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「て、転校…!?」


明は美穂の顔をのぞきこんだ。


「うん、突然決まったんだけど、伝えなきゃいけないかなと思って」


美穂はそう言って俯いた。


ちょっと待てよ。

明は考えた。


前の世界では美穂は転校なんてしないはずだ。

それが今になって、「転校する」だなんて言い出しているーーー。


ーーー歴史が変わっている?


そう考えるしかない。


今まで明は未来を変えるべく、色々試合を経験して、運命を変えてきた。

しかし、運命が変わるのは明だけではないのだ。


明の運命が変われば、周りの人の運命も変わってしまうのだ。


自分の運命を変えてしまった結果、美穂の運命をも変えてしまったのだ。


ーーーそうか。

そこまで考えていなかった。


今まで自分は、自分の未来を変えるために必死になっていた。


だが、運命を変えることは多少なりとも他にも影響を及ぼすということなのだ。


ーーーなぜ、こんなことに気が付かなかったのだろうか。


明は、手を顔に当てた。


「明くん、どうしたの?具合悪いの?」


美穂が心配そうな声を出す。


明は自分でもすごい顔をしていたことに気がついていた。


「あ、だ、大丈夫だよ…」


そう答えるのが精一杯だった。


この時間がなかったことになればいいのに。


明はこの叶わない願いを何回も繰り返し祈った。


「ーーーじゃ、私いくね」


美穂はそう言って、背を向けた。


太陽の光が、いつもよりも眩しい気がした。

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