疑問
ジャムが出来るのを待ちつつ、ミミ達を見送った後。
サナが呻いた。
「子供扱いされたのが悔しくてここまで来たけれど、全部終わった後だったなんて」
「でも怪我は無いみたいでよかったんじゃないかな」
「それはそうなんだけれど……黒い猫耳の子か。私、すれ違った時に全然気づかなかったかも。猫耳は目立つのに」
サナが呻くように言って、カレンにも聞くと気付かなかったと答える。
それを聞きながら僕も、
「なんでみんな気づかなくて僕は気づいたんだろう?」
「実は気づかれないように魔法で何かしていたとか?」
「そんな魔法があるのですか?」
「アラタは知らないの? 色々な魔法を持っているみたいだったけれど」
サナに言われて僕はこの世界の魔法が使えるの思い出す。
もしかしたら選択画面の中に認識をいじる魔法があるのかな? と思っていると、
「“非現実の空”。存在を認識させなくする魔法。但しその人物より魔力があったり、耐性が強いと見破ることが出来る。そういえば、僕が気付いていたから手を振られたのかな?」
「そうなの?」
「うん、神殿のあるあの町でもその黒い猫耳の子を見かけたし。行き先が同じ……あれ?」
そこで僕は気づいた。
神殿のある街でも彼女に会っていて、そしてこちらでも。
多分僕達がギルドでエリザ達と話したり、依頼を受けるための待ち時間で遭遇せずに済んだのだろうけれど……。
「もしかして神殿のあるあの町を拠点にしている? とか?」
僕が推測を述べた所で、ジャムが出来たわよ、と僕達は呼ばれたのだった。




