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サムライ×KILL  作者: 45
【一】──黒霧学園──
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【平坦】×GENIUS 壱

黒霧学園出席名簿


名前:月島宇佐美


所属:一年三組 出席番号十三番


刀:月光


特徴:基礎剣術においてはクラス一であり、一組や二組にも劣らない実力をもつ。だが総合力に関しては特筆すべき点がない。これは現時点での話であり、これからを期待出来る生徒の一人。とにかく、自身を高めようとする意思がある為、今後の成長が楽しみである。

「“KILL”はお前さんに何も話しておらぬのか?」


刀真は詩美の言葉が頭に過ぎっていた。


自分の過去に国家組織が関わっている。言ってしまえば“殺人”という行為を行なっている自身が今こうしていられるのは、KILLが何かをしてくれたからなのか。


鋏子に聞いても、彼女は何かを知っている様子はなかった。


悩んでも解決する訳ではないが、頭から離れない日々が続く。


「ボサッとしてんじゃねえぞ斬咲。」


煙間の言葉でハッと我に返る。

今は授業中だ。気にするのは後にして集中しなければ。

刀真は辺りを見渡した。


いつもの三組の生徒たち。そして今日は、見慣れない面々もいる。

黒霧学園一年の初めての合同授業が執り行われようとしていた。


「煙間先生、今日はよろしくお願いします。」


一年二組の担任──三毛根子(みけねこ)が煙間と挨拶を交わす。黒霧の教師として赴任して四年目の彼女はまだまだフレッシュという言葉がお似合いだ。


「うーっす。」

「ああっ、校内禁煙って言ってるでしょう!」

「相変わらずうるせえなあ。」

「規則だと言ってるんですよ。」


舌打ちをして煙草の火を消すと、根子はキラキラした瞳で煙間を見つめる。


「やっぱり優しくて素敵です。」

「思ってねえだろ。」

「ってまたすぐ火を点けないでください!」


苛々した様子で再び煙を蒸す煙間の前に、一人の男が近付いた。


「煙たいんだよ。」


一組の担任──風見嵐久(かざみらんく)は煙草の煙が嫌いだ。肺は汚れる、肺活量も落ちて運動力が下がる。何より副流煙という、吸っていない周りにも被害を及ぼす。

そして、嫌いな煙草を好んで吸っている煙間のことはもっと嫌いだった。


「おう風見、お前も吸うか?」

「煙たいと言っている。」

「ほれ一本やるよ。」

「いらんと言っているんだ! あと何で吸いかけの物を渡す!?」

「相変わらず苛々してんな、ニコチンが足らないんじゃないか?」

「ニコチンのせいで苛々しているんじゃない!!」


相変わらずの態度は非常に腹立たしい。

風見は彼との会話を終わらせて、振り返ると校庭へと足を運ぶ生徒たちを手招いた。


「こちらだお前たち。」

「あれは──!?」

「一組だ、エリート特待生の一組が来たぞ!!」


二組の生徒たちがその姿に反応する。

同じ黒霧学園の生徒でありながら、全く違う雰囲気を纏った彼らは、すまし顔で他の生徒を見渡していた。


一組は全十名で構成される特待生のクラス。

その実力は上級生にも劣らないと言われるのを刀真は聞いたことがあった。


「道を空けろ!」


まるで貴族のような扱いには流石に違和感を覚えるが、二組や三組との実力差がそれだけあるということだ。


「なんだありゃ、偉くなったつもりか?」


仁は何かを思いついたように駆け出すと、無謀にも一組の生徒の前へと立ち塞がった。


「なんだお前は。」

「園柳仁! 三組だよろしくな。」

「三組──?」

「あははは! 落ちこぼれクラスか。」

「何!?」


完全に見下した目を向けられる。


「頭が高いぞ。」

「なんだと! お前らそんなに偉いってのか。」

「当たり前だろう! 俺たちは優秀な一組なんだ、お前たちとは格が違う。」

「てめぇ!」

「やめろ。」


殴りかかる態勢の仁を止めたのは一組の生徒──氷室鏡夜(ひむろきょうや)の一声だった。


「くだらん挑発に乗って罰則でも喰らいたいのか間抜けが。」

「ッ!?」


悔しいが彼の言う通りだ。教師達もいる中で喧嘩沙汰など起こせば、大問題となってしまう。

仁は怒りをグッと堪えて、自分のクラスの元へと戻るしかなかった。


「流石一年の首席──氷室くんに敵う奴なんていないよな。」

「お前もだ。」

「は?」

「意味も無い挑発はやめろ。」


氷のような冷たい瞳に彼は何も言い返せなかった。


「それでは合同授業を開始する。」


内容は単純な模擬試合だが、ルールが特殊なものだった。


一組から順にA(一組)、B(二組)、C(三組)チームへと別れて、Aには一名。BとCチームには二名ずつ配属される。相手チームを全滅させるか、制限時間内により多く相手を倒したチームが勝ちとなるというものだ。


「一組は一人って不利じゃねえか?」


仁が疑問を口にするが、要は一人でも負けることはないという自信の表れだ。二組と三組は一組に取って敵とは認識されていない。


「なめられたものね。」


宇佐美を含め、三組の生徒達は不機嫌そうに配置へと着いた。


試合開始のホイッスルが根子によって吹かれると、各チーム一斉に剣を振り始める。


最初に試合展開が進んだのは、出席番号十五番──南無権三郎(なむごんざぶろう)のチームだ。


陸と手を組んだのは良いが、相手が悪い。

Aチームには南無権太郎(なむごんたろう)、Bチームには南無権次郎(なむごんじろう)がいる。共に彼の三つ子の兄だった。


三人で同時に剣の修行を始めて、同じ鍛錬を積んできたが権三郎は彼らに勝ったことが一度も無かった。

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