12話・大介とサラの雑談 前編
いつも【アルカディア】を読んでくださり、ありがとうございます。
一話にするとすっごく長くなるので、今回は短いですが区切ります。
次回は大介が転移前の世界で起きた内戦の話です。
また読みに来ていただけると嬉しいです!(ぺこり)
元居た世界では一日が永遠のようだったが、ここでは時間の流れが早く感じる。
まぁ、それだけ充実しているって証拠なんだろうが……
「ダイスケさん。ご指摘いただいた、矢の不足の件なのですが…」
「ダイスケさん。採取した薬草補充しておくので、後で確認お願いします」
「お~、あんちゃん。あの畑の事なんじゃが、休耕させることにしたわい」
良かれと思って助言しただけなのに、どうしてこうなった?
今のままだと、俺は確実に魔法使いよりも、疲労で死ぬことになるな。
「ふぅ」
まぁ、何をするにしても人手不足なのは、俺の目から見ても分かる。
俺の知識と経験が、少しでも防衛戦で散った人達の溝を埋められるといいが。
「よぉ~。調子はどうだ?」
「あなた……暇なの?」
「まぁな。ちっと頭ん中空っぽにしてぇから逃げてきた」
「そう……あなたも逃げることあるんだ」
「そりゃ、適度に息抜きしねぇと、体がもたんからな」
また暴れたのか首掛けの布から左腕が抜けている。
暴れても動かねぇように布地を増やすか?
いや、下手に布を増やせば自殺するかもだし、これ以上の拘束するのは精神的に良くねぇ。
「ねぇ…」
「ん?どうした?」
「その傷……魔法使いにやられたの?」
「いぃや?これはこの世界に来る前に負ったもんだ」
「そう……貴方の世界も……物騒なのね」
「過去の事だから物騒だったって言った方が正しいかな」
まぁ、内戦時も毎日誰かが死に、自分もいつ殺されるか分かれない状況で苦しかったが、今となっては終戦後の二年半の方が地獄だったな。
「どういうこと?」
「ん?何がだ?」
「貴方の世界は戦争が終わって平和になったんでしょ?それなのに、わざわざ時空間を超えて、こんな物騒な世界に来るなんて……戦争が好きなの?」
だんだんと喋ってくれるようになったな。
いい兆候ではあるが、闘う事に疲れた子に戦争の話をするのは…
「い~や?俺は今日みたいなのどかで静かな日に、茶でも飲みながら暮らしたいと思っている平和主義者だからなぁ。戦争はごめんだ」
「そう……。それなら、何で平和の世界を棄ててまで来たの?」
ぐっ、何とか話を逸らそうと思ったが無理があったか。
「知りたいか?」
「うん……教えてほしい」
「それなら、条件が一つある!」
「なに?」
「長話になるから、ヤハギ茶を淹れてくれ」
「いいよ。そんなに……気に入った?」
「ああ、正直サク爺から貰った新茶の百倍は美味い!」
「それ、サクお爺さんには言わない方がいいよ」
水筒では味わえない、お湯を注いだ時の深い香り。
お湯の温度はもちろん、最後の一滴まで絞られた、この渋みがたまらないんだよなぁ。
「ふぅぅ、やっぱ美味いわぁ」
「そう……良かった」
「サラちゃ――」
「ちゃんづけは止めて。サラでいい」
「そうか。なら、サラ……何で俺がこの世界に来たのか話すのには、まず俺達の世界で起きた内戦……戦いについて話す必要があるんだが、それでもいいか?」
「うん……殴って地面を歪曲させる貴方が何と戦っていたのかも気になるし」
「それじゃ話すから、分からない事があったら言ってくれ」




