表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第四章 航海
47/354

08




檻の中に奇妙な3人がいた。


一人は大勢が入る牢屋の大半を占める大男。

髭の濃い顔で、一番の年上であろう豪快な男だ。


もう一人は対して小さな女の子。

不思議な髪色をしており、おおよそ牢屋に入るとは思えない小綺麗な格好をしている。


最後に目付きの鋭い男。

礼装の留め具を外しており、大きなソファーを一つ陣取っている。片手に煙草と酒。この空間のなかで一番自由を満喫していた。


この三人の中に、ここに入れられた者はおらず、自らこの中に入った者たちばかり。料理に酒に煙草。この客船のなかで一番楽しんでいる三人だろう。



「……脱落だな」



脱落者は少女、イーリス。


幼い彼女は詰め込めるだけの料理を腹にいれて、幸せそうに絨毯の上に転がっている。眠ったイーリスをゼロは軽々と抱き抱え、広く柔らかいベッドに横たえた。



「まぁ、ありんこにしては頑張った。後は大人の飲み会じゃ」


「いや、俺も寝るから帰れ」


「がはは。なにが寝る、だ。お前がこんなところで寝れるわけがねぇ」


「……」


「それに帰れは可笑しいじゃろ?ここ、ワシの船」



自身の子供の頃を知る男だ。


なにも言い返さず酒を煽った。



「休むことくらいはできる」


「休ませねぇよ!ほら、飲み比べだ!」


「弱いくせにめんどくせぇな」



グリズリー・シャーク。


彼はめっぽう酒に弱い。すぐに酔う。酔って寝る。


ただし馬鹿みたいに回復が早く、一度机に突っ伏してもすぐに起き上がるのだ。年は四十ちかくだが、体力は大抵の若者よりも遥かに高い。



「それにしても、お前もでかくなったなぁ。昔はこの蟻んこみたいにちっさくてひょろひょろだったのになぁ」


「死にかけてるときの話だろうが。それ」


「しょうがねぇだろ?ワシがおまえに会ったとき死にかけてたんだから」



ばつの悪そうな顔をするゼロ。

それを気にしてか、イーリスと一緒に眠っていたクロが飛び出し、そっとゼロに寄り添う。それを見て苦笑しながらゼロはクロを元の場所へと放った。


シャークは酒をなめながら微笑む。


彼は昔を思い出していた。

遠い、ゼロにあったときのことだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ