0.さようなら僕の平穏だった日常
前作の異端者共の両奇譚を改変しました。全然雰囲気違います。初めて見る方、アドバイスも欲しいので一回だけでいいので暇があったらぜひ読んでください。私個人では処女作です。
長いですがどうか読んでいただけると嬉しいです
___✕✕✕✕年、弐本、東京
朝日が眩しい、僕の目には起きろと言わんばかりの燦々とした日の光が入り込んでいた。あんまりにも眩しいので仕方なく体を起こす。時計を見ると時間は8時丁度を指していた。暫くそれをぼーっと見つめて僕は目を見開いた。ホームルーム開始まであと二十分、やばい、そう思って急いでベッドから降りる。視界に映るのは白を貴重とした狭いワンルーム、僕はここに一人で住んでいる。
ご飯を食べるだなんて余裕ぶったことをする時間がないからアホ毛まみれの髪を水で濡らして急いで制服に着替えた、鏡に写った自分はまだ眠そうで茶髪のような金髪のようなよくわからない髪が水に濡れたことで下に垂れている事は確かだ。一瞬何をすればいいかわからなくなったがその後すぐに今の状況を思い出し、玄関の無造作においてある学生鞄を手に取った。幸いなことに昨日帰ってから一度も鞄を開けていない。それはつまり宿題もなにもやっていないという意味に等しいがそんなことは今はどうでもいい。鞄を持って踵が潰されたローファーを履いて、自分以外だれもいない部屋に別れを告げた。
行き慣れた道を全力疾走とまではいかないがなるべく急いで走る。そして最悪なことに赤信号に引っかかり続け無事遅刻は確定した。しかしこのままゆっくり行ってしまえば確実に授業には遅れる、少しペースを落としつつもなるべく急ぐ。すると段々と息が上がってきた。それもそのはずだ。今は7月中旬、これからもっと暑くなるという時期だ。そしてなぜか自分が着ているのは長袖、暑くないはずがない。こんなんだったら日傘を持ってくればよかったと思いつつもそんな時間あったか?と自分に説いた。
それから暫く走って角を曲がったところで僕はなにかにぶつかりかけた。ぎりぎりのところで止まる。
「すみませっ...え?」
そこでであったのは穴が空いたように真っ黒な目、眼の前にいたのはデカい男のような格好をしているナニカ、よくみれば目だけじゃなくて本来口があるところにも真っ黒の穴が空いている。その穴はどこまでも虚無でそれに意志は感じられない。一瞬叫ぼうとして、すぐにそいつを避けて学校まで走り出した。後ろから聞こえるのは男のような唸り声、ちょっと振り返ると人間じゃ有り得ない形で関節を曲げ、こちらを見てるなにか、本来だったら悲鳴を上げて腰を抜かすだろう、しかしそれは
僕にとってそれは見慣れたもの、だった。
僕には一年前までの記憶しかない。最初の記憶は病院で目覚めた時のもの、勿論生まれたわけじゃない。ある雨の日僕は頭から血を流した状態で発見されたらしい。記憶がないのはその時の影響と言われているけど実際どうだかはわからない。退院後両親は探したけどどこにいるかもわからなくて、元々行っていたはずの学校も友達も誰一人僕を知ってる人はいなかった。残念なことに戸籍もない。そして僕は国から借金して一人で暮らすようになった。その頃からだろうか、変なモノが見え始めた、いや...遭遇し始めた。一般的には幽霊とか妖怪とか怪異なんて呼ばれているものだと思う。遭遇したのはそんな未知の人外だけではない。都市伝説、そう呼ばれるモノにも僕は遭遇し始めた。基本的に襲ってくることはなく、故意に接触してきてるというわけでもない。ただなんとなく、いる。それが僕だけにしか見えないなんてことはなくて周囲の人含めて悲鳴を上げたことだってある。最初のうちは驚いて悲鳴をあげたり、怖すぎて泣きわめいたりもしたけれど今となってはなれたものだ。ただ危ないと思うのは向こうの彼らが僕らが自分を認識しているとわかった時だ。
昔、信号で明らかに人間ではない幽霊みたいなものが見えた時だった。その時だけは僕しか気がついていなくて僕一人だけびっくりして顔をそらした、そして気づかれないようにとなるべく平穏を装って信号を渡った。その時、確かに僕の耳元で聞こえたんだ。『お前見えてるんだろ?』、そう聞こえた。それが僕が目が覚めてから一番最初に味わった殺意だった。
そんなこんなでなぜか僕だけよく遭遇する彼らを避けて2年。やはり今でも見れば驚いてしまう、慣れたと言っておきながら不遜なものだがもう少し人間の目に優しい見た目をしていてもいいんじゃないかと思う。彼らと遭遇するのは人通りの無いと場所やとにかく僕一人だけの場所だ。さっきのやつが追いかけてきたら溜まったもんじゃないと思って全力疾走のまま大通りへ出た。
はぁはぁ、と息を吐きながら運のいいことに青になった信号を渡る。時々後ろを振り返りながら駆け足で渡った。暫く走って後ろから何もついてきていないことを確認すると目の前に向き直る。
眼の前には閉まった校門があった。普段だったらそこにあるインターフォンを押して名前と学年、組を伝えてそのまま職員室にいって生活指導を受けるが髪色で確実になにか言われるのでそこはパスしたい、僕は数歩後ろに下がって助走を駆けて思いっきりジャンプする。実は遅刻するのはこれが初めてではなく朝が苦手な僕にとって怪異達よりなんかよりは数百倍も慣れていた。ふわっと体が浮き上がって僕より全然大きい校門の遥か上を飛び越えて行った。勿論着地も完璧に...したかったが残念ながら僕は運動神経はいいが運があまり良くない。つまずきそうになって慌てて体勢を立て直す。少々不格好だが無事に学校にはたどり着けた。校門から学校のガラス扉までは大した距離ない、精々ほんの数メートル。間髪入れず走って扉を勢いよく開けた。中にいたのは用務員のおじいちゃんで
「よぉ坊主、また遅刻かい?そんな急いで元気なこったな。」
にこにこしながら手を振ってくれた。
「うん、おはよう、おじさん。本当は僕も遅刻したくはないんだけどね。」
そういいながら自分の下駄箱まで向かった。今僕は高校二年生、入口から入ってすぐ近くに僕の下駄箱はある。全然洗っていない僕の裏履きは薄黒く汚れていた。まぁそんなことはお構いなしになるべく手早く靴を履き替えておじいちゃんにまたねと告げて階段を上がった。僕の教室は三階にある。ずっと走っていたから大分足が疲れていて3階にあがる頃にはへとへとだった。それでもなんとか教室までたどり着く。中にはまだ担任の先生がいてなにかを話していた。
僕はできるだけ音を出さないように教室の扉を開ける。
しかし思いは届かず古い引き戸はガラガラと音を立てながら開いた。
「日無気子...お前」
先生が低い声で名前を呼んだ。
「なっなんですか、先生。」
僕は必死にとぼける。
「お前どこ行ってたんだ。もうホームルーム始まってるぞ?先生心配したんだからな。」
急に笑顔になった先生の目が笑ってないことくらい僕にはわかってる。
「ちょっとトイレに...」
「鞄を持ってトイレに行くとは自分几帳面だなぁ。」
先生の声がまた低くなる。僕はあはは...と引き笑いをしながら自分の席に着く。取り敢えず授業に間に合ってよかったと荷物を片付け始めた。
それから授業が始まって、まだ眠かった僕は途中でうたた寝しかけて、先生に怒られて、また授業が始まって昼休みになった。
鞄をそのまま持ってきたわけだから当然弁当なんてないし、生憎財布も持ってない、当然朝ごはんも食べていないものだから僕はお腹が鳴りそうなのを必死に抑えていた。すると男子もとい友人が僕の近くに来た。
「よう、瑠雨。お前また遅刻してたな、お前なんかい遅刻するんだよ(笑)。」
こいつはクラスメイトの青花で一年からの付き合いだ。
「やぁ、別にわざとってわけじゃなくて、てか弁当持ってない?僕もうお腹すきすぎいちゃって...。」
「どうせそんなことだろと思ったよ。ほら、購買で買ったパン。」
そういいながら彼は美味しそうな焼きそばパンを差し出してきた。こいつのこういう優しいところが僕は好きだ。
「まじ?あざす!」
現代特有の語彙を使いながら僕は彼に礼をした。
僕には友達が多いわけではないが少ないわけでもない、別のクラスの皆なとも合流して4人で屋上で昼ご飯を食べた。他愛ない話をして、笑って、ふざけて、チャイムがなってまた急いで別れる。
そんな日常が大好きだった。もうこの学校で過ごす時間は半分近くになってしまったけれど今みたいな日常がずっと続けばいいと思った。怪異は本当に困ったものだけどそんなことを気にしてもしょうがないと思えるほど日常は幸せで平穏を、平和なこの国もこの場所全部大好きだ。記憶がなくたって構わない。
そう思っていた。
でも僕の幸せは突然終わりを迎えた。
時間が経って今日の授業がすべて終わった。掃除当番もないし、帰宅部だから部活もない、偶々友人の一人である海が暇だったので一緒に帰ることになった。今は夏だから夕方という時間帯でも日がまだまだ高くて暑いな、なんていいながら校門を今度はちゃんと通る。海と二人きりだ帰るのは久しぶりだからなんとなく気分が上がった。暫く沈黙が続くと、そういえばといった風に海が話始めた。
「そういえばさ、俺、好きな人できたんだ。」
海のことだからどうせくだらないことなんだろうなと思っていたらまさかの発言に少し驚く
「えっ誰?女?男?どっち?」
今の時代ならどっちもありえる。もし例え男だとしても僕は全力で応援するし、友人のそういう話はやはり面白い。これを女子達は恋バナというんだったか。」
「恥ずかしくて名前なんか言えるわけねぇだろ、でも、うん、女。」
少し頬を赤らめながら照れくさそうに彼は言った。誰だからはわからないが友人としてこれは応援しないとな、と思う。
「まじかーお前もついにできたかー。てかじゃあ告った?」
まだ恋心のこの字もできていない僕にとっては少し羨ましい。しかしそんなことよりも海の恋の行方が気になった。
「まだ告ってない...。」
「そっか、なんか進展あったら聞かせろよ。」
「おう!」
そんなこんなで話していたら海との別れるところまで来てしまった。海とは途中で反対方向に別れるためここでお別れだ。じゃあな、と手を振って僕は人通りのない道に足を踏み入れた。なるべく僕は早足で進むなぜならこういう場所ではよく彼らと遭遇してしまうから、
駆け足で進んでる時だった。
___!?
真っ赤な服、真っ赤な帽子、大きなマスク。道を塞ぐように道の中央に立ってこちらをじっと見つめている。マスクであまり顔は見えないが目の形だけで言えばそれはとても綺麗だったが、僕は知っている。
___こいつ怪異だ。
それは大して詳しくなくともすぐにわかるモノ。怪異をよく見かける僕はだいたいそいつが人間かそれ以外かぐらいはすぐにわかる。聞いたことはないだろうか、この口裂け女と言われる怪異を。
気づかれる前にこの場から立ち去って人通りは同じく少ないが別の道に行こうと思って身を返そうとした。けれどそれはもう遅かったようだ。
「私、綺麗?」
驚いて一瞬固まってゆっくりと後ろを振り返る。それはいつの間にかすぐ後ろまで来ていた。
___早すぎるっ、メリーさんじゃないんだぞ
確か対処法があったはずと、必死に頭を動かした。その間にどんどんそれの表情は気味の悪い目に変わっていっていて、なんとか思い出せたのは
「ふっ普通だと思います。」
確かどっかで曖昧な答えをしておけば口裂け女は反応に困ってその間に逃げられるって聞いたことがある、
___今だ!!
そう思って走り出そうとしたところ、もの凄い力で肩を掴まれた。
「もうそれは聞き飽きたああああああああああ」
いつの間にかマスクが外れていて限界まで裂けた口が壊れたように同じ音を繰り返す。
ゴキッと鈍い音が鳴る。それと同時に肩にもの凄い痛みが走った。痛すぎて涙が出そうだ。
もはや叫ぶこともできなくて痛みに耐えて蹲る。おそらく骨が折れているのかもしれない。その間にもそれは僕のことをじっと見つめ目元と口元を限界まで上げて笑い出した。
その怪奇的な手は制服の襟を掴んで僕のことを引きずる。ずりずりと僕の耳に聞こえる程度には音が鳴った。確かそれは遭遇したものをどこかへ連れて行くと言われていたはずだ。これじゃまるで引子さんに連れて行かれる子供だな、なんて思いながら痛みを必死に我慢して逃げようとする。幸いこいつが僕を引きずるペースは遅かった。全力で立ち上がろうとしてビリっと制服の柄費の部分がちぎれる。どうやら相当な力で引きずられていたようだ。僕はそんなことお構いなしに走り続ける。なにより連れて行かれた先でなにが待っているのかわからなくてそれが怖かった。必死に走り続けて人通りの多い道に出ようとして僕は足を止めた。
なぜか僕は口裂け女の目の前に来ている。
僕は肩を抑えて反対方向に走る。
___なんで!?
今度はそれのすぐ横の通りに、別の通りに逃げようとして視界からスッと口裂け女が消えたのを見ていた。そうそれは自分のすぐ前にいた。しかも僕より格段に背の高いそれは目が僕の眼の前に合って、それ慌てて逃げようとして後ろ向いて、
「私、綺麗?」
今度は二人目が現れた。ふざけんなと思いつつさっき折られた肩がまた痛くなって動けなくなった。その場に座り込む、
そういえば口裂け女は実は3人いるなんて話もあったか、なんて呑気に考え...いやもう諦めていた。これまでが運が良かったんだ。今ではいつか死ぬんじゃないかそう考えていた気もする。この先どう転んでも死ぬ運命が見えた。悲しいことに走馬灯で見るような大切な人たちがいなくて少し落胆しせめて友達のことだけでも思い出そうとして、
もう駄目だ。諦めて僕は目を閉じようとした。
自分の人生の最後くらい安らかにって
「ちょっと待ったああ!!」
僕は閉じかけた目を開く、
グシャっと汚い音がなった。
顔にペチャっとなにかの液体が着く、今の場面で出る液体なんて血液しかない。ついに怖すぎて悲鳴を上げた。
「うわあああああああああ」
肩の痛さなんか忘れて、その場に崩れ落ちた。もう腰が抜けた。すると、後ろからにも同じ音がなった。
いやただ潰れた音じゃない、
___戦ってる?
口裂け女らしきものの悲鳴のような叫び声と少女のような声が聞こえて、なんとか後ろを振り向いた時大量の銃声が聞こえて口裂け女に大量の穴が空く。まるでバトル漫画でも見ている気分だった。
それはその場で倒れ込んで血らしき赤い液体がそれからどろどろと流れ出た。
その死体といっていいのかわからないなにかの近くにはピンク色をした少女が立っていた。手には漫画で見るような杖っぽいものを持っていてそれには大量の血液が付着していた。しかし不思議なことにその少女の真っ白な肌には返り血らしきものは一切なくて、僕がぼーっと見つめているとこちらに気づいた少女は僕に気づくとこちらに歩み寄ってきた。助けてくれたのか、それともさっきのやつらごと僕を殺そうとしているのかわからなくて抜けた腰でずりずりと後ろに下がる。後ろにはさっきのそれが倒れていて。流れた血が服につかないぎりぎりで止まった。僕が後退しても特に気にすることはなく、少女はむしろ駆け足でこちらに近づいてきた。
「瑠雨!?瑠雨だよね、どこにいたの、私ずっと探して...死んだかと思ったじゃない!」
少女は僕の名を呼んだ。僕は残念ながら僕に彼女に対しての記憶なんて微塵もなくて、ただ一つわかった気がする。人生歴は短いけどこの感は絶対当たると思った。
「さようなら僕の平穏...」
そう僕は呟いた。
読んでくださってありがとうございました。
ちょっと戦闘シーンが書きたかったのですが書き方が全然わかりません(涙)
怖い雰囲気ってどうやったらだせるんでしょうか?、もし面白かったら次回作も読んでいただけたら嬉しいです。




