(74)
次の日。
明は教室の隅で頬杖を着きながら窓の外を見た。
転校かーー。
昨日、美穂に言われたことを思い出す。
前の世界ではこんなことはなかった。
小さい頃からずっと一緒にいた幼なじみがまさかいなくなるという展開になるなんて。
未来が変わるということは、他の未来も変えてしまうのだ。
そういうことを全く想像してなかった。
今まで自分の運命を変えることにしか目を向けていなかったことが悔やまれる。
「明、おはよう」
顔をあげると、立脇が挨拶してきた。
「あぁ、おはよう」
と明は挨拶した。
まだ、言えないよなーー。
「明、次の試合まで時間あるからさ、放課後バッティングセンター寄ってこようよ。美穂も一緒に…」
立脇の声を遮って、明が立ち上がる。
「いや、明、どうした?」
立脇がビックリした様子で明を見る。
「…ゴメン、俺、家で素振りしてるわ」
明はそう言って席に着いた。
「あ、そう…」
立脇はそう言うと、自分の席に着いた。
ーーーダメだ。
関係ない人に当たったって仕方ないだろ。
いつも通りにしなくちゃ。
明は自分に言い聞かせた。
放課後、明が帰ろうとすると、
「なぁ明、一緒に帰ってもいい?」
と立脇が声をかけてきた。
今日は部活もない。
明は、「いいよ」と返事をした。
2人は並んで歩いた。
どちらも口を開かない。
まるで、何か言い出すきっかけを探しているような感じだった。
いつもの帰り道が、迷路のように曲がりくねった道に見えた。
「…あのさ」
重い口を開いたのは明だった。
「ずっと言おうと思ったんだけど…」
明がそこで言いかけると、立脇は少し沈黙してから、
「…美穂のことか?」
と聞いた。
明は目を見開いた。




