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第十章
解説動画を作り、イベントを企画した。小さなカフェでの読書会、オンラインでの感想会。参加者は少なかったが、熱気は確かにあった。もちろん二次創作として配慮もあるため小規模であった。「実は自分です」と手を挙げたいが、そんなのは野暮天がすることだ。
そしてついに、匿名メールを通じて――あの原作アニメ監督から連絡が来た。
「あなたの記事、読みました。あなたが実は作者ではないですよね?だってアカウント名が二次創作の方が使ってたメールアドレスの名前にそっくりですよね。」
一度だけ二次創作等の権利関係で連絡を取った事があるだけで、それ以来連絡をしていない。
震える手で返信を打ちながら、胸が熱くなった。