魔法が使いたい末っ子ちゃん!
誰も近寄らない迷いの森の奥。
私たち四姉妹は、そこで暮らしている。
私の名前はノア。迷いの森で暮らす、魔女四姉妹の末っ子だ。
この世界では、ほとんどの子が四歳ごろから魔力を感じられるようになり、五歳になるころには簡単な魔法を使える。遅い子でも、七歳ごろまでには使えるようになるらしい。
魔女族は、ほかの種族より魔力に恵まれた種族だといわれている。
それなのに私は十一歳になっても、魔力を見ることすらできず、魔法もまったく使えなかった。
「はぁー…」
何とか魔法が出せないかと、魔力を見ようと努力したり、ファイアーボールと技名を声に出して手を前に突き出してみたりしたけど一向に魔法が使えない私はため息をついた。
「どうしたの?ため息なんかして」
黄色い髪を肩まで揺らしながら、ミア姉が私の顔を覗き込んだ。
「だって私は魔法が全く使えないから…」
私はそう言いながら落ち込む。
「実はね、とっておきの物があるんだ」
ミア姉は腰に掛けてあるマジックバッグからゴーグルと杖を取り出す。
「これは?」
私は不思議そうにミア姉に聞く。
「これはね、あー…」
少し考えた後にミア姉はゴーグルを私に渡した。
「まずそのゴーグルを掛けてみて」
そう言われ、私はゴーグルを掛けた瞬間、空気中に色とりどりの光が漂っているのが見えた。
「こ、これは!?」
「それが魔力だね」
「ノアは魔力が見れないから、それを補助するように作ってあるんだ」
「そして目を凝らして私を見てごらん?」
「な、何かが流れてる!これも魔力?」
そう驚いた様子で私は聞く。
そしてミア姉は頷く。
「自分の身体に流れてる魔力も見える?」
「うん」
それを聞いたミア姉は一本の杖を私に渡す。
「その杖はね、ノア専用の魔導具なんだ」
「詠唱すると、ノアの身体にある魔力を自動で取り込んで魔法に変えてくれるの」
「だからノアは杖を持って、いつも通り魔法を唱えるだけでいいよ」
「えっ?でも私、魔力を動かせないよ?」
「大丈夫。その杖が代わりにやってくれるから」
ミア姉はにっこり笑った。
それを聞いた私は期待半分、不安半分を感じながら、杖を前に出し魔法を唱えた。
「ファイアーボール!」
次の瞬間、杖の先が赤く輝いた。 炎の球が勢いよく飛び出し、的に当たって小さく弾ける。
「えっ……」
私は目を丸くした。
「で、出た……!本当に魔法が出た!」
私は目を輝かせ、ジャンプをしながらはしゃいだ。
するとミア姉は胸を張りながら「ふふん」としたような感じの顔で
「ゴーグルと杖はセットなんだ」
「ノアが魔法を使えるように、一年間ずっと作り続けてたんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなった。 魔法が使えないと諦めていた私にも、まだ希望はあるのかもしれない。そう思った。
「ね!ミア姉!これなら私!魔法学校に行けるかな!」
「私たちの自慢の妹だからね!絶対に行けるよ!」
それを聞き私はさらに喜ぶ。
「どうしたんだ?そんなに喜んで」
四姉妹の中で一番濃い黄色の髪を揺らしながら、リナ姉が、お菓子とジュースを持ってきて、ニコニコしながら聞いてくる。
「実はね、私!魔法が使えるようになったの!」
「おおー!それはよかったな!」
リナ姉は私の頭を優しく撫でながら笑った。
「それでね!魔法学校に行こうと思うんだ!」
「まじで!?」
「うん!」
リナ姉は嬉しそうに私を抱きしめた。
「今日はノアのお祝いだ!いっぱいご馳走作るぞ!」
「お姉ちゃんが帰ってきたらびっくりするね」
リナ姉が思い出したように付け加えた。
「あ、でもレナ姉、また箒を忘れて森に行ったから帰りが遅くなるかも…」
「…またか」
三人同時にため息をついた。
「じゃあ私がお姉ちゃんに箒を渡しに行くよ」
「助かるよミア姉」
「気をつけてねミア姉」
ミア姉はレナ姉の箒を腰のマジックバッグに入れ、自分の箒に乗り空へ飛んで行った。




