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プロローグ
かつーんかつーん
私の足音が誰もいないはずの職場に響き渡る。
クビを切られたはずの夜の職場に忍び込んでいる私には、この足音が恐ろしい。
そう私は今、不法侵入をしているのだ。
目的は復讐……と言いたいところだが、私にはその覚悟はない。
ただ、私は私という人間を辞めさせた事に苛立ちがあると言いたいだけなのだ。
セクハラにモラハラ、イジメなど、思い出せば様々な行為に耐えてきた。
決壊して病院に駆け込んだ私はもう精神を病んでいた。
「私は私の思いを知って欲しいだけ」
私は総務部長の席に向かう。
ただただそこへ手紙をそっと置いた。
「どうか改善されますように」
私は帰路へと着いた。
しばらく歩いて元職場の1番広い踊り場で、他の気配を感じた。
「誰かいるの?」
帰ってくる言葉はなかった。
だが、何故だか視界が揺れた。
「何、何なの!」
足場が崩れてゆく。
深く深く沈んでゆく。
助けはいない、呼ぶことはない。
「まぁ、いっか」
もう、心残りはない。
その言葉を発した後、目の前が暗くなった。




