違う星から来た男の子
二人を席に座らせて私たちも席に座ろうとしたとき、私の体を誰かが掴んだ。
まるで見えない腕に体を抱えられているような感覚になった。
この感覚には覚えがあった。たまにリナ姉にされてそのままリナ姉の胸に引き寄せられ、お姫様抱っこをされたことがある。
今回もリナ姉の仕業かと思ってリナ姉を見たがそんな様子はなかった。
すると私の体は宙に浮き、メグルの膝の上へそっと下ろされ、後ろからおなかに腕を回された。
「ノアはこっち」
メグルが微笑みながらそう言った。そこで理解した。これはメグルの仕業だと。
「あー! 私の膝の上に乗せたかったのに!」
リナ姉がメグルを見ながら言った。
「いいじゃないか、今日くらいノアを独占したって。私の可愛いひ孫なんだから」
「私もメグルの可愛いひ孫だよ!」
「そうだね、リナも私の膝に乗る?」
「もう、いい!」
リナ姉はそれを断って自分の席に座った。
けれど、リナ姉の口元には小さな笑みが浮かんでいた。
どうやら、喧嘩をしているわけではないらしい。
「ねえメグル、どうして私が0歳のころに一度会っただけなのに、すぐにノアだって気づいたの?」
「魔力だよ。人の顔がみんな違うように、魔力にもその人だけの特徴があるんだ。大きくなっても、その特徴は残るからね。赤ちゃんのころのノアの魔力も、ちゃんと覚えていたんだ」
「へえーよくわかんないや」
「そういえばノアは魔力が見えないんだってね」
「うん、でもこのゴーグルからなら見えるよ、ミア姉が作ってくれたの」
私は頭に付けているゴーグルを指さしながら言った。
「おお、ミアはやっぱり天才だね。それならいずれ魔力で人を見分けられるようになるよ。初めは人の顔ほど簡単にはいかないけどね」
魔力で人を見分けられるようになると面白そう、と私は思った。
「そういえばこの子の自己紹介がまだだったね」
メグルが男の子の肩に手を置いた。
「名前はマワル、二年前におおばあちゃんの魔導具が原因で違う星からやってきた人間だよ。その時になんやかんやあって私の弟子になったんだ。マルって呼んでね」
違う星、それを聞いたりゅーちゃんの空気が変わった気がした。
「マルに質問してもよいか?」
りゅーちゃんが手をあげた。
「はい」
マルが返事をした。
「マルのいた星はどんな感じだったんだ?」
「僕のいた星は魔力がありませんでしたし、魔物もいません、人の種族は人間だけで、魔物ほど危険ではない動物がいましたね」
りゅーちゃんの雰囲気が、いつもの穏やかなものに戻った気がした。
「あと文明はこの星とそう変わらないですよ。ただ僕のいた星は誰でも遠くの場所を簡単に見ることができたり、遠くにいる人と話したりできる機械、ここでいう魔導具がありましたね」
「私からも質問なんだけど、マルは見た感じ魔法が使えるよな、全部メグルから学んだのか?」
レナ姉が質問をした。
「はい、全部メグルからですよ」
「私ら四姉妹に敬語は不要だからな、年もそんなに変わらないだろうし」
「分かりました、あ……うん!」
マルが恥ずかしそうに笑った。




