第22話 黒い液体
お疲れ様です。
連休など存在しない緋色で御座います。
さて・・・続きですw
つてか、早々書く事ってないよね?w
いつものように仕事に追われて・・・orz
何も変わらない日常ですw
それでは、第22話をお楽しみ下さい。
OP曲 【光と闇の狭間で】
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(あと・・・20分)
悠斗は脳内で亜人化で居られる時間を見て呟くと、
両腕に小さな渦巻きを纏わせた。
※ BGM 【月下の強襲 β】
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『はぁぁぁっ!』
上げられた声と同時に渦巻きを纏わせた拳で殴りつけると、
天使は呆気なく弾き飛ばされ数メートルほど地面を滑る事になった。
『ズザザザザァァァっ!』と・・・。
派手に地面を滑って行く天使を見ると、
『ポワン』と淡い緑色に包まれ、
それが上空でほくそ笑むドナの仕業だと理解出来た。
悠斗は緑色の双眼で睨み付けながら、
小さく『チっ!』と舌打ちを打つと、
黒鞘の刀を抜いた・・・。
(・・・一撃で始末しないと埒があかない)
そう考えた悠斗は背後から襲い掛かる天使を蹴り飛ばすと、
『ヒュンっ!』と刀を薙ぎながら駆け出した。
そんな中・・・。
ユウナギは『シェオルモード・ネザー』と変化し、
群がる天使達を蹴散らしていた・・・。
※ BGM 【The Theme of Yunagi β】
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「おっらぁぁぁぁっ!
掛かって来いよぉぉぉぉっ!」
そう怒声を上げながら襲い来る天使達を蹴散らし、
『おらおら~・・・どうしたどうしたぁぁぁっ!』と声を張り上げていた。
ユウナギが気合いの籠った攻撃を天使達にぶつけてはいたが、
すぐにドナ達による回復で一向に天使達の数は減らなかった。
「・・・だぁぁぁぁっ!
次々回復させやがってぇぇぇぇっ!?
面倒臭せぇーなぁぁぁぁぁっ!」
そう言いつつもユウナギは襲い来る天使達を次々吹き飛ばすも、
負のスパイラルに陥っていた。
(・・・やっぱあのデブを何とかしねーとなぁ~?
だが徐々に高度を上げて・・・)
傍に居た天使達に抱え上げられながら、
高度を上げていくドナにユウナギは『チっ!』と舌打ちをした。
そしてその様子を見ていた悠斗は、
そんなユウナギに顔を顰めていた・・・。
(・・・ユウナギさんは気付いてないのか?
何度蹴散らしても天使達が襲う事をやめない理由に?)
悠斗は刀を握る手に『ギュっ』と力を入れると、
襲い掛かる天使達を容赦なく斬り捨てて行った・・・。
『ズシゃっ!』
『ドサっ!』
悠斗は周囲の天使達をその視線や行動で牽制しながら、
『ふぅ~』と大きく息を吐いた・・・。
そしてその中で、悠斗は身体に違和感を感じていた。
(お、おかしい・・・。
風神化が初めてだとは言え、
いつものキレがない・・・どうして?
いくらグレード・ダウンして女の姿になったからって、
今まではこんなに身体が重く感じた事はなかった・・・。
それなのに・・・)
そう考えながらも悠斗は脳内の時計を確認すると、
いつの間にか10分を切っていたのだった。
『チっ!急がないと・・・』
悠斗が迫るリミットを前に焦りそう呟いた頃・・・。
上空ではドナが苛立ちを募らせていた・・・。
「えぇぇぇいっ!?
何故だっ!?
な、何故あのゴミ共を倒せぬのだっ!?
たかがゴミ風情にいつまでも・・・ぐぬぬぬぬ」
そう苛立ちの声をドナが挙げた時、
その大きな身体を支えていた天使が口を開いた。
「や、やはり上位神様が選んだ人族であるからとしか・・・?」
汗を滲ませそう言った天使に、
ドナはその天使を振り払いながら怒声を上げた。
「そ、そんな事くらいわかっておるわぁぁぁぁっ!」
『ぐわっ!』
『ゼェゼェ』と怒りで呼吸を荒げながらその天使を睨みつけた時、
ドナは悠斗とユウナギの奮闘を垣間見て悔しげな声を挙げた。
「な、何故だ・・・何故なのだ?
恐怖を感じさせぬようバフを掛けているにも関わらず、
ど、どうしてゴミ共の始末が出来んのだ?
・・・そ、そうだ。
こ、こうなったら・・・アレを・・・」
その呟きはドナの身体を支える天使が『えっ?』と声を挙げた時、
その天使に『放せっ!』と怒鳴りながら、
懐から拳大ほどの黒く染まったクリスタルを取り出した。
「クックックっ!
みっ、見てろよ・・・ゴミ共・・・。
こ、これさえあれば・・・や、やつらなど・・・」
その中の黒く染まったクリスタルを見つめ、
気味の悪い笑みを浮かべながらそう呟いたドナは、
天使達に命令を発した・・・。
「貴様らぁぁぁぁっ!
死んでもこのドナ様がっ!
レグルス様に頼んで復活させてやる事を誓うっ!
だから貴様らは・・・。
何も心配する事はないっ!
レグルス様とこの俺様に貢献出来るのだぞぉぉぉっ!
その命を以って・・・ゴミ共を始末しろぉぉぉぉっ!」
その怒声に天使達が皆『ギョっ!』としたが、
数人の天使達は目の色を変えた・・・。
「そう言う事なら・・・やってやる。
このままいつまでも下っ端じゃいられないんだっ!」
「・・・や、やってやる。
やってやる・・・殺って・・・やるっ!」
突然神力を漲らせ始め欲に歪んだ眼差しを向ける天使達に、
悠斗とユウナギも『これは厄介だ』と顔を顰めていた。
欲にまみれた目をした天使達が、
悠斗とユウナギに襲い掛かっている間、
ドナは取り出した『黒いクリスタル』を見つめた・・・。
(ほ、本当ならこんなモノ・・・。
神が使っていいもんじゃないが、背に腹は代えられんからな。
や、やるか・・・。
じゃないと・・・俺の地位がっ!)
ドナはそう考えながらも、その口は激しく歪み、
『ツー』っとその口元から唾液が垂れていた・・・。
ドナは周囲の天使達を見据えながら、
その者達にだけ聞こえるように言った。
「聞け・・・貴様ら・・・。
俺様は今から『異形者・イザール様』に与えられしモノを召喚する」
※ BGM 【天使の戦慄】
https://www.mureka.ai/ja/song-detail/AtTLakxZifNfyGfULGXStd?is_from_share=1
『っ!?』
ドナの話に周囲に居た天使達は双眼を見開くほど驚いていた。
「・・・ド、ドナ様?
イ、イザールと言えば・・・あ、あの?」
天使が顔色を青くし呻くようにそう尋ねると、
額に大粒な汗を浮かべたドナ『あぁ、そうだっ!』と声を荒げ、
『ぐぬぬぬ』と怒りを滲ませながら無意識に呟いた。
「・・・我らが創造神・レグルス様を、
指1本で殺した・・・あ、あの『黒い血液』を持つ男・・・。
い、いや・・・。
正直この俺様にもあの御方の性別すらわからん。
ただわかっている事は・・・。
今のレグルス様は・・・」
ドナは歯を強く食い縛り、拳を力の限り握り締め、
憤怒の形相で呟いた瞬間、
ドナは『ハっ!』と我に返り、天使達を見た。
すると天使達は激しく狼狽えているようで、
『パクパク』と声にならない声をあげているようだった。
「・・・ド、ドナ・・・さ、様?
い、いいい・・・今、・・・今何と?」
1人の天使が激しく動揺しながらもそう尋ねると、
ドナは苛立ちを滲ませ『チっ!』と舌打ちした。
「レ、レグルス様・・・は?
レグルス様が・・・し、死んだ・・・と?
ド、ドナ・・・様?
一体・・・一体どう言う事なのでしょうか?」
『ガタガタ』と身体を震わせながら手を伸ばす天使に、
ドナは『えぇぇぃっ!うるさいっ!』と怒声を上げた。
「・・・何も貴様達が動揺する事ではないっ!
何も・・・何も心配する事はないのだっ!
貴様らはただ・・・今のレグルス様にお仕えすればよいのだっ!」
そう言い放ったドナに天使達何も逆らう声をあげる事が出来ず、
ただ、ドナの手に持たれた『黒いクリスタル』から発せられる、
得体の知れない力に怯えていた・・・。
ドナは手の中の『黒いクリスタル』を見つめると、
マジックボックスから『黒い液体』が入った小瓶を取り出し、
黒い液体をゆらゆらと揺らしたドナは、
『よしっ!』と腹を極め、神力を注ぎ込みながら声を挙げた。
「・・・天使長・ドナの名において命ずる。
異形なる魔獣・リゲルよ・・・。
第十階梯・アザールの黒き血を糧に顕現せよっ!」
※ BGM 【異形の魔獣 α】
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そう声を上げながら口で小瓶の蓋を荒々しく外すと、
小瓶の中に入っていた『黒い液体』を『黒いクリスタル』にぶっかけた。
そしてその瞬間・・・。
『ブォン、ブォン』と・・・。
『黒いクリスタル』がドナの神力と黒い液体を吸収すると、
青黒い怪しげな光を点滅させ始めた・・・。
するとユウナギは上空から感じる力に素早く反応した・・・。
「・・・こっ、この力って・・・おいおいおいおいおいっ!?
あ、あいつらの・・・。
アトラスとカチーナと同じ異形の力じゃねーかっ!?」
圧倒的なその力に天使達もまた動きを止め、
中には腰を抜かし『ガタガタ』と震え始めていた・・・。
「・・・なっ、何なんだ、あ、あの・・・力はっ!?」
この場に居る天使達は大きく分けると2種類いる。
下級と言われる小さな翼を持つ天使達と、
中級と呼ばれる大きな翼を持つ天使達・・・。
下級の天使達はその発せられる力の前に怯え、
そして憔悴していたが、
中級と呼ばれる天使達は辛うじて口を開き身体を動かせていた。
「・・・ゆ、悠斗ぉぉぉぉっ!?」
ユウナギの声が響き渡り、
その切羽詰まったその声に悠斗は上空を見上げた。
「あっ、あれはヤベェェェェっ!?
お前は早くここから離脱しろぉぉぉぉっ!」
そうユウナギが声を張り上げた瞬間、
『ビカァァァっ!』と・・・。
黒いクリスタルの点滅していた青黒い光りが大きくなり、
『バリンっ!』と音を立てて黒いクリスタルが弾け飛ぶと、
青黒い光りは『ドッシャァァァァっ!』と地上に降り注がれた・・・。
その光景にユウナギは『くそっ!』と声を上げ、
悠斗はその力の前に悪寒を感じていた・・・。
(・・・何だあれは?
途轍もない嫌な力を感じる・・・。
憎悪と・・・これは・・・念・・・か?)
身構え眼前に降り注いだ青黒い固まりに警戒した時、
ユウナギはそんな悠斗を見て『あのバカヤロウがっ!』と、
苛立ちを募らせていた・・・。
(・・・アレが何であれ、ヤツらと同じなら、
対抗する手段は・・・も、もう・・・)
青黒い光りが次第に何かに形成し始めると、
傍に居た天使に向かって何かが伸びた・・・。
『ひ、ヒィィィィっ!?』
一瞬だった・・・。
何の抵抗も出来ず天使の身体は何かに貫かれ、
夥しい血が地面に撒き散らされた・・・。
『ゴフっゴフっ・・・カハっ!』
吐血した天使は『ワナワナ』と震えながら視線を上げると、
青黒い光りの中に4つの青く光モノを見た。
天使はその光が何かに気付くと、
『ゴフっ』と血を口から吹き出させながら口を動かした。
『・・・よっ・・・の・・・め・・・が・・・』
ユウナギは天使の唇を読む事が出来なかったが、
悠斗はある程度の距離があるにも関わらず、
天使の唇を読んだのだった・・・。
(・・・四つの目が?
四つの目?
それにこの力は・・・?)
悠斗がそう考えた時、何かに貫かれた天使は引き寄せられ、
青黒い光りの中に飲み込まれた・・・。
『ギャァァァァっ!』と言う断末魔と共に、
聞こえて来たのは『ムシャっ!ガブっ!バキっ!メキっ!』と言う、
あからさまに天使が食われている事を告げる音だった・・・。
『う、うわぁぁぁぁっ!』
『ダ、ダメだぁぁぁっ!
みんな逃げろぉぉぉぉっ!』
その光景に天使達は恐怖がピークに達すると、
叫び声を挙げながら逃走を計った・・・。
『バッサァァァっ!』と翼を羽ばたかせ、
天使達が逃走を計ったその時・・・。
『ヒュン!ヒュヒュヒュヒュンっ!』
青黒い光りの中から紫色の触手が4本伸び、
上空に舞い上がった天使達を一気に串刺しにしたのだった・・・。
そしてその触手が・・・。
再び青黒い光の中に吸い込まれかけたその瞬間・・・。
『はぁぁぁぁっ!』と・・・。
その触手を悠斗が気合いの声と共に跳躍し、
腕に纏わせた渦を高速回転させながら斬りつけた。
『風神・旋風斬っ!』
『ウィィィィィィィンっ!』
『ブッシャァァァっ!』
黒い血液を撒き散らしながら触手が地面に落ちると、
腹を貫かれた4人の天使達は『ズルズル』と這いずりながらも、
その場から逃げようとしていたのだった。
だが伸びた触手は2本・・・。
1本はそのまま光の中へと戻ると、
天使達の断末魔と共に骨を砕く破砕音が響き渡った。
そして『ペっ!』と吐き出され地面に『ベシャっ!』と捨てられたのは、
血塗れとなった天使の翼の一部だった・・・。
その様子を上空で見ていたドナは『ゼェゼェ』と荒く息を漏らし、
目が映ろになりながらも怒声を上げていた。
「・・・しょ、触手を切断しおっただとぉぉぉっ!?
なっ、何なのだぁぁぁぁっ!?
ハァハァハァ・・・。
や、やつらは・・・何なのだっ!?」
上空でドナが怒声を上げ悠斗を睨みつけて居た時、
突然青黒い光の中から、ドナに向かって触手が伸びた。
『ヒィっ!?』と・・・。
ドナが恐怖の声を上げはしたが、
その触手はドナの少し手前で止まり、
貫く事無く触手は引っ込められたのだった・・・。
「・・・お、驚かせよって。
ハァハァハァ・・・」
大量に滴り落ちる汗を無造作に拭っていたドナに、
天使が『ここから離れましょう』と進言した。
ドナは悔しげな表情を浮かべはしたが、
すぐに『そ、そうだな』と返答すると、
天使達に抱えられながら離脱していった・・・。
「・・・ゴミ共が。
まぁ、もう出会う事はないと思うが・・・な?」
そう振り返りつつ呟いたドナは、
『ギリリ』っと歯を食いしばるのだった・・・。
(・・・あの触手は無限に伸びるって訳じゃねーのか?)
(・・・どうしてあの光りの中から出て来ない?
まさか・・・。
成長する為の『食事』を?)
そう考えた悠斗は構えを取りつつ脳内に表示された時間を見た。
(・・・残り・・・5分・・・)
『チっ!』と舌打ちした悠斗を見ていたユウナギもまた、
苦悩し汗を滲ませるのだった・・・。
少し時を遡り・・・。
荒野を歩き始めたリヴォルトとオーダーは話し合っていた。
※ BGM 【月下の荒野 α】
https://www.mureka.ai/ja/song-detail/m9m18WfsAyMaef41zBsp8?is_from_share=1
「・・・なぁ、女神様?
あんたの名を教えてくれよ?」
突然そう言われたオーダーは驚きつつも『オ、オーダーよ』と答えると、
リヴォルトは笑みを浮かべながら『いい名だ』とそう言った。
褒められた事に少し頬を赤く染めはしたが、
すぐに真剣な眼差しを向けると尋ねた。
「・・・どうしてレグルスは堕天したのよ?」
「・・・・・」
オーダーの問いに険しい表情を浮かべたまま、
俯き何かを思い出しているようではあった。
そんなリヴォルトを見つめつつオーダーは続けた。
「・・・一体何があったのよ?
1年前・・・突然神界に対してレグルスは宣言したのよ?
『リード星を足掛かりに、この宇宙を支配する』って」
するとリヴォルトは『フゥ~』と長く息を吐きながら口を開いた。
「・・・レグルス様・・・いや、
正直、何があったのかは俺にもわからない」
「・・・わからないっ!?」
「あぁ・・・。
俺は丁度その時・・・1度目の魔王討伐に失敗し、
逃げていた頃だったと思う。
何故なら、遥か遠くから凄まじい爆発音と、衝撃波。
そして点に向かって立ち昇る噴煙が見えたんだ」
リヴォルトの話にオーダーは驚き、
『ふ、噴煙っ!?』と口にした・・・。
「そして命からがら王都に戻った俺の前には、
バカでかい穴が開いた、嘗て『王都』だった場所だった。
そしてその大穴の中心に居たのは、
創造神・レグルス・・・。
俺は以前、勇者の称号を与えられた時に、
その声を一度だけ聞いた事がある。
その時レグルスは俺に言った。
『おめでとう、君の成長を楽しみにしているよ』と・・・。
とても優しく慈愛に満ちた声だった・・・。
だが、王都だった地に居たレグルスは、
優しさの欠片もない、空虚な目をした男だった」
リヴォルトは哀しげな顔をしそう語った。
「・・・レグルスに一体何が?」
そう呟いたオーダーにリヴォルトは『聞いた話ですが・・・』と続けた。
「・・・魔王討伐に失敗した俺は、
レグルスから2度目の討伐に行くように命令された。
傷付きボロボロになった俺が、そのまま討伐に行くのは無理だと、
そう進言してくれた天使が居たんだ」
「・・・天使?」
「あぁ・・・。
レグルスにせめて傷が癒えてから・・・と、
そう進言してくれたのは『大天使長・アダーラ』だ」
『アダーラ?』と・・・。
オーダーはその名を聞いて何かを考え始めた。
(・・・レグルスが堕天する少し前だったかしら?
神界に密告して来た天使が確か・・・アダーラだったんじゃ?
ヲグナから手渡された資料に確かそんな名が・・・)
険しい表情をしたオーダーがそう考えて居た時、
リヴォルトは足を止めると『そう言えば・・・』と口を開いた。
「・・・うろ覚えて悪いんだが」
そう言ったリヴォルトの声にオーダーも足を止め振り返った。
真っ直ぐオーダーを見つめるリヴォルトに、
オーダーは『何でもいいわ、話して』と返答すると、
リヴォルトは頷きながら言った。
「・・・俺の傷が癒え2度目の魔王討伐に出発する前、
アダーラが俺に言ったんだ。
確か・・・『黒い液体』がどうのこうのって・・・」
『・・・黒い液体っ!?』と・・・。
驚いたオーダーは眉間に皺を寄せると、
その様子を見ていたリヴォルトは尋ねた。
「・・・な、何か心当たりがあるのかっ!?
黒い液体とは一体何なんだっ!?
ソレとレグルスの堕天と一体どんな関係があるんだっ!?」
リヴォルトの問いにオーダーは腕を組み、
片手で顎を摘まみながら視線を下げた・・・。
(・・・黒い液体って確か、ディバイン・ワールドでも、
悠斗とユウナギがそんな話を・・・。
それに資料にも書いてあったわね?
確か・・・悠斗の所に現れた『黒い液体』と、
ユウナギの所に現れた『ゲル状の異物』
話の内容から2つは同種だと思われるけど・・・)
ヲグナから手渡された悠斗とユウナギに関連資料を思い出しながら、
オーダーは思考を巡らせていた・・・。
そんな様子を見ていたリヴォルトが察すると、
視線を先へと向けた時だった・・・。
『キラっ!』と・・・。
一瞬の暗闇の中で何かが光った・・・。
(な、何だ・・・アレは?)
その光に違和感を感じたリヴォルトは、
未だに思考を巡らせているオーダーを置いて歩みを進めたが、
その足は次第に速くなり、気が付いた時には駆け出していた。
リヴォルトの走り出した音に思考を止めたオーダーが振り返ると、
遠ざかって行くリヴォルトの後を追った。
「リヴォルトっ!?
一体どうしたって言うのよっ!?」
駆け出したリヴォルトの背にオーダーの声を感じるも、
リヴォルトの足は止まるどころか、
一気に速度を上げたのだった・・・。
そして『ザザっ!』と足を止めた数メートル先には、
リヴォルトが今まで見た事も無いモノだった・・・。
『バッサァァァっ!』と翼を羽ばたかせ着地したオーダーは、
目の前にあるモノに向かって『どうしてっ!?』と、
声を上げながら駆け出した。
「ど、どうしてこんな所に悠斗の擬体がっ!?」
そう声を上げたオーダーにリヴォルトも口を開いた。
「なっ、何だよ・・・コレが擬体だってっ!?
俺が知る擬体と・・・ぜ、全然違うぞっ!?」
今まで見た事も無い擬体にリヴォルトが焦っている頃、
オーダーは背中が開かれた擬体の内部を覗き込んでいた。
(・・・この擬体の資料は一応目を通しはしたけど、
私にとっては意味不明な事ばかり・・・。
元々私は技術者じゃないからと思って、
ちゃんと資料を読んでなかったから・・・)
『クっ!』と、後悔の呻き声を上げつつも、
双眼に映し出されていた文字を見つけた・・・。
「た、確か・・・これは2人の故郷の文字よね?
えっと・・・な、何だっけ?
ニホ・・・ニホ・・・ニホン?
確かそんな国の名だったかと・・・。
残念ながら私には読めないわ。
だけど・・・。
グリーンで文字が映し出されていると言う事は、
とりあえず動く・・・って事よね?」
『ふぅ~』っと大きく息を吐き出しながら、
身体を起こしたオーダーにリヴォルトは尋ねた。
「・・・確かにこれはあいつが使っていた擬体だとは思うが、
でも・・・どうしてこんな所に?」
オーダーは立ち上がり放置された擬体を見下ろしつつ、
リヴォルトに説明した。
するとリヴォルトは『じ、じゃ~、今はあいつはっ!?』と、
驚き戦闘が行われているであろう場所へと視線を向けると、
リヴォルトは『い、急がないとあいつがっ!?』と声を上げた。
そんなリヴォルトにオーダーは興味深く見つめるも、
すぐに擬体の背中のハッチを閉め、
その重量から持って移動する事は出来ないと判断した。
オーダーは擬体に向かって手をかざすと、
重力魔法を使用し擬体の重量を『紙一枚』ほどに軽減させた。
「・・・あの子、無茶してなければいいんだけど」
そう呟いたオーダーに、リヴォルトは肩を竦ませながら言った。
「・・・女神様?
あいつが無茶をしない訳ないだろ?」
苦笑しながらそう言ったリヴォルトに、
オーダーは『クスっ』と笑いながら言った。
「フフっ・・・確かにね?」
そう笑ってはみたオーダーだったが、
すぐに真顔になると、2人が戦っているであろう場所を見つめ、
『フゥ~』と息を零しながら言った。
「・・・兎に角急がないと、
あの子達が・・・」
そう呟いたオーダーは『バサっ!』と翼を大きく広げると、
リヴォルトに向けて口を開いた。
「・・・急ぐわよ、リヴォルト」
そう言いながらオーダーの口元が微かに上がると、
その様子にリヴォルトの口角も自然と上がった。
「あぁ、分かってる。
こんな所で、あの男を死なせるわけにはいかないからな」
そう互いに頷き合った後・・・。
オーダーは上空に舞い上がり、
リヴォルトは身体強化を使用し駆け出したのだった。
ED曲 【太陽と月の刻】
https://www.mureka.ai/ja/song-detail/XuDv1BqTrmVrk7AP7cXziZ?is_from_share=1
ってな事で・・・。
今回の話はこんな感じとなりました。
黒い液体や第十階梯・・・。
今後の展開をお楽しみ下さい^^
ってなことで、緋色火花でした。




