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世界の代行者  作者: 星之矢
第1章 始まりの過去編
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第7話 忘れてはいけない記憶

第1部 過去への贖罪

 集合時間の15分前、俺は学校に着き生徒会室へ向かった。

 今度は遅刻ギリギリではなく余裕を持って家を出ることができた。


「ふあぁ〜。ちょっとだけ眠いな」


 俺は口元に手を当ててあくびをしながら歩いていると、右の廊下の曲がり角から有栖川さんが歩いてきた。


「あ…、鐡君」


「こんばんわ」


 廊下でばったり鉢合わせてしまい、少し気まずそうにする有栖川さん。


「ちょうどいいわ。私、鐡君に聞きたいことがあったの」


「聞きたいこと?」


「えぇ。なんで魔力の無い鐡君が魔術痕の調査を手伝っているの? 魔力が無かったらこの調査で何も出来ることはないじゃない。

 君の本当の目的は何なの? 一体何がしたいの?」


 聞きたいことというのは、どうやら俺がなぜ魔術痕の調査に協力しているのかということだった。

 魔力が無い俺は力にはなれないから他に別の目的があるんじゃないかと疑っているらしい。


「当然の疑問だね。でも他の目的なんてものはないよ。ただ、俺にはなんでか無関係じゃない気がするだけ」


「なにそれ。結局は自分でも理由は分からないってこと?」


「そういうことだね」


「呆れた。もっとマシな理由はなかったの? ますます怪しく見えるわね」


 最初から疑っていたということか。今は何を言っても聞く耳を持たないかもな。


「それなら、俺は行動で示すしかないね」


「どうやって行動で示すのよ」


「これは誰にも言ってないことなんだけど、―――■■■■■■■■■■■■■」


 俺は自分に出来ることの一部を打ち明けた。


「――!? それは本当なの? 待って、全然理解が追いつかないわ…」


「本当のことだよ。信じるか信じないかは任せるけど」


「……そのこと、みんなは知ってるの?」


「仙道隊長は自分の隊の部下のことだから多分知ってると思う。でも他のみんなは俺からは特に話していないから知らないと思う。

 そもそもあんまり聞かれてもないからね」


 有栖川さんは初めはすごく驚いていたけど、次第に落ち着きを取り戻し俺が言った言葉の意味を理解しようと努めている。


「今は理解しようとしなくてもいいよ」


「…鐡君はいいの?」


「なにが?」


「そんな能力を持っているなら魔力を持っていないって馬鹿にされている今の現状に納得しているの?」


 俺は俺の中にある行動理念を元に常に行動をしている。


「納得するもなにも別に気にしてないからね。人は必ずしも全員に理解や共感をされるように出来ているわけじゃない。

 そうでなきゃ、魔術の発展で争いなんてものは起きない。要は言いたい奴には言わせておけって思ってる」


「…そう。随分と達観しているのね。基本的に人に興味がないの?」


「いやいや、そういうわけじゃないよ。ただ、俺は俺のことを大切にしてくれる人たちを大切にしたいと思ってるだけかな。

 そうじゃないと心が疲れてしまうからね」


「そうよね。鐡君も人間だものね。辰巳(たつみ)君みたいな人たちの相手をいちいちしてられないわよね」


 そもそもクラス全体が俺のことを馬鹿にしている空気がヒシヒシと伝わってくるんだけど?


「…いや、私もそうね。私もクラスでは鐡君のことを正直馬鹿にしていたわ。相手にする価値すらないってね。

 でも貴方が生徒会室に来た時はとても驚いたわ。壱番隊の隊長と天宮君とシエラさんと一緒に行動しているんだもの。

 それに神威君とも仲が良いみたいだし。私は人の本質を見ようとしてなかった浅はかな女だったってことね。

 ……ごめんなさい」


「謝る必要はないよ。今の時代、魔力を持っていない人は誰ひとりとしていないからね。

 俺がこの世界で異質な存在なんだよ。気味悪がられて当然だと思う」


「鐡君は強いのね。なんだか話してみると案外普通っていうか意外と話しやすいのね。

 でも私はまだ鐡君が言っていた能力を完全に信じたわけじゃない。だからそれを私に証明してみせて」


「いや、なんでそんな上からなんだよ。まぁいいけど。

 それはいつか証明するよ」


 まさか俺の能力を最初に打ち明けた人が有栖川さんになるとは思ってもみなかった。


 俺たちは1番最初に生徒会室に着いた。

 それからしばらくして重護と蓮次が到着し、他愛もない話をしながら他の人たちを待った。


 集合の5分前になりシエラ、八神君、仙道隊長が生徒会室に着いた。


「お、揃ってるね。集合時間よりも前に全員来るなんて流石だね」


「少しだけ眠たいんで早く終わらせたいだけですよ」


「そっかそっかそうだよね、ごめん。でもその前にもし魔術痕を見つけたらこのシールを貼って妨害をしてほしい」


 そう言って手渡されたのが魔素(マナ)ちゃんのシールだった。


「これは何ですか?」


「これはね、貼ると魔術の流れを遮断できる魔道具だよ」


「ほう、そんな道具があったんですね。それに随分と幼児っぽい(可愛らしい)名前と絵柄ですね」


「そんなことはどうだっていいじゃない。使えれば何でもいいのよ」


 八神君と有栖川さんの会話は俺たちも一通り経験したが、今はそんなに疑問すら思わなくなっていた。

 仙道隊長から魔素(マナ)ちゃんのシールを3枚ずつ手渡された。

 2人1組で行動するから、2人で3枚有れば大丈夫だろうという認識だ。

 

「それじゃあ早速調査開始としよう!」


 仙道隊長の合図と共に俺たちは放課後に決めた通りの組み分けと調査箇所に向かった。


 八神君と俺はまず柔道場から調査をするため、みんなとは別行動をすることにした。

 有栖川さんと蓮次、シエラと重護はまだどうするかを話し合っている。

 俺たちは先に目的地へ向かうことにした。


「有栖川さん、蓮次くん私たちは1年生と2年生のクラスを調査するので、よろしければ3年生のクラスを調査するお2人もご一緒にいかがですか?」


「俺は賛成だ。有栖川はどうする?」


「私もいいわ」


「なら決まりだな! 途中まで一緒に行こう!」


 シエラ、重護、有栖川、蓮次は1年生から3年生のクラスまで一緒に行動することになった。


「シエラ、俺たちは1、2年のクラスだけだから、すぐに終わらせて余裕があれば他を手伝いに行くってのはどうだ?」


「そうですね。余裕があれば手伝いに行きましょう」


「ところで、みんなは簡易魔力領域は作れるの?」


 有栖川が一応の確認として聞いてみた。


「いや、俺はまだ練習中だからそんなに上手くは作れないかな」


「そうなのか。俺は問題ないぜ」


「私も問題ありません」


 有栖川の確認によって重護とシエラは問題なく作れることが分かり、蓮次がまだ不完全だということが分かった。


「どうしてそんなこと聞くんだ?」


「別に、ただ確認しただけよ」


「そうか」


 みんなで話しているうちに階段の前まで着いた。


「じゃあ私たちはこの階だから一旦ここでお別れね」


「そうだな。俺たちはこの下の階だからまた後で会おうぜ」


 有栖川と蓮次はそのまま3階に残り、3年生のクラスから調査をしていく。

 シエラと重護は下の階の2階から調査を進めていく。



≪シエラ・重護サイド≫


「神威くん、少しご相談なのですけど、よろしいですか?」

 

「ん? なんだ?」


「手分けして調査をしようかと思いまして」


「俺もできることなら手分けをした方が良いとは思ってる。だが、仙道隊長の言葉を守るならリスクはなるべく避けるべきだ」


 シエラもそれは理解している。だがより安全と効率を求める考えだ。


「1年生と2年生の教室は階が違いますので、流石にそこまで別々で行動するのはまずいと考えます。

 なので簡易魔力領域をお互いが感知できる大きさで展開すれば教室を1つ飛ばしで調査しても大丈夫なのではないでしょうか」


 安全と効率を求めた方法をシエラは重護に提案してきた。


「なるほどな。危険を冒すリスクを減らしながら効率を求めようって話か。

 なら展開する範囲は教室を1.5個分と言ったところか」


「ええ。それならお互いの安全を確認しつつ早く終わらせることができると思います」


「そういうことならその話、乗ったぜ!」


 シエラと重護はまず2年生のクラスから見ていくことにした。


「私は2年Aクラスから調査をしていきます」


「俺は2年Cクラスからしていくぜ」


 2人はほぼ同時に簡易魔力領域を展開し、お互いの存在が確認できる大きさを作った。


「ここには無いようだな」


 シエラと重護は次々と教室を調査していく。


「俺が調べたクラスには無かったんだが、そっちにはあったか?」


「いいえ、私の所にもありませんでした。」


「なら次に行くか」


「そうしましょう」


 シエラと重護はさらに下の階へ降り、1年生のクラスに向かった。


「次もこのまま何も起こらずに終わればいいな」


「そうですね。この学校にいくつ仕掛けられていたとしても何事もなく済んでくれたらいいのですけれどね」


「よし、さっさと終わらせて他の所を手伝いに行こうぜ!」


「はい! ではさっきと同じやり方で調べていきましょう」


 重護がAクラスに行き、シエラはCクラスに行った。そしてさっきと同じように2人同時に簡易魔力領域を展開した。


「――!! 神威くん!」


「どうした!?」


「Cクラスに魔術痕がありました!」


 重護が簡易魔力領域を展開しながらCクラスに入ってきて魔術痕を確認した。


「…これが魔術痕か」


「はい。神威くんはこれを見てどう思いますか?」


「俺はこの力は人間が扱えるそれを優に超えていると思う。まだ俺がこの域に達していないからそう思うだけかもしれないが」


「いえ、私もこの魔術痕も今まで調べた魔術痕もおよそ人間が扱える代物ではないと思います。

 こんな魔術を扱える何者かが現代に存在している…。

 これは今の私たちの手には余りますね」


 今の2人の実力では発動してしまえば対処はできないと感覚で分かってしまう。

 でも幸い、今は発動させないための対処法がある。


「とりあえず今は最大限できることをしましょう」


「このシールを貼ればいいんだよな?」


「はい」


 シエラと重護は魔素(マナ)ちゃんのシールを貼り、残りの教室を調べたが特に異常は検出されなかった。



≪結衣・蓮次サイド≫


「先に謝っておく。ごめん」


「どうしたのよ? 急に」


「多分俺は足手まといになる。まだ完全には簡易魔力領域を作れないから」


「何を言い出すのかと思ったらそんなことね。いいのよ、別に。

 気にしなくても大丈夫よ。何で作れないかなんて興味はないわ。人には言えない“事情”があるものね」


 有栖川はさっき瑛志と話して人には様々な事情を抱えているということを学んだ。


「ありがとう。でも俺にもできることをさせてくれ」


「それなら簡易魔力領域を練習しながら一緒にいてくれるだけでいいわ。それだけで私は独りじゃないと感じられるもの」


「分かった。それが俺にできることなら全力でそうするよ」


「…そう。助かるわ」


 3年Aクラスに入り有栖川は簡易魔力領域を展開した。蓮次も自分の練習のために領域を展開する。


「どう? 天宮君の領域には魔術痕の反応はあるかしら?」


「…いや、無いと思う…」


「正解よ。ここには無いわ。あと、その領域はまだ不安定で気を散らせばすぐにでも壊れてしまいそうなくらい脆いわね。

 もっと心と身体をリラックスさせるといいわ。大丈夫、私がついてるから安心して」


 そう言われて蓮次は今自分がどこにいて何をするためにここにいるのかを頭の中から消し去った。


「そうよ。その感じを保って」


「…………」


 蓮次は簡易魔力領域を収め、感覚を実感する。


「どう? 今の一瞬は私から見たら良かったと思うけど?」


「ありがとう。なんだか分かってきた気がする」


「そう。ならその感覚を忘れる前に次のクラスを調べましょ」


 蓮次は感覚を確実に掴みながら、残りの3年生のクラスを調べた。


「3年生のクラスには無かったわね」


「そうだな」


「魔力操作の感覚は大体掴めたかしら?」


「ああ、まだ長続きはしないが安定はしてきたと思う」


「じゃあ次に行きましょ。

 えーっとここから近いのは職員室ね」


 次の行き先が決まり、階段を降りた。

 職員室に着き、扉を開けると仙道隊長がいた。


「仙道隊長、ここで何をしているんですか?」


「おぉ、有栖川さんに蓮次君。いや別に? ここでの用事は済んだし僕は次に向かうよ。それじゃあまた後で」


「何だったのかしら?」


「さあ? 何にせよ職員室を調べよう」


 職員室は各クラス3つ分の広さがある。有栖川と蓮次は一定間隔離れ、簡易魔力領域を展開した。


「ここには無いみたいね。私はこの奥の校長室も調べてくるわ」


「分かった。気をつけてな」


 有栖川が校長室を調べている間、蓮次は職員室を見て周った。


「ん? 何だこれ」


 偶然にも“魔族侵攻災害被害報告書”と書かれた5年前の報告書を見つけた。

 蓮次はそれに手を伸ばして一頁(いちぺーじ)目を開いた。


「――!? 何だこれ!? 嘘だろ…!! こんなことが5年前に起こっていたのか――!?」


 校長室を調べ終わった有栖川が職員室へ戻ってきた。


「校長室にも何も無かったわ――って何見てるの?」


 蓮次は報告書を焦って棚に戻し言い訳を取り繕った。


「い、いや! 何でもないよ!? そ、それで何だって?」


「だから校長室も何も無かったよってだけよ」


「そうか、じゃあ次に行こう!」


 蓮次は有栖川にその報告書を見せまいと手を取り、第一会議室の方へ向かった。


「ちょ、ちょっと! そんなに引っ張らないでよ! ちゃんと歩けるってば!」


「あ、ああ……ごめん……」


「何を見たかは知らないし詮索もしないけど、少し落ち着いてよ!」


「悪かった…冷静じゃなかったよ」


 蓮次は少し落ち着きを取り戻し、有栖川に謝罪をした。


「少し休憩でもして、もう少ししたらまた続きをしましょ」


「…ああ」


 適当な教室に入り腰を下ろした。

 蓮次が完全に落ち着いたのを見計らって有栖川が話しかけた。


「私、実は少し怖かったんだよね。夜の学校は雰囲気あるし、魔術痕だっていつ発動するか分からないし、発動したらどうなるかも分からないし。

 でも天宮君のさっきの見てはいけないものを見たような慌てようを見てたら、何だかそんな感情も吹き飛んじゃった」


「……」


「何を見たかは話さなくてもいいけど、今ここには私もいるしみんなもいる。

 もし1人じゃ対処できないことでもみんなとだったら対処できる。でしょ?」


「…そうだな」


「とりあえず今はそんなことは忘れて魔術痕に集中しましょ!」


 蓮次は何か吹っ切れたように立ち上がった。


「そうだな! 情けないところを見せて悪かった! ありがとう! 続きを始めるか!」


「それじゃあ第一会議室に向かいましょ!」


 第一会議室に着き、今まで通り簡易魔力領域を展開したが異常は見られなかった。

 それは第二会議室でも同様だった。


「あと残っているのは図書室だけだな」


「早く終わらせましょう」


「おう」


 2人は図書室へ向かった。


「あ…っ」

「な…っ」


「ここって図書室だよな?」


「えぇ…、図書室…だと思う」


 有栖川と蓮次は自分達が今見ている光景に驚きを隠せない。


「図書室って言うより図書館じゃね?」


「私もそう思ったわ。図書室って言う広さじゃないわね」


「でもどういうことだ? 外から見た図書室はこんなに広くなかったぞ?」


「きっと特殊な結界で時空を歪めているんだわ」


 国際機関高等学校の図書室は通常の図書室とは違い、古文書・歴史書はもちろんのこと魔導書や魔術書が無数にある。中には閲覧に制限がかかっている本もある。


「ここが最後だから気合い入れて調べるわよ」


「ここは手分けをした方が良さそうだな」


「私は右を調べるわ」


「なら俺は左だな」


 お互いを目視あるいは存在を感じ取れる距離まで離れて簡易魔力領域を展開する。


「ここら辺には無いな。有栖川! そこにはありそうか?」


「いいえ! こっちにも無いわ!」


 一旦合流をして奥の方を調べることにした。


「あとはここだけだな」


「そうね。じゃあ始めるわよ」


 2人は簡易魔力領域を展開し、異常を検出する。


「――!! 見つけたわ!」


「俺も感じ取った!」


「これが魔術痕ね」


「ああ。シールを貼るぞ」


 蓮次はシールを貼り魔力の流れを遮断した。


「これで私たちの担当箇所は終わりね。他の人たちは終わったのかしら」


「さあな。連絡を取ってみるか」


 有栖川と蓮次は先に終わっているであろうシエラと重護のペアに連絡を取った。



≪燈哉・瑛志サイド≫


 俺と八神君は先に外から周り柔道場、剣道場、弓道場の3箇所を調べたが、何も異常は検出されなかった。


「ここにも無いようだ」


「そうだね。あと調べてない所は7箇所ある」


「次はどこを調べる?」


「このまま外から攻めていこうとは思ってる。今の位置から1番近い所はテニスコートだね。そして次はプールだ」


 八神君は俺が簡易魔力領域を作れないと知っているから、どこから調べるかを全て任せてくれた。

 決して俺が無力だとは悟らせない八神君の配慮だ。


「鐡、いや瑛志とそう呼んでもいいか?」


「いいよ。じゃあ俺も燈哉と呼ぶよ」


「ああ、構わない」


 俺たちは知り合って間もないが下の名前で呼び合う仲になった。


 これが男の友情というやつか? 不思議なもんだな。


「燈哉にちょっと聞いてみたかったことがあるんだけどいい?」


「なんだ?」


「首席ってどんな気分なんだ? やっぱりプレッシャーとかあるの?」


「いや、ない。ただあるのは羨望の眼差しと嫉妬の眼差しだけだ」


「羨む気持ちは分かるけど、嫉妬?」


 燈哉はつい口が滑ったとでも言いたそうな顔をした。


「いや、今のは忘れてくれ。これは俺の問題だ」


「そう? なんか余計なこと聞いたんだとしたらごめん」


「大丈夫だ。さ、テニスコートに着いたぞ」


「また任せてもいいかな?」


「もちろんだ」


 燈哉は地力が元々高いのか簡易魔力領域が通常よりも大きい。

 この大きさはきっと無意識でこの大きさなんだろう。


「壮観だな」


「ここにも無いようだ。次に行こう」


 それからプール、トレーニングルーム、魔術訓練場を調べたが異常は見られない。


「あとは校舎内を調べるだけだね」


「そうだな。他のみんなは終わった頃だろうか」


 そう話していると前方からシエラ、重護、有栖川さん、蓮次が歩いてきた。


「お! 瑛志と燈哉じゃねぇか! 進捗はどうだ?」


「今から音楽室と多目的室と講堂を調べるところ。それで全部だよ」


「それ俺たちも手伝うぜ!」


「いいのか?」


「ああ、もちろんだ」


 シエラと重護は多目的室、有栖川さんと蓮次は音楽室を調査してくれることになった。


「俺たちは講堂に向かおう。シエラさん、重護、結衣さん、天宮君ありがとう」


「別に構わないわ!」


「私も大丈夫ですよ」


「助け合いは当然だ」


 俺たちはそれぞれ3方向に分かれ魔術痕を探す。


「もうすぐ0時(じゅうにじ)30分か」


「意外にもまだそれだけしか経ってないんだな」


「そうだな。早く終わる分には何も問題は無いからいいが」


「ここが講堂だな。来るのは入学式と合わせて2回目だ」


 講堂は広く、立派なものだ。この広さなら燈哉の簡易魔力領域の大きさがちょうど良いくらいだ。


「ここで最後だ。簡易魔力領域、展開」


 燈哉の簡易魔力領域は更に大きさを増し膨れ上がっていく。


「――見つけた! ステージの真ん中!」


「よし! ステージの真ん中だね! シールを貼ってくる!」


 俺は魔術痕にシールを貼り魔力の流れを遮断する。


「これでよしっと。他のみんなはどうなったかな」


「合流しよう」


――――――――――――


 仙道遼司は中庭の魔術痕を見に来て、それに触れる。


「――――――この魔力は。そうか、お前か」


 そして何かを感じ取る。身に覚えがあり、決して忘れてはいけない記憶が蘇る。


0時(じゅうにじ)30分か。もうそろそろみんなも終わった頃かな」


――――――――――――


 生徒会室に戻り、みんなと合流した。


「みんなお疲れ様! 成果はどんな感じか聞かせてもらってもいいかい?」


「私たちは1年Cクラスに1つ見つけました」


「1年Cクラス…?」


「そういえば瑛志ってCクラスだったよな?」


 何者かが意図してCクラスに植え付けたのか? それともどこでもよかったのか? …分からない。


「今はとりあえず考えるのは後にしよう。他のみんなはどうだった?」


「俺と有栖川は図書室で1つ見つけました」


「俺たちも講堂で1つ見つけました」


「みんなそれぞれ1つずつか。これで被服室、中庭、食堂、1年Cクラス、図書室、講堂の合計6つだね。

 この6つの魔術痕に何か法則性がないかこっちで調べてみるよ。それに少し気になることもあるしね」


 魔術痕の捜索は今日でやっと終わりだな。無事に解決できればいいけど。


「ふあぁ〜。仙道隊長、私もうそろそろ限界です」


「よく頑張ったね。疲れただろうから今日のところは解散にしようか。みんな、本当にありがとう!」


 俺たちは簡単に報告を済ませて家に帰った。


 時刻は深夜1時。明日は学校も休みなため俺は少しだけ夜更かしをすることにした。

 過去最短での更新はとても嬉しい気持ちになります!

 楽しんで書く! これに尽きますね!

 

 ではまた明日の更新をお待ちください!

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