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天才錬金術師の最強ギルド創設記  作者: 蘭丸
うさぎと魔獣と露出狂編
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第25話 金の毛皮を追いかけて

「……くそ、見失った」

 オレは金毛うさぎを追いかけていたが、獣道は動きにくく、ついに姿を見失ってしまった。


「おい、一人で行動するな」

 エルデットが追いつき、少し遅れてエミリアとルイーズが追いついてくる。


「息が切れましたわ……」

「御主人様、苦しいです……」

 2人はハアハアと息を吐いている。運動後に汗をかいた少女の姿はなかなか悪くない。


「……少し休憩するか」

 オレは2人の為に椅子を出してやる。


*


「お、沢だ」

 休憩場所の近くをうろうろ探っていると、水場を見つけた。

 この水は飲めるのだろうか。見た目はきれいだが……。


「生水はお腹を壊す。せめて煮沸すべきだ」

 オレの後をついてきていたらしいエルデットが声をかけてくる。

 オレは鉄のバケツと小さな器を作り、ひとまず水を掬う事にした。沢が浅すぎるため、何度も掬ってはバケツに投げ込む。

 エルデットもオレの横にしゃがみ込んだ。


「悪いな。いろいろと助けてもらって」

「いいんだ、私も楽しんでいる。口に出すのが気恥ずかしいが、あまり友人がいなくてな……」

 それは、その格好のせいじゃないだろうか。


「エルデットはディアレンツの出身なのか?」

「ああ、両親ともこの土地出身だ。狩りの技術は父に教えてもらった。……もう2人とも居ないけどな」

「……そうか、悪い」

「昔のことだ、今はもう特に気にしていない」

 一瞬、沈黙が流れ、オレの掬う水の音だけがバシャ、バシャと定期的に響く。


「……もし良ければ、オレと王都に来ないか?実は王都で、『ミスリルの坩堝』というギルドのマスターをやっている。エルデットは魅力的だ。是非ともうちに来てほしい」

「な、ななな……! み、魅力的!?」

 エルデットは顔を真っ赤にして慌てたそぶりを見せる。ほう、こんな表情もするのか。新しい発見だ。


「あ、いや、そういう事か……。すまない、取り乱した」

 わざとらしくゴホンとせき込み、落ち着きを取り戻す。


「済まないが、私にはやることがある。両親を殺した魔獣を追っているんだ。ボルカックという魔獣を知っているか?」


「本での知識で良ければ知っている。かなり獰猛な大型の猿だったか」

「ああ。……そいつを狩るまで、ここを離れるわけにはいかない」

 どうやら両親を殺した魔獣に囚われているようだ。


「オレについてきてくれたのも、魔獣の被害が増えないようにという心遣いか?」

 エルデットは答えなかったが、横顔はそう言っているように見えた。


「水もたまったし、2人の所に戻ろう。……もしその魔獣を見つけたら、オレにも協力させてくれ。弓矢で勝てるような相手ではないのだろう?」

「だが……」

「構わない。仕事が増えるのには慣れている」

 オレはそう言うと、返事を待たずに2人の元に戻った。


*


「どうだ2人とも。少しは疲れは取れたか?」

「はい、御主人様!」

「……何とか歩けそうですわ」

 煮沸した白湯でわずかに口を湿らせると、更に奥地へ向かうことにした。


「私が先導しよう。魔獣の待ち伏せは防げるはずだ」

 エルデットを先頭に、獣道を掻き分けながら進んでいく。


*


「ドミニク、誰か近付いてきてるよ」

 森の奥地で、ターナが声をかける。


「何い!? 麻薬畑の周囲はハカスクに警戒させてるはずだ! なぜ糸の範囲まで近づいている!?」

「わからないけど。どうする?」

「……たまたまハカスクに見つからなかっただけかもしれねえ。別の魔獣を放って様子見だ!」


 ドミニクは鞭を周囲の魔獣に叩きつける。伏せていた魔獣たちは鞭に呼応して立ち上がり、散開する。


「あたしは出なくていいの?」

「相手が何者かわからん以上、ギリギリまで正体を隠せ。あくまで魔獣の気まぐれに見せかけて追い払う」

「……ここまできたらどうするの?」

「この畑を見られたら生かしておけねえな。まあ、こいつがいれば瞬殺だろうがな」


 ドミニクは後ろに待機させている魔獣をチラリと見る。

 そこには、ヤギの様に曲がった角を生やした、成人の3倍はあろうかという巨大な猿が待機していた。


「……初めてこいつを見たときは腰を抜かしたぜ。大樹をまるで草むらの様になぎ倒し掻き分けながら現れたんだからな。だがオレ様の魔法で今では優秀な兵器だ。やはりオレ様こそ王に相応しいっ!」

「……独り言は小声でやってよ」

 ターナは魔獣とドミニクを交互に見た後、小さくため息をついた。


*


 エルデットは獣道を先導していたが、急に足を止めた。

 オレも合わせて足を止めたが、エミリアとルイーズは間に合わずオレの背中にぶつかってくる。


「きゃっ! 御主人様、ごめんなさい……」

鼻を赤くしながらエミリアが謝る。


「別にいいが……。どうした、エルデット?」

「……私たちのことが気付かれた。魔獣じゃない、人間だ」

「な!? 人間だと?」

 オレ達は周囲をきょろきょろと見渡す。


「恐らく近くではない。探知魔法で私に気付いたんだ。視界には別の男も映っている」

「遠くという事は……探知魔法による認識でも視界を奪えるのか!?」

「ああ。経験は少ないが……」

 これは、探知魔法の"天敵"だな……。


「ちょっと待て、視界に他にも何かが……!?」

 エルデットが急に驚いたような表情になる。固まってしまったように一歩も動かない。


「どうした? 何が見えた?」

「……ボルカック……!」


「フリード様、あっちから何か来ますわ!」

 茂みを掻き分ける音が、森の奥から近づいてくる。

 エルデットの見た情報も気になるが、まずは目の前の脅威だ。オレはエルデットの前に出て、茂みを警戒し身構える。


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