手を振られたので
それから兎族の里を見て回ることに。
サナとカレンは、隙あらばミミ達を……と思っているらしく、せわしなく周りを見回している。
エリザはあきれ顔になりながらも、少しでも走り出そうとしたら捕まえようとしている。
その様子をみながら、サナもカレンも絶対にあきらめていないなと僕は思う。
このまま何も起こらずにジャムを買って帰ることになったらいいなと考えたりする僕は、二人にとって裏切り者になるのかなと思った。
でも二人がけがをする可能性があるよりはいいかと思って歩いていると……。
「あれ、黒い猫耳の女の子が人間の男の人と一緒に歩いている」
「猫耳の獣人は珍しいからな。しかも人間と一緒か」
そこで苦労が何かを考え込むように黙った。
そうしたんだろうと僕が思っているとそこで、
「猫耳の獣人は、この世界の女神様ニケが猫耳な事からも分かるように、強い力を持つ。だからこんな風に獣人の護衛をつけず、人間と一緒に居るのはあまりない、と思う」
「そうなのですか?」
「ああ、ただ人間から猫耳の子供が生まれた例もあるから一概には言えない。それに猫耳の人間は、すくないといっても百人近くいるからそこまで少ないというわけでは……」
クロウがそう説明してくれたけれどそこで僕は、その黒い猫耳少女と目が合う。
彼女は僕と目が合うと微笑み、手を振った。
見知らぬ彼女だけれど、とりあえず僕も手を振り返した。と、
「知り合いか?」
「いえ、全然知らないです。でも何でか手を振られたので」
そう返すとクロウはよく分からないという顔をしたのだった。




