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五十年間、誰も見ていない。――頭部を一発だけ撃ち抜く正体不明の狙撃手を追い続ける捜査記録  作者: 竜太郎


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324/325

音のない階・検査の結果

室夜までに検査結果が一つ戻る。判明した材質より、発射位置や所有者へ結べない限界のほうが長く記された。


声明、報酬要求、依頼受付、確実な予告は一度も確認されていない。沈黙へ正義や復讐という意味を与えれば、他人が好きに代弁できる。


監視映像は時計を補正してから並べられた。欠落や赤い反射を人影に見立てず、映っていないものの輪郭を拡大処理で作らない。


リアの支援窓口には、狙撃を望んだ自分を恐れる遺族から電話が来る。感情を罪と決めず、実際の依頼や脅迫へ進ませない時間を共に過ごした。


誤報の訂正は最初の記事ほど読まれない。ノアは見出しだけを替えず、何を誤り、誰へ危険を与えたかまで翌朝の紙面へ残した。


集会後、リアは椅子を片づけた。次に来る人が殺害を頼むのではなく、自分の苦しみを話せる場所を残すためだった。


標的以外の負傷者がいない事実を称賛へ変えない。誰にも裁かれない殺人が続く限り、精密さは安全ではなく危険の大きさだった。


時計、扉、窓、鍵、勤務表を順に確認する。派手な答えが得られなくても、確認しなかった空白だけは翌日へ持ち越さなかった。


現場に残らないものを想像で補えば、どんな武器も人物も作れてしまう。可能性と確認済みを別の欄へ置くことが、地味でも唯一再現できる防壁だった。


捜査員の交代時には、採用しなかった仮説も読み上げた。失敗を消さない記録が、次の班を同じ思い込みから守る。


整理番号323の封印を二人で確認し、同じ写しを離れた保管棚へ置いた。資料を一人の判断だけで消せない形にする。


現場責任者は空欄へ署名し、未確認であること自体を正式な記録として残した。


(本文実測:674字)

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