表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

リリーとラグ 前編

ダウンタウンの片すみに、

ぼろぼろの子犬が、ひとりぼっちで

うずくまっていました。


名前もなく、呼んでくれる人もいません。


「さむいな……おなかすいたな……」


小さくつぶやいても、

こたえてくれる人はいませんでした。


そのとき――


カチャ、カチャ、と軽やかな音が近づいてきます。


毛並みふわふわ、

きらきらの首輪をつけた

アップタウンのお嬢さまワンコが、

立っていました。


「まあ、あなた、こんなところで

なにしてるの?」


子犬はおそるおそる顔を上げます。


「……ボク、どこにも行くところが

ないんだ」


その言葉を聞いたお嬢さまワンコは、

少し考えてから、にっこり笑いました。


「じゃあ、いっしょに来る?」


それが、リリーとの出会いでした。



あたたかいミルク。

やわらかい毛布。

安心できる場所。


次の日、子犬はリリーに言いました。


「ボク……なまえがないんだ」


リリーは楽しそうに首をかしげます。


「じゃあ、わたしがつけてあげる」


少し考えてから、言いました。


「“ラグ”ってどう?」


「ここで会ったの、ぼろぼろの

カーペットの上だったから」


子犬――ラグは、

ぱっと顔を明るくしました。


はじめて自分の名前をもらったのです。



それからの日々は、

あたたかくて、にぎやかで、楽しくて。


おさんぽも、

おひるねも、

パン屋さんへのおつかいも。


全部いっしょ。


「明日は丘のうえに行こうよ!」


「いいわね、ラグ♪」


いつもふたり。

それが当たり前になっていました。



そんなある日。


リリーの家に、立派な馬車がやってきました。


由緒ある家柄のワンコから、

リリーへの縁談の話が来たのです。


その話を、ラグは

ほんの少し開いた扉のすきまから

聞いてしまいました。


「リリーは、

ほんとうのお嬢さまだ……」


「ボクなんかが、いっしょに

いちゃ行けない……」


ラグは、笑顔のふりをしました。


でも胸の奥は、

ぎゅっと苦しくなっていました。



数日後。


いつもの公園で――


リリーが、ふっと鼻を動かしました。


「……ガスのにおい?」


次の瞬間。


「ラグ、あぶな――」


ボンッ!!


大きな音とともに、、

地面がはね上がりました。

後編へ続きます。

リリーとラグの物語を、最後まで見届けて頂けたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ