01
お久しぶりです
新章もどうぞよろしくお願いします^^*
どうしてこうなったんだ。
走る。走る。
慣れていない肉体労働に足はもつれ倒れ込む。歯を食いしばって起き上がろうとするも疲労からか、体がうまく動かない。
コツ、コツ、コツ
石の床に足音が響く。
息が止まる。両手足をばたつかせ、床を這って進んだ。
なぜだ。
私が何をしたというのだ。
「奇遇だな。俺もそれが聞きてぇんだよ」
首の真横に剣が落ちる。
甲高い音に、自分のものとは思えない悲鳴が喉を貫いた。
慌てて立ち上がり、壁に手をつきながら走り出す。足が折れようがちぎれようが、逃げなければ私は死ぬことになる。止まるわけにはいかない。
とにかく外へ。日の当たる外にでなければ…。
ごとん
「はえ?」
体のバランスが崩れ、顔面から床へ倒れ込む。腕で衝撃を抑えたものの、何故バランスを崩したのだろうか。そしてあの音はなんだ?
手に何かが触れる。暖かく、知った触り心地のものだ。
自然と手繰り寄せると、それは足だった。
……足?
血の気が一気にひく。私は恐る恐る自らの足元へ手を伸ばした。
そこにあるはずのものが触れることはなく、代わりにびちゃりと、ぬめりのある液体が指先を染めた。
「あ、ああ、あ……」
波のように襲ってくる激痛と恐怖に湧き上がる悲鳴を抑えれず、床に転がって私は泣き叫んだ。しかしそれもすぐに止まる。背中を強く踏みつけられ、床に叩き付けられたためだ。
「足くらい、どうなってもいいんだろ」
冷たい男の手により、人のものとは思えない力で首を締め上げられ、血の流れと呼吸が止まった。
もがいても体はぴくりとも動かないが、心臓だけは恐怖でガタガタと震え続ける。
背中ごしに男の視線を感じる。
心臓まで射抜かんばかりの鋭い眼だ。
「5秒以内に質問に答えろ。素直に答えれば血と空気をやる。答えないなら今以上の地獄を知ることになる」
私はがくがくと首を振った。既に生死の境にいるというのに、それ以上の地獄など知りたいと思うはずもない。指の先まで満たされた恐怖に私が抗えるはずもなかった。
男は少し間をあけて、無感情に言った。
「アルテマ。あれは何だ」
どくんと心臓が脈打つ。
何故それをと驚き、答えてはならないと警鐘がなり、死にたくないと本能が叫んだ。
そのために私の言葉が詰まる。男が動いたのは一瞬だった。
まるで死刑台に晒されたように掲げられ、足が浮く。ぐるりと体を回転させられ、背に壁が、がつんとぶつかった。そして、私は煌々と燃える赤い眼を直接目にした。
その瞬間、息ができないということさえ、意識からかき消されてしまった。
まるで裸にされ、内臓までも抉られたかのように。
人とは異なる何かに牙を剥かれたように。
己だけではなく大切なもの全てを破壊されていくかのように。
目の前の強大なソレに対して、私に刻み付けられたのは純粋なる恐れだった。
私は首肯する。
あの組織への裏切りよりも、死へ抗う本能よりも、目の前の男への恐怖が私を支配していた。
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