黒い猫耳
こうして先ほどの黒い猫耳の少女の歩いてきた方向に向かう。
なんでもあちらの方に、兎族のニンジンのオブジェ(像)が大量に飾ってあるそうだ。
他にも、兎族の里で色々な特産品があるから見て回ったらどうか、という話になる。
「町では見かけないようなアクセサリーもあるから、楽しみにしているといい」
「「!」」
サナとカレンが速攻で反応した。
それでいいのかと僕は思ったけれど、二人は葛藤しているらしい。
二人も女の子なのでそういったものには目がないのだろう。
そう思いながらも歩いていくと段々に人気が無くなっている。
確かに昼間なので皆働いていたりするだろうけれど、そう僕が思っているとそこでエリザが、
「うーん、この時間は人が少ないとはいえ、少し少なすぎるな」
「そうなのですか?」
「ああ、一応はこのニンジンのオブジェはこの村の名物でそこそこ時間がたっているとはいえ……目に来た時はもう少し人がいた気がする」
呟くエリザ。
そこでクロウが周りを見回した。
そして、路地に隠れるように人がいるのが分かる。
彼はたばこを吸っており、こちらが見ているのに気づいたらしい。
そして、サナが、
「あれ、この人うちの人だ」
するとその人物が新聞を折りたたんでこちらにやってきて、
「そうですよ。というかサナちゃんはどうして神殿ではなくこの村に? 一緒に来なくていいようにと言ったはずですが」
「……ちょっとギルドで依頼を受けただけ」
「そうですか。ではすぐに帰ってください。今は皆さんが頑張っている最中ですから、邪魔をしないように」
「邪魔って!」
「黒い猫耳の少女がいて力が強くて大変なのです。周りを気づかう余裕はありませんよ」
諭すように告げるその神殿の人だが、僕は今の言葉を聞いて何かが変だと感じてすぐに思い当たる。
「あの、さっき黒い猫耳の少女がこちらの方から歩いてきたのですが」
そう僕が話しかけたのだった。




