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とどかずとらず  作者: 飛鳥恵佳


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8/12

DNA

 とりあえずテスト期間の後半半分を勉強することにした。別におじさんがここを追い出すとは思えないけどイレギュラーは起こりえるから、とりあえず形だけでもやっておこう。前回結構ひどかったからな……。

 1日目は生物基礎と現代文。まぁ現代文は勉強しなくていいだろう。生物基礎は暗記が中心。やりたくないなぁ。

「おじさぁん、べんきょー教えてー」

「……なんの?」

「生物、基礎」

「生物基礎かぁ。ほとんど暗記だよね?」

「なんか、DNAとか塩基配列とかその辺」

「んー、もうその辺は覚えてないなぁ……。一応勉強の仕方なら教えられるけど……」

「べんきょーのやり方?」

「うん、まぁ定期テストぐらいだったら問題なく対策できるやり方」

「ほう。聞きましょう」

「暗記するために書くのはめんどくさいじゃん?」

「まぁ、書かないでいいなら」

「オレがやってたのは、覚えなきゃいけないページを一通り、自分で覚えられたと思うまで見る。プリントがあればプリント、なければ教科書で十分。ノートはあんまりおすすめしない」

「なるほど」

「で、一ページ覚えたと思ったら次に行く。次のページも覚えたと思ったら、その次には行かずに一個前のページを確認する」

「ほうほう」

「忘れてたら戻って読み直す。別にその時は覚えようとしなくていい。それでまた次のページに進む。そんな感じでテスト範囲を最後まで回す」

「なるほど」

「オレはだいたいそれで何とかなってたと記憶している」

 全部言い終えたおじさんはなぜか少し恥ずかしそうにしていた。

 こういうのはどうやら恥ずかしいらしい……。何が恥ずかしいんだか。

「まぁ、オレはそんな感じで高校生の頃は勉強してたぞ」

「そーなんだ」

 一応言われた通りにやってみるか……。



 一周は終わった。意外と時間がかかったなと思ったけど、何も考えずに勉強していたらもっと時間かかっていただろうし、自分の現在地が分かっていなかったと思う。本当に覚えるのが遅い。そんな自分いイライラしてくるぐらい、覚えるのって時間がかかるのだと実感させられた。

「ぐぅぁぁぁぁうぁぁぁぁ」

 とても疲れたので伸びをしたら結構声が出てしまった、少し恥ずかしい。

「お疲れさん」

 おじさんはその言葉と共に冷たいお茶を出してきた。

「ありがとう……」

 どうだった、とは聞いてこないんだ……。

 こんなに頑張ったのに。

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