魔剣を倒す魔法
紫色のまがまがしい光が黒ローブの人物がいた方向で輝いている。
現れた魔物は唐突に、増えることが無くなる。
お陰で減らしてはいけたのだけれど……。
その紫色の光の中心には、複雑な文様の描かれた剣が輝いている。
だが、その魔剣のすぐそばにいた“魔物使い”だが、
「お……お……」
奇妙な声を黒ローブが出した。
そして、ぴちゃんと、液体がこぼれるような音がして、黒ローブ自体が地面に落ちる。
否、まるで黒ローブの中身である“魔物使い”が、とろけてしまったかのようだ。
布だけが地面に落ちて、周りには徐々に赤いシミが広がっている。
「魔剣の魔力に当てられたか」
無表情にクロウが告げた。
そこでミミが、
「クロウさんは、魔剣に詳しいのですか?」
「ああ、もともと、聖剣を預かっていた一族だからな。もっとも、見失っていらい一族はバラバラになってしまったが……さて、どうしようか。このままだと俺達も真っ先に死にそうだが……アラタ」
クロウに僕は名前を呼ばれた。
なんでだろうと思って近づくと、
「あの魔剣を一撃で破壊できるような……いや、数撃で倒せるものはないか?」
「と、とりあえず強力な魔法で倒してみます」
「そうして欲しい。しばらくすると動くはずだから。そうなれば手に負えない」
どうやらこれからこの危険な魔剣は動き出すかもしれないらしい。
しかも剣なので、動くという事は宙を移動するから、動きも早いだろうことを考えると早めに倒さなければならない。
だから選択画面を呼び出して、この世界の中でとくに強そうな魔法を選択し、
「“天を貫く雷”」
それを選択すると……剣の周りに金色の魔法陣が現れて、次の瞬間、強い光と轟音が響いたのだった。




