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リリーとラグ 後編

気づけば、

リリーがラグの前に飛び出し、

倒れていました。


「リリー!!」


ラグは駆け寄ります。


「ラグ……だいじょうぶ……?」


「うん……リリーが守ってくれたから……!」


リリーは、

ほっとしたように微笑みました。


「よかった……」


そうつぶやいて、

静かに意識を失いました。


リリーはすぐに動物病院へ運ばれました。


ラグは震えながら、

ずっとそばを離れませんでした。


診察が終わり、

先生が静かに言いました。


「命に別状はありません」


ラグは、ほっと息をつきます。


けれど、次の言葉に固まりました。


「ただ……もう走ることはできません」


ラグは何も言えませんでした。


リリーは、走るのが大好きだったのに。


「ボクのせいだ……」


小さくつぶやき、

うつむきました。


リリーの病室には、

毎日たくさんのお友だちが

お見舞いに来ました。


明るい声。

楽しそうな笑い声。


その様子を見ていたラグは、

そっと病室を出ました。


中庭のベンチに座り、

これからのことを考えていました。


そのとき。


「なにしてるの?」


振り向くと、リリーが立っていました。


「リリー……」


ラグは顔をくしゃっとさせます。


「ボクのせいで、リリーは走れなくなった……

縁談の話だって来てたのに……」


ぽろぽろ涙がこぼれました。


リリーは、やさしく言いました。


「ラグ。わたし、走るより大切なものを知ったの」


「それは、ラグといっしょにいることよ」


ラグは顔を上げます。


「……でも、ボク……」


リリーは少し笑って言いました。


「縁談? そんなの興味ないわ」


「わたしが選ぶのは、いつだってラグよ」



数日後。


ふたりは並んでベンチに座っていました。


リリーがにこりと笑います。


「走れなくたって、パン屋さんには行けるわ」


「公園にピクニックだって行けるわよ。

ラグといっしょにね」


そして、いたずらっぽくウインク。


「それにね……泳ぐことはできるわよ!」


ラグは苦笑いしました。


「ボク、泳ぐの苦手なんだけどな……」


でもその顔は、

しあわせそうでした。


しっぽが、

そっとふれあいます。


もう、どこへでも

いっしょに行ける気がしました。


おしまい。

これからも続いていく、リリーとラグの日々を、そっと見守っていただけたら嬉しいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

またどこかの物語で、お会いできましたら幸いです。

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