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天才錬金術師の最強ギルド創設記  作者: 蘭丸
お嬢様護衛編
19/198

第18話 2人目

「ご連絡、ありがとうございます、フリード様!」

「ああ、来てくれてありがとう」

 オレはエミリアが呼んでくれた衛兵たちと話をしている。

 ハンスのおかげでオレたちのことは知られており、詰所からすぐに飛んできてくれたようだ。やはりコネクションは大事だな。

 ……30人は来すぎな気がするが。


「では、連行しますので、これで!」

「よろしく頼む」

「ははっ! ……来い、セルバンテス・チャンドラー! 貴族への暗殺未遂で、取り調べさせてもらうぞ!」

「……くそっ」

 お前、そんな本名だったのかと突っ込みたくなったが、もう顔も見たくないのでやめておく。

 兵士たちがぞろぞろと慌ただしく出ていくと、屋敷に沈黙が広がる。


「……ルイーズ、オレたちも帰らせてもらうぞ」

「ええ……」

 ルイーズは涙は止まったようだが、表情は暗い。後ろ髪を引かれる思いだが、エミリアとその場を後にする。


「ルイーズ様、大丈夫でしょうか……」

「気になるが、どうしようもないな。心を落ち着けるには、時間をかけるしかない。……また明日、顔を出してみるか」


*


 帰り道。

 特に長くもない道を歩きながら、まだルイーズのことを考える。

 ……そういえば、使用人も居ないのに置いてきてしまったな。夕食ぐらいは誘うべきだったか?


「フリード!」

 思案していると、後ろからルイーズの声が聞こえる。

 どうやら追いかけてきていたようだ。


「ルイーズか、どうした?」

「その、私……!」

 何かを言いに来たはずだが、言葉が止まってしまう。

 一瞬の沈黙が苦しくなったので、こちらから声をかけることにした。


「そうだ、言い忘れていたことがあった」

「え……?」


「ルイーズ、うちのギルドに来ないか? 使用人もいないのだろう? 今なら3食昼寝付きだぞ」

 せめて、使用人を雇うまでだけでもと思ったが、その言葉を聞いて目に涙を浮かべている。


「なんだ、また泣くのか? オレに誘われてそんなに感動したか?」

「な、泣いてなんかいませんわ! そ、それに、私なんか迷惑をかけるだけで、何の役にも……」

 執事の言葉がまだ胸に刺さっているのだろう。勝気な性格はしおらしくなってしまっている。


「狼男と戦った時、最後に助けてくれただろう。お前の魔法は魅力的だ。オレの最強ギルドにふさわしい。また、オレを助けてくれ」

 これは励ましでなく、本心だ。

 今後、オレの魔法だけでは勝てない相手が、必ず現れる。そんな時、助けてくれる仲間がギルドには必要だ。

 ルイーズはごしごしと目を擦る。


「……わかりましたわ。このルイーズ・リシャール、貴方のギルドに力をお貸ししますわ。だから……」

「だから?」

「だから、これからも私を、護衛してくださいませ!」

 顔を真っ赤にして、ルイーズが叫ぶ。


「おいおい、オレが助けるのか? ……まあ、わかった。これからもよろしくな」

 オレが右手を差し出すとルイーズは少し逡巡するが、ギュッと力強く握り返してくれた。


「御主人様、ルイーズ様もいることですし、せっかくなので豪華な夕食にしませんか?」

「そうだな、帰りにたくさん食材を買って帰るか。ルイーズ、早速オレを助けてくれ。食材はオレが選ぶから、荷物を持ってくれるだけでいいぞ」

「ちょっと、なんで私が力仕事ですの!?」

 ルイーズはいつもの調子に戻っている。元気になったようで良かった。


「仕方ないな、魔法を使っていい。オレがお前の腕を操作して荷物を持ってやる」

「結局一緒ですわ!」

 くすくすと笑うメイドを尻目に、オレたちはくだらないやり取りをしながら歩くのだった。


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