3話 サクラの夏休み
ヒカルとの別れから数年が経ち僕も中学生になった
この数年も色んな事があったが相も変わらず剣道漬けの日々それに加えて過去の力の鍛錬にも力を入れた
しかし一つだけ大きな変化があった
それは妹のキクが産まれた事だ
これまた古風な名前だと思って色々案は出してみたがばあちゃんが全て却下
キクのどこが古臭いんじゃ!!
可愛さのなかにどこはかとなく気品さ漂うこの子にピッタリじゃー
キクちゃん
うん可愛いじゃないと言う母
う、うん可愛いく思えてきたと言う父
正に鶴の一声である、、、
キクちゃんお前は今日からキクちゃんじゃ〜
可愛ええキクちゃんっ
キャハハと微笑むキク
うん可愛いすぎるなうちの妹は、、、
キクが産まれて3ヶ月程経った中学になって初めての夏休み
今年はキクがまだ生後三ヶ月という事でその大半を家で過ごす事となった
サクラ家族旅行は無理でも近場なら父さんが連れてってやるぞ
どこか行きたい所はあるか?
うーんじゃぁ
サクラは私と知り合いの道場に剣術の合宿に行く
えっ!?(一同)
そうなの?と頭を傾げる母
頑張ってくるんだぞ!!と励ます父
ニコニコなばあちゃん
無邪気に眠るキク
一瞬頭が真っ白になったが稽古自体は嫌いではない
まぁ強くなれるならいいか
ところでばあちゃんどんな道場にいくの?
ばあちゃんの古くからの知り合いさね
まぁ楽しみにしておきなさい
表舞台には一切顔出さないが実力ならそうそう肩を並べれるものはおらんよ
それから程なく僕とばあちゃんは高知県のとある道場へやってきた
ナスじい〜来たよ〜
ナスじい〜
じいじいとワシャあんたとさほど歳かわらんだろうに
ギロりと睨むばあちゃん
凄い迫力だ!!
その迫力に顔を背け目をこちらにやるナスじいなる人物
ほぉお主がサクラかえ?
なかなかやれるのぅ
えっはい!?えっ
あっこれから数週間ご指導よろしくお願いします
そう畏まるな
サクラもワシのことはナスじいと呼ぶようにな
ニカッと笑うナスじい
その日は寝床の案内や町の案内をしてもらい早めに就寝に着くことに
次の日から特訓が始まった
サクラよお主がここに来たと言うことはあのばあさんがそれなりの実力があると見込んでのことじゃろう
周りの大人はお主の相手になるか?
正直に言うと勝てる自信はあります
フムその言葉決しておごりでは無いじゃろう
では今からその木刀で打ってきなさい
あのナスじい
防具は??
ニカッ
サクラよ早う打ってきなさい
殺す気で
ドクンッ!!!
ばあちゃんが言っていた事がよくわかる
この人は本物だ
一気に場が張り詰める、、、
それからは酷かった
実際僕は過去の力を使わずとも純粋な剣術だけでも誰にも負けないという自負があった
その僕が一太刀すらいれられなかった
どうじゃワシもまだまだイケるじゃろ
しかしサクラの実力も大したもんじゃ
そうそう負けることもないじゃろ
しかし僕は一太刀もいれられなかった、、、
そう
まさにそれじゃ
ワシがサクラに教える力じゃ
なんと言えばええのか
生き残る為の剣であり死なない為の剣でもある
そう言った類じゃよと微笑むナスじい
ワクワクするじゃろ?
ハイッ
更に次の日からは早朝に滝での修行も追加された
目を瞑り呼吸を整えたら滝に打たれながら木刀を構えよ
滝行ですか?
まっとりあえずわしが滝に打たれよう
わしが滝に打たれだしたらいつでもどこからでも小石を鷲に当ててみい
そういうとナスじいは木刀を片手に目瞑った
静寂の中の瀑声
木の枝が落ち水面が波打ったその瞬間ナス爺の左肩目掛けて石を投げた
スゥゥ
え!?
僕は勘違いをしていた
僕はナスじいが投げてくる石を滝に打たれ目を瞑った状態で木刀ではたき落とすものだと思っていたが
ナス爺が今僕の前でやって見せたのは投げられた石が木刀の剣先に触れた瞬間に威力を殺しながら回転し石を木刀の剣先にて完全に停止させてみせたのだ
ニカッ!どうじゃ
まっサクラほどの才能の持ち主なら高校に上がる頃には習得できるじゃろ
とりあえず今日より午前はこれに時間を割く
それからの合宿期間はこの世界に生まれてきた中で一番充実した特訓ができた
そして一週間がすぎた頃
とりあえず精神を研ぎ澄まし気の流れから僅かな空気の振動を感じとり投げられた石をはたき落とすところまでは来ていた
本当にサクラには驚かされてばかりじゃ
では今日も行くぞ
ハイ
その日はいつも以上に周りが静かに感じられた
連日睡眠時間を削っての自主練のせいなのかボーっとしてるような力が入らないような不思議な感覚だった
あぁ左手手首に石が飛んできているな
スゥゥ〜
ッ!!!!!!!!
あっでっできた!
!!!!
なんと!ここまでか!!
サクラそのまま集中せい
その感覚を忘れんよう昼もぶっ通しでこのまま続ける
モノにしてみせぃ
ハイっ!!
結局その日は夜遅くまでぶっ通しで修行は続いた
今日から昨日身につけたモノを応用した技を身につけてもらう
本当は数年後の予定だったがサクラなら問題ないじゃろ
ハイ!
それから合宿終了期間まではあっという間だった
今日はサクラが身につけたものを見せてもらう
その時だった
ナスじいの背後から凄い勢いで何かが突進してくる
危ないっと言いかけた瞬間ナスじいはその何かをひらりと躱わす
その何かが僕めがけて突っ込んできたが僕はそれを冷静にかわす
ドンっ!!バキバキっドンッ!!!!
追突した木がへし折れる
そしてゆるりとこちらに向き直るそこには今まで本やテレビで見てきたものの比ではない位大きなイノシシがいた
サクラよ奴を行動不能にしてみせよ
ただし!殺生は許さぬ!行動不能じゃ
ハッハイッ!!
確かイノシシは突進中の急な方向転換は苦手なんだっけ?ではそこを狙う!
どんなに大きな個体だろうとどんなに素早い突進だろうた躱すだけなら問題ない
次の突進時に決める!
キタ!そしてヒラリと躱す
その時だった
イノシシはあり得ないスピードで方向転換をはかりその勢いのまままた突進してくる
しかしこれも問題なく躱す
それにしてもまるで砲弾だ
僕が躱すたび周りへの影響がすごい
次で決める
うん彼も次で決めるようだ
グルルルッグルルル〜凄いやる気満々なのが伝わってくる
ギィィィィーー!!!!
ナス流【亞慈砕】
この技は相手の攻撃を回転でいなし無防備になった急所に無数の剣撃を打ち込む技である
ギューー、、、、バタンっ!
そこまで!!!
見事じゃサクラ
イノシシに近寄るナスじい
ナスじい危ない!!
大丈夫じゃコヤツとは昔馴染みなんじゃ
鼻で応えるイノシシ
こやつはここら一帯の主じゃ
ひょんなことから昔知り合うてのう
それからの付き合いじゃ
それよりサクラ
よう頑張ったのう
ありがとうございます!!
あとサクラよ
それらの技はあくまでワシの技じゃ
ハッハイ
ここからは何も答えんでええ
黙って聞いとくれ
ハイ
サクラはまだワシには見せてないチカラを隠しておるのぅ
!!!!!!!!!ッ
その力を使っていればワシに一撃入れる事も山の主を行動不能にする事もいとも容易く出来たじゃろう
サクラが何故、力を使うのを躊躇うておるのかはわからぬし聞かぬ
しかし今後サクラが本当に大切なものを守る時には躊躇うてはいかん時が来るやもしれぬ
したがって課題を出す!!
今回授けた技をサクラの力を用いてサクラ流に昇華してしてみせぃぃ!
まことに次に会う時が楽しみじゃ
ハイッ!
そして帰り支度をしてばあちゃんが大荷物で帰ってくる
聞くところによるとこちらの友人の方々と温泉三昧の日々を送っていたらしい
ばあちゃんらしいや
サクラが世話になったねぇ
ナスじい本当にありがとうございました
必ずまた来ます
またのぅ
こうして僕の夏休みは終わりを告げるのであった




