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ガチャ士だけど、建国して魔王討伐します!  作者: 紫蘭


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第1話 ガチャを回したら信長が出た

この作品では、会話文の前に登場人物名を表記す形式を採用しています。

読みやすさを重視したこと、そしてこの物語ならではの世界観を表現する

ための工夫です。もしこの形式が合わないと感じた方は、そっとブラウザ

バックしてください。

 俺の名前は 佐藤甘蔵さとう・あまぞう

 某大学新1回生。この春、入学したばかりだ。

 ――だった。


甘蔵「よし、これから俺の新生活が始まるぞぉ!」

 

 そう思っていた矢先。

 横断歩道で、小学生くらいの女の子が今にも、

 車に跳ねられそうになっている。


甘蔵「あっぶなっ!」


 気づいた瞬間、体が勝手に動いた。


 その刹那、誰かに呼ばれたような気がする。

 いや、呼ばれたというより――押された?


 気づけば俺は少女を突き飛ばし、

 代わりに車の進路に立っていた。


甘蔵「え、ちょ、待っ――。」


 ドガァァァァァン!!

 ……はい、ジ・エンド。


 俺の新生活、始まる前に終わった。

 でもまぁ、最後に人の役に立てたし……。

 それはそれで、悪くないのかもしれないよな。

 ――と思っていたら。


甘蔵「……あれ? 死ぬって、もっと一瞬かと思ってたんだけど。」

 

 なんか、妙に時間が長い。暗闇の中で宙を漂っている感じに近い。


 そのうち、どこからか声が聞こえた。


??「次の方、お入りくださーい。」


 え、お役所の窓口みたいなノリ?

 ふっと意識が戻り、前を見ると――


 おっさんが立っていた。


 白いローブを着ている。ってことは神様の案内役だと思う。

 たぶん、本人もそのつもりなのだろう。

 しかし、どう見ても“神”というより“町内会の会長”にしか見えん。


甘蔵「いやいやいやいや!おかしいだろ!?もっと適任いただろ。」

 

 おっさんは、長い髭をいじりながら言った。


おっさん「あ、でも元の体、リメイクしてるから正確には転移かな…?」

  〃 「まぁ、細かいことは気にしない、気にしない。

     あなたには異世界(このせかい)で国を起こし、魔王を倒してもらいます。

     それが、この世界であなたに与えられた試練です!」


甘蔵「いやいやいやいや!無理だろっ!今だってボロボロのシャツで、

   トランクスみたいな半パンに裸足っていう話。お金も食料もない。」


おっさん「大丈夫大丈夫。あなたには、なんかスキルとか職業とか……

     えーっと、なんだっけかな……」

 

 おっさんは書類をめくりながら首をかしげる。


甘蔵「頼りねぇ~~!!」


おっさん「えーっと……あ、あったあった。

     あなたのスキルは――これだね。」


 おっさんは紙を指差した。

 そして、嬉しそうに見せてきた。


おっさん『ほらっ! これ、ガチャ士! でしょ?』


甘蔵「……ガチャ士?」


おっさん「そう。ガチャを回す人だね。

     まぁ、とにかく頑張ってよ。」


甘蔵「説明雑すぎるだろおおおおお!!」


 こうして俺の異世界生活は、不安しかないまま始まった。


 服を町の人から苦労の末、譲ってもらった。

 さすがに疲れたので寝ることにした。

 すると、セーブするかしないかの表示が現れる。


甘蔵「え?何この異世界感?でも、ここはツッコミをいれずに受け入れよう。」

 〃「いや、待てよ……。」

 〃「セーブしないでリセマラすれば…。いける!まだチャンスはあるぞ!」


 そう思い、グッと拳を握りしめた。

 俺はリセマラして最強な極悪スキルを手に入れる。

 ――はずだった。


 しかし、リセットボタンらしきものはどこを探しても見当たらない。


甘蔵「そっかそっかあー。」

 〃「そういうオチですか。上等だよ。やってやんよ。覚えとけよ。おっさん。」

 

 とセーブをするを選択した。


 すると……気のせいか…音が鳴った?…。



 次の日は、昨日セーブしたとこから始まった。

 セーブ機能は使うと翌日になるって仕組みか。


甘蔵「でだ、どうやってガチャを回すんだ?」

 

 思わず心の声が漏れてしまった。

 ガチャ士なのに、この世界にはガチャが見当たらない。


 これ、ゲームのガチャ? それともリアル物理ガチャ?

 どっちなのかも全然分からん。


 考えても仕方ないので、

 昨日の“神(町会長?)おっさん”がいた神殿へ向かった。

 説明責任はやつにあるからな。

 神殿に着くと、受付のお姉さんから、こう言われた。


受付「職業やスキルに関するお問い合わせですね?

   担当者にお繋ぎしますので、このまま暫くお待ちください。」


甘蔵「なんか、電話で聞いたことのあるセリフだなあ。まあ、いいや。」


 待つこと10分。奥のほうから声が聞こえてきた。


窓口「番号札、32番のお客様、2番窓口へお越しください。」

 

 俺はさっき、とった番号札を見た。32。あ、俺か。

 急いで2番窓口へ向かった。……って、ここは役所か病院か?


窓口「本日はどういった内容のご相談でしょうか?」


甘蔵「あ、あの昨日、転生したんですけれど。えとスキルがガチャ……。」


窓口「お客様。申し訳ございません。

   個人番号を教えて頂いても宜しいですか?」


甘蔵「え、どうしよう。聞いてないです。」


窓口「では、お客様ぁ、お名前をフルネームで、

   頂戴してもよろしいですか?」


甘蔵「さとう あまぞう。」


窓口「佐藤様、現在はガチャ士?職業スキルをお持ちですね。」


甘蔵「はい、そぉです。それでですね。肝心のガチャ機を、

   どうやって出せばよいのか、よくわからなくて……。」


窓口「ちょっとお調べしますね。(カタカタカタカタカタッタッ)。」


甘蔵「どうでした?」


窓口「お待たせいたしました。お客様。

   ガチャを回したいと声に出し。強く念じてみてください。」


甘蔵「おー。分かりました。ちょっとやってみます。」

  

甘蔵「ガチャを回したい!顕現せよ!……。」

 

 甘蔵がそう念じた瞬間だった。


 ガコンッ!

 目の前に、古びたガチャガチャ機が落ちてきた。


甘蔵「え、リアル!?」

 

 ガチャ機は勝手に光り、俺の手をハンドルへ吸い寄せる。


 ――ガチャを回しますか?


 甘蔵はガチャ機の表紙を見た。『くせが強い武将、第一弾』

 どうやら戦国武将が出てくるみたいだな。


 それに、全5種らしい。

 織田信長(37)

 上杉謙信(30)

 武田信玄(35)

 毛利元就(60)

 小田氏治(15)


 1人だけ、当たりのようなハズレのような武将もいるが……

 ガチャのタイトルからして、くせの強いバージョンの武将が排出されるようだ。


 歴史は普通の人より若干好きな程度に知ってるつもりだ。

 だからそういうガチャが、出現したことに嬉しさを覚えた。


 そこで、気付く。


 一回:800万ゴールド 


甘蔵「えっ?有料…課金すか?」


 ん?下の方に何か書いてるぞ。但し書きか。それをよく読むと……

 このガチャ機は下記のものをガチャ機に奉納することでも回せます。


 奉納品:頭髪120g(長さ12cm)


甘蔵「…………は?」


 俺は固まった。


甘蔵「いやいやいやいや!!

   なんで髪なんだよ!? なんでそんなピンポイントなんだよ!?」


 窓口のお姉さんは、にっこり微笑んだ。


窓口「ガチャ士の皆様は、大体いつも髪を奉納されますので。」


甘蔵「そんな職業イヤすぎるだろ!!

   いや、これ絶対ぜってい嘘ついてるやつだ!!

   ガチャ士なんてそうそういるはずねえんだよ!!」


 そう叫んだ瞬間――

 ガチャ機が勝手に光り始めた。


窓口「いけない!肝心なことを伝えるのを忘れておりましたっ!」


 窓口のお姉さんが険しい顔で言った。


甘蔵「何を!!!」


窓口「ガチャ機、出現後。5分以内に判断をしないと、

   自動モードになる仕様です……。」


甘蔵「ちょ、待て待て待て! まだ心の準備が――。

   今度からそう言うことがあったら、

   もっと早く言うよう努力してみてくれ!」


 その直後。ガチャ機が勝手に回り始めた。


 ガラガラガラガラガラ……ッ!


 コトンッ!


 五つ木瓜紋がカプセルの間から見える。

 カプセルから現れた男は、鋭い眼光で俺を見下ろした。


信長「余こそ、織田三郎信長。……ふむ、ここは戦場ではないな。」

 

 若さと老練さが絶妙に混ざった“脂の乗った武将”と形容できる。

(若いはずだけど、この雰囲気……まさに“死線を越えた直後”って感じだ……。)

 信長は俺の視線に気づき、ふっと笑った。


信長「何だ、その顔は。余が“若造”と思っていたか?」


甘蔵「いや、まあ……歴史的には三十代のはずだけど……。」


信長「金ヶ崎の退き口を越えて、余は三十七になった。

   あれほどの修羅場を潜れば、誰しもこうなるわ。」


甘蔵「え、金ヶ崎直後の三十七歳バージョン!?

   そんなピンポイントで召喚されるの!?」


 信長は胸を張る。


信長「金ヶ崎は余の人生でも屈指の修羅場よ。

   あれを越えた余に、もはや恐れるものなどない。」


甘蔵「いや、異世界は恐れろよ!!」


 信長はまったく気にしていない。


信長「甘蔵と申すのか?では、甘蔵。まずは城を建てるぞ。

   金ヶ崎を生き延びた余がついておる。安心せよ。」


甘蔵「いや、安心できるかああああ!!」


 こうして、“金ヶ崎直後の三十七歳信長” と

 “大学1回生の甘蔵” による建国が始まった。

ご覧いただきありがとうございます!

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