第13話 ユウナギの不安
お疲れ様です。
九州で自身がありました。
九州地方の読者様方のお気持ちをお察し致しますか。
緋色も震災経験者なので・・・。
1日でも早い復旧をお祈りしております。
それでは、第13話をお楽しみ下さい。
OP曲 【光と闇の狭間で】
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集落を襲った天使達を始末した後・・・。
ユウナギは姿の見えない悠斗に何度も念話を送ったが、
返答は一向に返って来なかった・・・。
※ BGM 【黄昏の捜索】
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(おいおいおいおい・・・。
ま、まさかとは思うがあいつ・・・)
連絡がない悠斗に焦りの色を浮べたユウナギは、
焼き落ちた集落の中を走り悠斗を探したのだった・・・。
その途中・・・。
オーダーに念話で事情を話すも、
逃げ延びた住人達で忙しいと断られてしまい、
ユウナギは1人で探すはめになったのだった・・・。
(悠斗のヤツに限って天使なんぞにやられたとは思わねーが、
返答がないってのは・・・)
『タッタッタッタっ!』
集落中を走り回る中、
ユウナギの脳裏には『まさか・・・だろ?』と、
焦りの濃度が高まった時だった・・・。
集落の中央付近に在る少し開けた場所に来た時、
妙な気配を感じたユウナギは『ザザっ!』とその足を止めた・・・。
「・・・あれは、ゆ、悠斗・・・か?」
夕暮れ近くなった集落に茜色の空が広がって行った。
ユウナギは夕陽に向かう様に歩みを進めた時、
倒壊した建物の壁に背中を預け座っている悠斗を見つけた・・・。
ユウナギは安堵の息を零しつつ、
連絡を返さなかった事に苛立ちを募らせ歩みを進めながら、
『てめーっ!悠斗ぉぉぉっ!』と怒声を発した。
ユウナギの怒声にも反応を示さない悠斗に、
『・・・返事くらいしやがれってんだっ!』と声を荒げた時、
悠斗の姿に驚愕し拳を固く握り締めた・・・。
「ゆ、悠斗・・・そ、その子は?」
倒壊した壁に持たれるように座り込んでいた悠斗の胸の中には、
幼い子供が抱かれており、
その様子から既に息絶えている事が見て取れた。
「・・・だ、だめ・・・なのか?」
ユウナギの声に悠斗は視線を合わせる事も無く、
ただ虚空を見つめたまま『コクリ』と頷いた。
『ツゥー』っと・・・。
茜色に染まる集落を見つめつつ、
静かに涙を流した悠斗は重くなった口を開いた。
「・・・ま、間に合わなかった」
「・・・・・」
「・・・あと一歩。
俺の手はこの子に届かなかった」
「・・・悠斗」
「お、俺はあいつらの話を聞くことをせず、
さっさと斬り捨てていたら・・・この子は・・・」
息絶えた幼い子を『グっ』と抱き締めた悠斗に、
ユウナギは何も言えなかった・・・。
「俺は・・・。
この子を殺した天使を斬り捨てた後、
回復魔法を使ったんだけど・・・」
そう言いながら声を押し殺しながら泣いている悠斗に、
ユウナギは『そうか・・・』とだけ言った。
すると涙を流しながら悠斗はユウナギに尋ねた。
「な、なぁ・・・ユウナギさん?」
「な、何だ?」
「・・・あいつらはどうして・・・こんな事が出来るんだよ?
神に仕える・・・天使なん・・・だろ?
どうして・・・こんな事が・・・」
息絶えた幼い子を抱き締める悠斗の肩が震えていた。
そして涙を流しながら『ごめんよ、ごめんよ』と、
何度も何度もそう謝罪を口にしたのだった。
そんな悠斗を見たユウナギは、
『チっ!』と怒りを伴った舌打ちをすると胸が熱くなり、
救えない命があった事に今更ながら熱いモノが込み上げて来た。
そして気が付いた時には・・・。
ユウナギ自身も涙が零れ落ち、
強く抱きしめる幼い子の頭を優しく撫でていた。
するとユウナギは『お、お前・・・』と、
悠斗の身体が血塗れになっている事に気付いた・・・。
ユウナギはそんな悠斗に言った。
「ほら・・・立てよ、悠斗?」
「・・・・・」
「・・・そ、その子も・・・ち、血塗れじゃねーか?
2人共・・・こ、この俺様が・・・浄化して・・・やんよ」
涙を零しながらそう言ったユウナギに、
悠斗は『そう・・・だね』と言って重くなった腰を上げた。
茜色の空が黒く染まり始めた頃・・・。
ユウナギによって浄化を受けた後、
オーダーや住人達が居る場所へと歩き始めたのだった。
夜の帳が降り・・・。
夜空に満天の星々が瞬き、天使達の強襲が無かったかのように、
静かな空気の中、焚火を前に皆が無言で座っていた。
※ BGM 【哀しみの中で】
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湯気を立ち昇らせるコーヒーの香ばしい匂いが漂い、
疲れ切った者達に一時の安息をもたらしていた・・・。
『パチパチパチっ!』
焚火の音が静かに響いて居た時、
『ジャリ、ジャリ、ジャリ』と幾つかの足音が向かって来た。
ユウナギはその視線を向けた時、
頭を下げながら近付いて来たのは、
悠斗が救えなかった幼い子の両親だった・・・。
「・・・お疲れのところすみません」
そう言ったのは父親らしき男だった・・・。
ユウナギは慌てて立ち上がると頭を下げ返答した。
「あっ、い、いや・・・大丈夫だ」
そう返したユウナギに父親は申し訳なさそうに頭を下げると、
ユウナギは『どうかしたのか?』と尋ねた。
「・・・う、うちの子を・・・有難う御座いました」
そう言いながら勢いよく・・・。
深々と頭を下げた瞬間、母親もまた続いて頭を下げた。
「うちの・・・子が・・・。
き、綺麗な・・・す、姿のまま・・・。
もどっ・・・て来られたのは・・・あ、あなたがたのおかげです。
感謝・・・致しま・・・す」
母親がそう言った瞬間・・・。
『ポタっ』と地面に涙が零れ落ちた。
そんな姿にユウナギは一瞬顔を顰め拳を握り締めたが、
すぐに2人に頭を上げるように促すと言った。
「・・・救い出す事が出来ず・・・すまない」
そう謝罪を口にし頭を深々と下げるユウナギに、
2人は慌てて頭を上げるようお願いをした。
するとて悠斗もまた立ち上がり、
両親に対して深々と頭を下げ『申し訳ありませんでした』と、
拳を握り締めながら謝罪を口にした。
すると両親が慌てて近寄ると悠斗に寄り添うように支えると、
父親が口を開いた。
「や、やめてください・・・。
貴方は・・・む、娘を・・・。
見ず知らずの私達を救おうと戦ってくれたじゃないですか?
素通りする事も出来たでしょうに・・・。
うちの子は・・・。
ですが貴方は何度も私達に謝罪をして下さり、
見ず知らずの私の娘に対して涙をも流していただきました。
これ以上・・・。
私達は何も言うつもりも御座いません。
悪いのは・・・あいつら・・・。
神達なのですから・・・。
ですから・・・もう・・・頭を・・・」
「・・・あ、あり・・・が・・・とう・・・ございます」
悠斗の涙が『ポタポタ』と地面に落ちる姿を見た夫婦は、
悠斗をゆっくりと座らせた・・・。
夫婦が悠斗に寄り添い、背中をさすっているその姿を見たユウナギは、
『・・・悠斗』とその名を呟いた。
そして少しの沈黙の後・・・。
ユウナギは父親に声を掛けた。
「・・・こんな時にすまないが、少し話を聞かせてくれ」
ユウナギの言葉に2人は顔を見合せると頷き合い、
『わかりました』と答えると、
ユウナギはオーダーへと視線を向けた。
「・・・オーダー?
すまないが奥さんを頼めるか?」
ユウナギの頼みにオーダーは少し顏を引き攣らせはしたが、
すぐに『はぁ~』っと息を吐くと『わかったわ』と言い、
この場から奥さんを連れ出したのだった。
焚火を前に父親が地面に座った時、
悠斗は煎れたてのコーヒーを差し出した。
「・・・口に合うといいんだけど?」
そう言いながら差し出されたコーヒーカップを手に取った父親は、
立ち昇る湯気と漂って来るその香りに、
『いい匂いですね?』と少しの笑顔を見せた。
『ズズっ』と一口・・・。
父親がコーヒーを口に含むと言った。
「・・・酸味はありますが、
とても美味しいです」
そう言った父親に悠斗は『それはよかったです』と返すと、
ユウナギは話を切り出したのだった・・・。
「こんな時に悪いんだが・・・。
色々と話を聞きたくてな?」
「・・・いえ、私も誰かと話していた方が」
そう言って哀しげな視線を焚火へと向けると、
ユウナギは続けた。
「・・・あいつら天使は一体どうして?
神は人を守る者だろ?」
そう尋ねはしたがユウナギ自身聞くまでもなかった。
それは『創造神・レグルス』によって、
もたらされた冷酷非道な行為だと言う事を・・・。
すると父親は悔しげな顔を見せながら言った。
「・・・あ、あいつらは・・・て、天使の皮を被った悪魔です」
『・・・・・』
「・・・か、神を・・・創造神を崇めない者達は全て、
粛清の対象となるらしい・・・です」
『なっ!?何だってっ!?』
ユウナギと悠斗が揃ってそう声を挙げると、
ユウナギは怒りを滲ませながら口を開いた。
「・・・そ、そんなくだらねー理由で神は人を殺すのかよっ!?」
その声に父親は険しい表情を滲ませると『コクリ』と頷いた。
「・・・ふ、ふざけんじゃねーぜっ!?
人の命を一体何だと思ってんだっ!
神達のオモチャじゃねーんだぜっ!?」
ユウナギの怒声に父親もまた大きく頷いた時、
今度は悠斗が尋ねた。
「・・・この星には『勇者』は居ないの?」
悠斗がそう尋ねた瞬間だった・・・。
父親の表情はあからさまに豹変すると、
涙を零しながら訴えた・・・。
「・・・ゆ、勇者様は・・・ね、寝返り・・・ま、ました・・・」
『っ!?』
※ BGM 【静寂の炎】
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悠斗とユウナギにとっては信じられない言葉に、
2人は声が出なかったのだった・・・。
すると父親は続けた・・・。
「・・・レグルスから神の力を与えられた勇者は、
躊躇う事無く・・・街1つをたった5人で滅ぼしました」
父親の話に怒りが頂点に達したユウナギは勢いよく立ち上がると、
『・・・ゆ、勇者が・・・ま、街をっ!?』と・・・。
怒り心頭な様子を見せたのだった・・・。
ユウナギが怒りを露にした時だった・・・。
悠斗が男に『あのさ・・・』と尋ねた。
「・・・勇者の名は?」
悠斗の声に視線を向けた男は、その瞬間『ゾクっ』と寒気が走った。
それは悠斗の眼差しが常軌を逸していた目をしていたからだった。
「・・・・・」
悠斗の迫力に気圧され言葉が出て来ない男に、
ユウナギは『おい、悠斗?』と制した。
すると悠斗は『ごめん』と言ったものの、
心の中で燃え盛る怒りの炎は消せないようだった・・・。
男は謝罪を口にした悠斗に『だ、大丈夫です』と言ったモノの、
心臓の鼓動は今も激しく鼓動していた。
(・・・この人はうちの娘の為に、こんなにも怒りを?
ははっ・・・何て人だよ・・・。
見た限りじゃ、まだ少年と言っても過言でもないだろうに、
この人は・・・)
男は拳を握り姿勢を正すと2人に勇者の名を告げた。
「・・・勇者の名は『リヴォルト』
神に与えられたその力に溺れた我々の敵です」
『・・・リヴォルト』
男から教えられた勇者の名を聞いた2人の目に、
激しい怒りの炎が宿っていた。
そんな2人を見た男は怒りを露にするその姿に、
『本来勇者とは、こういう人たちの事を言うのだろうな?』と、
確信めいたモノを感じたのだった。
そして焚火の火が『パチパチっ!』と弾け、
火の粉が舞った時、ユウナギは『そう言えば・・・』と、
男に尋ねた。
「あんた・・・名は?
因みに俺の名はユウナギでこいつが悠斗ってんだ」
悠斗は『ペコリ』と座ったまま頭を下げると、
ユウナギの問いに自分が名乗っていない事を思い出した男は言った。
「・・・私の名は『アルフ』
妻の名は『リリア』と言います」
名を教えてくれた事にユウナギが頷いた時、
悠斗はアルフに尋ねた。
「・・・娘さんの名は?」
『っ!?』
悠斗の質問にアルフは『本当にこの人は・・・』と、
亡くなった娘の事を心から思ってくれているのだと感じると、
ラルフは微笑み、娘の元気な笑顔を思い出しながら答えた。
「・・・娘の名は『リアン』と言います」
「・・・リアン・・・か。
いい名だね?」
「・・・有難う御座います」
そう言った悠斗は笑って見せはしたが、
その笑顔にユウナギは心の中で『まただ・・・』と呟いていた。
※ BGM 【罪の残り火 α】
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(・・・あの時見せた笑顔と全く同じだ。
からっぽな笑顔の奥にはきっと・・・。
こう言う時の悠斗は・・・ヤバい気がする。
マジで目を離したら何をするかわかったもんじゃねー・・・。
少し気を付ける必要がありそうだな?
そうなる前に・・・。
こちらから仕掛けるしかねーな?)
双眼を閉じ心の中で溜息を吐いたユウナギは、
アルフに天使達の事を尋ねた。
「・・・なぁ、アルフさんよ~?」
「何でしょうか?ユウナギさん」
そう返答した時・・・。
一瞬だけその視線を悠斗に向けると尋ねた。
「・・・一応天使達の居場所は聞き出してはいるが、
このままじゃ~埒があかねー。
だから・・・だ。
創造神・レグルスの居城に乗り込もうかと思うんだが?」
ユウナギの双眼が強く『ギラ』つき、
その発言にアルフは『えっ?』と驚きの声を挙げた。
「な、何を・・・何をバカな事を言っているのですかっ!?」
「・・・な、何をって、そりゃ~・・・な?」
そう言いながら悠斗を見た時、
悠斗は『コクリ』と力強く同意を示した。
そんな2人にアルフは立ち上がりながら声を荒げた。
「バカな事はやめて下さいよっ!」
「・・・バカな事?
そりゃ~また・・・どうしてだよ?」
アルフの言葉にユウナギはそう声を挙げると、
2人を交互に見ながらその口を開いた。
「・・・あ、相手は・・・相手は『創造神』ですよっ!?
あ、貴方がたは・・・ひ、人族ですよねっ!?」
そう言われたユウナギは悠斗を見ると頷きながら、
『まぁ~見た通りの人族だが?』とそう返答すると、
アルフは『だ、だったらっ!』と言葉を続けた。
「・・・私達と同じ人族なのでしたら、
か、神に・・・敵うはずないじゃないですかっ!?」
そう声を荒げたアルフにユウナギは『へへっ』と笑い、
悠斗もまた肩を竦めていた・・・。
そんな2人の様子にユウナギは口角を上げると言った。
「・・・神だから・・・何だよ?」
「・・・え、えっ?」
「神だからってよ?
こんな残虐非道な事が・・・まかり通るのかよ?」
そう言いながらアルフを見つめたユウナギの目は『ギラ』つき、
アルフは『くっ』と呻き声を挙げのが精一杯だった。
すると今まで黙っていた悠斗が、
コーヒーカップから口を離しながら言った。
「・・・アルフさん?
ちょっと聞いて欲しいんだけど?」
そう静かに声を挙げた悠斗だったが、
その目はユウナギと同様に瞳の奥が『ギラ』ついていた・・・。
「・・・な、何で・・・しょ、しょうか?」
悠斗の迫力に気圧されたアルフがそう返答すると、
悠斗値は焚火の火を見つめながら言った。
「・・・神は所詮・・・人の上位互換でしかないよ?」
「じょ、上位互換?
か、神が・・・ですか?」
『コクリ』と焚火の火を見つめながら頷いた時、
ユウナギがアルフに言った。
「・・・あぁ、こいつの言う通りだぜ?
アルフさんよ~?
どの道・・・この現状をどうにかするには、
誰かがやらなくちゃなんねーだろうが?」
諭すようにそう言ったユウナギに、
アルフは『で、ですが・・・』と言葉を零すと続けた。
「・・・俺達はこのリード星の創造神より、
立場が上の上位神に頼まれてこの星に来たんだぜ?」
ユウナギの話にアルフは驚き『そ、そうなのですかっ!?』と、
慌てた様子で声を挙げると言った。
「・・・残虐非道を行う天使達や裏切者の勇者。
そしてレグルスの回りに居る神共・・・。
クックックっ・・・上等じゃねーかぁ~?
俺と悠斗が全て・・・斬ってやんよ~♪」
そう言い放つたユウナギは、アルフの目をじっと見つめていた。
(・・・こ、この人達は・・・ほ、本気だ。
か、神を・・・。
人族の分際で・・・か、神を・・・。
創造神を斬るつもりなのかっ!?)
アルフはそう思いながらも驚きを隠せず、
口を開けたまま固まっていると、
立ち上がった悠斗は『ポン』とアルフの肩に手を乗せなが笑みを浮べた。
「・・・上位神・ヲグナは、
この星の人達を見捨ててはいない。
だから俺達が此処に・・・。
創造神・レグルスを殺す為に、リード星に来たんだ。
だからアルフさん?」
そう言った悠斗はアルフをじっと見つめるとこう言った。
「・・・レグルスは何処に居るのか教えてくれないかな?」
『ほ、本気・・・なのか?』と・・・。
改めて2人の意思を感じ取ったアルフは唖然とした時、
オーダーがアルフの妻であるリリアを連れて戻って来た・・・。
『・・・話は終わったの?』と・・・。
訝し気にそう言ったオーダーに、
ユウナギは『そろそろ詰めだ』とそう答えた。
するとオーダーは素っ気なく『あっそ』と返すと、
リリアはアルフに寄り添うように並んだ。
そんな夫婦を見たユウナギは改めて尋ねた。
「・・・ヤツは・・・創造神・レグルスは何処だ?」
※ BGM 【罪の残り火 β】
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ユウナギの放つ気迫にアルフが険しい表情をし、
未だに迷いを滲ませた時、
オーダーは焚火の前に座りながら言った。
「・・・レグルスの居城は此処から100kmほど離れた首都。
『聖都・ラグーナ』に居るわ」
『っ!?』
オーダーの言葉に驚くも、
ユウナギは『てめーっ!どうしてっ!?』と声を挙げると、
アルフの妻、リリアが口を開いた。
「わ、私が・・・オーダー様にお話しました」
『っ!?』
リリアの言った事にアルフは『ど、どうしてっ!?』と声を挙げると、
一度双眼を閉じ、目を見開きながらアルフに対し声を荒げた。
「だ、だってっ!
か、神達は・・・わ、私達の娘・・・リアンをっ!」
「あ、相手は・・・神だぞっ!?
人族が・・・人族の力で神を倒せるとでもっ!?」
「でも・・・あなたっ!?
め、女神・オーダー様が居ればっ!?」
リリアが目に涙を溜めそう訴えた時、
焚火に小枝をくべながらオーダーが素っ気なく言った。
「・・・別に私が戦う訳ではありませんよ?」
『・・・えっ?』
「・・・私はこの2人をただ・・・見ているだけです。
神に抗える力を持つ、この2人の人族が、
本当に神と対峙し戦えるのか?
私はこの2人を監視するように命じられているだけです」
夫婦に気遣う様子も見せずそう言い放つと、
リリアは『そ、そんな・・・』と膝から崩れ落ち俯いた。
するとその様子を見ていたユウナギは『チっ!』と舌打ちすると、
オーダーに向かって声を荒げた。
「やいっ!てめーっ!オーダーっ!?
てめーは空気ってものが読めねーのかよっ!?
てめーも神の端くれだろうがっ!
ちっとは人の気持ちってもんを察しやがれっ!」
そう怒声を発したユウナギに、オーダーは『どうして私が?』と、
悪びれた様子を見せる事無く返すと、
ユウナギは『て、てめー』と怒りを露にした。
そんな2人を横目にしながら、
悠斗はリリアの前で片膝を着くとその手を取りこう言った。
「・・・心配しなくていいよ?
創造神・レグルスは何があっても・・・始末する。
約束するよ・・・リリアさん?」
悠斗はそう言いながら顔を上げたリリアを見ると頷き、
その視線をアルフへと向けながら言った。
「・・・リアンのような子を出さない為にも、
この星の神達は・・・。
俺が・・・殺す」
そう悠斗が言った瞬間・・・。
夫婦の背中に『ゾクっ!』と寒気が駆け抜けると、
ユウナギが頭を『ボリボリ』と掻きながら言った。
「ったくよ~?
悠斗・・・てめーはよ~?」
呆れた様子を見せながら言ったユウナギは、
悠斗の頭を掴むと『ヘッドロック』を極め、
『ギリギリ』と締め上げながら言った。
「俺・・・じゃ~なくてっ!
俺達がっ!だろうがよっ!?
てめーだけでやらせたら・・・。
いつまで経ってもケリがつかねーだろうがっ!」
『グイグイ』と悠斗の頭を締め上げながらそう言ったユウナギに、
悠斗は『痛いっ!痛いってばぁぁぁっ!』と苦悶の声を挙げたのだった。
そんな2人を見たアルフは『ははっ』と乾いた笑い声を挙げながら尋ねた。
「・・・お、お二人って・・・兄弟なのですか?」
アルフの言葉に2人は『ピタリ』と動きを止めると顔を上げ、
『・・・きょ、兄弟?』と返すと、
アルフは不思議そうに『違うのですか?』と尋ね返された。
するとユウナギは悠斗を『ヘッドロック』から解放すると、
そっぽを向きながら言った。
「・・・ま、まぁ~似たようなモノかな~?
とは言っても・・・。
こんな協調性もないガキが弟だなんて思いたくはないけどよ~?」
そう言い放ち『はっはっはっ!』と高笑いすると、
アルフは『・・・いい兄弟だ』と呟いたのだった。
焚火の火が『パチバチ』と音を立て、
少し冷えた風がその火を揺らした時、アルフは改めて2人に言った。
「・・・分かりました。
私は・・・。
いえ、俺は貴方達の事を信用します。
ユウナギさん、悠斗君・・・。
御願いします。
あの創造神を・・・レグルスをどうか・・・宜しくお願いします」
そう頭を下げたアルフに続き、
妻であるリリアも『宜しくお願い致します』と頭を下げると、
悠斗とユウナギは互いに顔を見合せると頷き合った。
「・・・あぁ、必ずレグルスの野郎は粛清してやんよ♪」
そう笑みを浮べ答えたユウナギは、
その隣で怒りの炎を静かに燃やす悠斗に不安を感じるのだった。
ED曲 【太陽と月の刻】
https://www.mureka.ai/ja/song-detail/XuDv1BqTrmVrk7AP7cXziZ?is_from_share=1
ってな事で・・・。
今回のお話は少し暗くなってしまいましたが、
今後の展開をお楽しみに・・・。
ってなことで、緋色火花でした。




