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援護

 アンが何かを小さく呟いた。

 同時にすぐそばで、白い光の輪のようなものが現れて、そのまま四足歩行、毛並みは灰色の、大きな狼のような怪物が現れる。

 どうやらこのアンという人物は魔物を呼び出し、扱う能力があるらしい。


 そういえば以前、ステータスを見た時に“犬型のブアラ”という魔物が、という記載があった気がする。

 だがこの大きさと体格では犬には見えないなと僕は思った。

 そこで、その魔物が小さな咆哮を上げて……消えた。


「え?」


 何処に行ったのだろう? そんな疑問を覚えた僕だがすぐに、背後で何かがかみ合う音がした。

 正確には金属と堅いものが打ち付けあったような音。

 おそるおそる僕は振り返ると、


「全く、子供なのに真っ先に危険な場所に踏み込むのはどうかと思う」

「エリザ! どうしてここに?」

「爆発が見えたから気になって様子見に来ただけ。クロウも来ているから、もう大丈夫だよっと」


 そうエリザが言うと同時に、現れた魔物が引く。

 だが再び襲い掛かろうとした所で、エリザが剣で一閃。

 魔物は二つに分かれて倒れてしまう。


 あまりにもあっけなさに目を待たかせていると、


「敵単体を攻撃するだけなら、楽なんだ。今回は周りに気も使わなくて済むしね」

「……もしや僕達はお荷物だったのでしょうか」


 今までの冒険を思い出すとそうとしか思えなかった。

 それにエリザが肩をすくめて、


「魔法攻撃の援護は助かった。人間の、それも強力な魔法を使う相手には魔法で対抗するのが一番よかったから」

 

 そうエリザが言った所で、ばたんと誰かが倒れる音がする。

 見るとクロウがアンを気絶させたところのようだったのだった。

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