↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

遭遇

 「いやいや何だよこれ。違うだろ夢だ。まだ寝てるのか俺は。」


 頬っぺたを叩いても、洗面所で顔を洗っても覚める気配はしない。混乱しているが、ひとまず湯船に水を貯め始める。何が起こっているのか分からないが、やばい事態が起こっていることだけは分かる。

 「何すれば良い!?戸締り?戸締りをしっかり締めないと!!!」

 慌てて外に出ると、現実が顔を叩く。煙の匂いが飛び込み、耳は人の悲鳴を拾ってしまう。家の門をしっかりと閉めて、周囲を囲むフェンスを確認する。人の背丈ほどあるフェンスがこんなに頼りに思うのは初めてだ。となりの車庫も閉まっているのを確認して、転がるように家に逃げ込む。

 家に入ると、力が抜けたのか床に倒れてしまう。息が荒く、心臓がこれでもかと主張している。自室に逃げ込むとつけっぱなしのテレビから声がする。

 「現在O局のスタジオからお伝えしていますが、暴徒....いえこう呼びましょう。ゾンビです!ゾンビが押し寄せています!!!ここももう時期駄目です。皆さんは避難してください。やつらは人を襲います。何に反応しているが分かりませんが人を見ると襲ってきます!!安全な建や...うわぁあくるなくるなぁぁぁぁぁ!!!」

 絶叫する司会が必死に逃げようとするが、青白い手は頭を押さえて首筋に噛みつく。血が吹き出し体がびくんとはねる。画面外からどんどんやつらは押し寄せ、画面が肉で埋まる。もう見ていられずにチャンネルを変えるが、信号がないかしばらくお待ちくださいのテロップが流れるのみだ。

 何か作業をしないといけないと思った俺は、ありったけの充電器を充電し始める。それが終われば一階へ食料を集め始める。何かあった時に一階の方が気づきやすいはず、そう思い行動する。



・飲料:6箱+ばらのペットボトル(空のものは水を貯めた)

・コーラ:3箱

・食料:スナック類等々を合わせて10箱

・非常用の携帯食:3箱


 これが我が家の備蓄一式。今すぐ尽きるわけではないが、今後を考えると不安が押し寄せてくる。もっと食料が必要だ。食料だけでない、身を守りこの家の警備を強化する資材がいる。無気力に生きたいが、生きるための努力を惜しんではいけない。


 何が何でも生きないといけない。そうしないと両親に申し訳がたたない。



 リュックサックを背負い、バットを握りしめる。これがどれだけ役に立つか分からないが、無いよりマシだろ。門を開けて道路に出るが誰もいない。そのまま進むと開けた道に出たところで一人立っていた。生きている人じゃない。一見しただけで分かるほど欠損が酷いのに、フラフラと頭を揺らしている。

 ふとそいつが振り向いた。顔は白く、目は白目を黒く塗りつぶしたように真っ黒だった。反射的にバットを握りしめる。

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 ガラガラの声で叫びながら走ってくる。

 (ちくしょう!走れるゾンビかよ!?ゾンビならノロノロ歩きやがれ!)

 全速力ではないにしても早歩きほどの速度で真っ直ぐこっちを狙ってきたタイミングを合わせる。


 グシャャ!


 真っ直ぐに振り下ろしたバットは、頭に当たった。スローモーションで見ているように、頭が砕け中身が噴き出てくる。そのまま叩きつけるように振り抜くと、地面へ倒れそのまま動かなくなった。後退りして様子を見るがぴくりともしない。どうやら頭を潰せば倒せるようだ。

 ふーと息を吐き出して地面に座り込む。暫くは動けない。バットを放して蹲る。


 かつて人だった化け物ではあるが、俺が殺ってしまった。その消えない事実が心を圧迫させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。