと告げ、赤池が後で送っていくよと告げると、礼威に送るよう告げてBARウィリアムズを後にした。


 外に出た昇と仁はどうするか?と。取り敢えず、台本を読んでみるかと仁が言うのでそうだなと家に戻る。台本を開いた仁が音読をしながら読んでいく。仁が英語が出来る理由はただ単にネットで海外のプレイヤーと会話をするからだし、読めるのは日本未発売の海外ゲームをやるからである。




「えーっと、何々……」




 仁はうーむと唸り、それから主人公はジェシカと言う魔法少女で、それを取り巻くよくある青春学園ドラマらしい。内容は2時間ほどの短編ドラマでよくあるドラマだ。




「あー、何か日本に遊びに行くことになって其処でキメラに襲われ、其処を私達に助けて貰って日本の魔法少女と共闘するみたいな?」


「結末は?」


「さぁ?この台本は上巻だから下巻に書いてあるらしいよ」




 仁の返答に昇は舌打ちを一つしてから台本を脇に置き、パソコンを付ける。どったの?と仁が尋ねると昇は件のドラマを確認するのだと告げる。まず向かうのウィキペディアである。ウィキペディアには基礎基本の情報が羅列されており、それに纏わるエピソード等が乗っているからだ。


 昇はなんて名前だ?と仁に訪ね、仁は涼宮ハルヒの憂鬱みたいな名前だったと告げる。昇はしょうが無いと台本の表紙に書いてある『MAGICA』をそのまま打込み検索をかけると、案の定ジェシカの憂鬱としてページが飛ばされた。




「主人公はジェシカ・チェンバレン。本名をそのまま魔法少女として使ってるようだな」


「そうね。日本とは大違いね」




 ジェシカ・チェンバレンのページが作られていたが、ウィキで見るよりもまとめサイトで見た方がより情報が多いので別タブでまとめサイトを開いてジェシカ・チェンバレンの名前を検索する。すると、直ぐに出てきて、アメリカを代表とする魔法少女俳優の1人と書かれていた。日本における丙種魔法少女で、武器はコルトのシングル・アクション・アーミーをピンク色のラメでコーティングしたような銃を使用していると書かれている。


 また、画像もあり、それを開くと趣味の悪いSAAが表示された。メタルピンクで塗装され、随所にハートだの星だののラメが散りばめられている。彼女に付随するコメントは大半が「見るに堪えない銃」と書かれていた。




「アメリカ人のセンスの悪さは最早病気だ」




 昇が嫌悪感丸出しで画像を非表示にした。仁も目がチカチカするとその意見に賛同し、続きを促す。


 彼女を主人公としたMAGICA、日本ではジェシカの憂鬱では恋人であり相棒であるパトリック・フレンドリックと一緒にキメラと戦い恋をするよくあるアメリカンスクールドラマだと書かれていた。


 パトリック・フレドリックは武器をレミントンのM870を使うらしい。此方はジェシカに比べて随分と落ち着いた銃だが、随所にエングレーブが施されており、ストックはウッドタイプの曲銃床だ。一言で言えば「アメリカ人が大好きなショットガン」を地で行く感じである。


 ハンサムで二枚目、ファンもかなり多いそうだ。年齢はジェシカが18でパトリックが19である。二人共高校を卒業しているが魔法少女の特性である歳が若く見えると言う効果を利用してある意味で永遠の高校生を演じているそうだ。




「で、今度来るのはこの2人って事か?」


「うん。セリフもジェシカとパトリックって書いてある」


「ドラマ現在シーズン10まで出ている。また日本でも放映され全世界的に大ヒット。


 レンタルビデオもあり、限定版DVD-BOXには彼女達が愛用している銃のモデルガンが付いている。パトリック某のM870ならまだしもこの女のSAAは要らんな」




 反吐が出ると昇は吐き捨てブラウザを閉じてしまう。それからベッドに座ると仁がその隣に座って、昇にキスをする。




「桜ちゃん邪魔者は居ない」




 仁はそう耳打ちしてから昇のズボンに手をかけた。昇はちょっと待てと告げ、扉を開ける。それから十分に周囲を確かめてから、ドアを閉め鍵をかけた。そして、机の上に並べられたフィギュアの箱からコンドームの帯を取り出してベッドの脇に置く。


 これは桜が部屋に入っては破廉恥だ!と家捜ししては捨てて行くので昇が考案した苦肉の策である。また、ダミー用として机の奥にひっそりと隠した奴もある。




「す、凄い所に隠してるのね……」


「ウチにはチェーカーやゲシュタポもビックリな探し屋が居るからな」




 昇の言葉に仁は恐るべし我が未来の義妹と感心する。昇は上半身を脱いでから仁に覆い被さるようにしてベッドに押し倒した。




因みに、ダークエンジェル第一期と二期の最初の方を日本で放映された時に全て見てました


何故か打ち切られたので地味にショックでした




最近ではウォーキング・デッドが良いと思いました


漫画の1巻を買いましたが未だに残りが手に入りません


スカパーで何か1期から3期まで一気に無料放映しててそれ見てました



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