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14. 朝ごはんとキツツキの見送り

 



 起こしに来る?と、オリは不思議でした。


 オリとジャズが目を覚ましたのは、おかしな音がしたからです。


 –––あの音は、ペックが鳴らしたの?


 でも、あんな大きな音を小さな鳥が鳴らすなんて、オリには到底信じられませんでした。




「ペック、頼みがあるの。私とトーファーは、オリたちと一緒に北へ向かう。拐われた双子の妖精の片割れを見つけに行くのよ。」


「ややっ、拐われたとな!?それは穏やかではない。いや全くもって、穏やかではない!」


「私たちが居ない間、この森を見張っていて欲しいの。もしコヨーテたちが入って来たら、東にいるティータとピートに知らせてちょうだい。」


「お任せあれ、我が友よ!このペック、森の隅々までに目を光らせましょうぞ!子ネズミ一匹、わがはいの監視を逃れられはしな〜い!」


 ジャズの頼みにそう応えて、黒いキツツキは翼をばさばさと広げては閉じて、胸を張るのでした。




「ジャズも一緒に来てくれるのね!」


「ええ、もちろん。居なくなったリーナを放っては置けないもの。」


 オリは、トーファーだけで無くジャズも一緒に探しに来てくれることを、とても心強く思いました。


 ディーンはどう見ても子供だし、シドは大人のように喋るけれど、犬なのです。


 オリは、犬と暮らしたことは無かったし、ましてや頼ったことなどもちろんありません。


 動物や妖精では無くて、人間の大人に良く似たエルフのジャズが旅に加わって、オリはとても安心したのでした。




 ジャズはオリたちに、オートミールと、キノコと粉チーズの入ったサラダの朝ごはんを用意してくれました。


 昨日の夜に何も食べずに寝てしまったオリはとてもお腹が空いていて、あっという間にぜんぶ食べてしまいます。


 ジャズは笑って、オリにもう一杯オートミールをくれました。


 オリは少し顔を赤くして、ありがとう、と小さく言ってから、ゆっくりとそれを食べました。


「これから北に向かうのだもの。力を付けないとね。」


 と、ジャズは微笑みました。




 朝ごはんを食べ終えたあと、ジャズはトーファーに鞍を付けて、荷物をまとめ、出発の準備を整えます。


 すっかり準備が終わった後、オリはまた、ジャズと一緒にトーファーに乗せてもらいました。


「それじゃあペック、あとは宜しくね。」


 そう言ったジャズが見上げた方を、オリも見上げました。


「お任せあれ!幸運を祈るよ、友人たち!」


 そこにはペックがいて、大きな木の幹にしがみついていました。


 そして–––


 コロロロロロロロ……


 と音が響いて、オリは初めて、キツツキが木を叩く時の様子を見ると共に、その音を知りました。


 ペックは目には見えないほどの速さで、木の幹をつついていたのです。




 オリは小屋の屋根に突き出したパイプえんとつに目を移して、その表面がボコボコにへこんでいるのを見つけました。


 –––ペックがつついたんだ。私たちを起こした音は、本当にペックが鳴らしていたんだ!


 と、オリは納得して、感心したのでした。






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