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2-4

〈学院〉に帰ると、護送車はそのままアーニアたちとは別の場所へと走り去っていった。あちらはたしか、監獄があるところだ、とアーニアは思った。

 アーニアたちは、そのまま、ルイドの支部長であるタンカイと、本作戦の責任者であり学術長であるミルドのところに行って本作戦の報告をすることになる。

 深夜の学院はさすがに人気も少ない。まるで、別の世界の別の建物のようだ。

 支部長室では、ルイドの支部長であるタンカイと、学術長のミルドが、ディスタたちの帰りを待ち受けていた。

 ミルドは、アーニアがケガもせず無事帰ってきたのを見ると、あらかさまにほっと安堵の息をもらした。

 しかし、メンバーがひとり欠けているのに気づくと、厳粛な顔つきをとりなおす。

 タンカイは、ゆったりした体格とその職責にふさわしく見えるだろうことを計算してだろうか、目を半分閉じ、手を組み合わせて机の上におくかたちでディスタたちを迎えた。

 ディスタは、タンカイとミルドに向かって一礼してから報告をはじめた。

「〈結社〉の集会襲撃による旧魔法者捕縛の任務を終え、ディスタ以下五名帰還いたしました。作戦は成功し、集会の現場にいた魔法者はひとりをのぞきすべて捕縛。作戦は戦闘になり、結社のルイド司教と思われる男は、その危険性に鑑みてその場で殺害しました。こちらの被害は一名。戦士のニッケス・ペテンナが相手の攻撃を受けて死亡しました」

「ご苦労だった」とタンカイ。苦い顔をして言う。「ニッケスくんのことは残念だった。彼に家族はいたのかね」

「いえ、いなかったようです。天涯孤独といっていました」とミルドが横から説明した。

「そうか。それでは、北の墓所に葬ってやってくれ。身寄りのない学院関係者の入る墓だ。いいかなディスタ?」

「はい、そのようにいたします。なお、今回の捕縛で〈破滅的〉水準の魔法者は、いまのどころ確認できませんでした。詳しくは後ほど検査の上、報告いたします」

「それは、まあよかった。それでは……」と、タンカイは、アーニア、テテロサのふたりを見ながら言う。「アーニアくんと、えーと彼女はだれだったかな」

「テテロサです」とテテロサ。

「ああ、そうだった。テテロサくんは、下がってよろしい。テテロサくんは、明日、ディスタのところに行ってくれれば約束どおりの報酬を支払う。また、希望があれば、例の通り、今回の作戦に従事した証明書を発行するから、その場合は言ってくれ」

「ありがとうございます。では、証明書もいただきたく存じます」

「アーニアくんは今回が初陣だったな、さぞたいへんだったろう。ミルドくんには、まだしばらくここで話があるから、君はそのまま帰って先に休むといい。ご苦労だった」

「ありがとうございます。支部長」とアーニアは一礼して下がる。

 部屋を出るとき、ミルドはアーニアに一言声をかけておくりだした。

「よくやったぞ、アーニア。今日は疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」

 アーニアはこくん、とうなずいて部屋の外に出た。

 扉がしまって、アーニアは、今日はほんとうに疲れた、と思った。

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