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破壊の魔王  作者: Karionette
アガド攻略編 第一章 一年後
97/354

02


完全に遅刻です






埃が舞う。

煙草に火をつけて、ぼろぼろになった紙の束を眺めた。


絵の所有者は殺された。そして殺した暗殺者も既に死んでいる。病死らしいが、死体もないから判断できない。病死に見せかけた殺し方なんざ腐るほどある。


ルナティクスは情報の塊のような場所だが、真偽が混ざったところだ。目で見たことしか信じない俺のような奴には限界がある。


だから俺はここにきて、こうしている。場所は、例の暗殺者が所属していたギルドだ。


とんでもないスピードで事が進んでいるようで、既に死んだ暗殺者の名前は残っていない。記録から抹消されているが、実際に紙に残した記録は簡単には消せないし、消せたとしても必ず不具合が生じるはずだ。



「……アルテマ?」



そして見つけた一つの名称。幾重も重ねられた暗号を解き、現れた。今回の一連の事件にこいつが関わっているらしい。


アルテマねぇ。聞いたことないな。



「てめぇ、や、闇の、帝王……!!」


「邪魔すんな」



ばらばらとめくり続ける。

金額の羅列、これは帳簿か。

暗号、隠蔽工作、アルテマという名、抹消の跡。…組織名か。


脳に叩き込む。


おかしい。

情報の漏えい防止のために、殺した当人すら殺害するのは珍しくない発想だが、それにしては金額が大きすぎる。承諾するまでに期間もあいていない。


即座にターゲットを殺し、物品関係もすべて焼失させ、その殺した暗殺者も殺して事実を隠蔽する。そんな依頼をこんなにも快諾できるか?



「……」



金は権力で、力だ。一つのギルドが首肯せざるを得ないくらいに。怪しいとわかっていてその大金を受け取ったのは、金に目がくらんだからだけじゃない。


金は単なる理由付け。受け取らなければならない怪しい大金だった。


一つのギルド相手にそれができるくらいに、この組織には何かがある。



単なる1枚の絵を持っていた人物の殺害に入念な隠蔽工作と大金。それができる権力か。


銀の言うでかい組織が何なのかがこれでわかった。


アルテマ。調べる必要がありそうだな。



「てめ、え…そんな、ギルドを…。メンバーを皆殺しに…」


「うるせぇっつってんだろ」



血しぶきがとぶ。


問題ない。書類も保管されていたデータも全部覚えた。汚れたところで不都合はない。




すみませんでした!!



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