最後の日常
いつものように、僕はリノンの返事を待つ。
あとどれくらい、この交換日記は出来るのだろうか?
そう思いなら机に目を向けると、交換日記は光りだす。
僕は切なさを覚えながら、新しいページに目を落とす。
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魔王の追い込み漁??
大好きなユウスケへ☆
正当防衛、ちゃんとあるよ?
法律とかはこっちもしっかりしてるよ~。
……魔王……怯えちゃってるのかな……。
そういえば、昔ね、こんなことやった覚えが……。
川でね。
網を仕掛けて、魚をどんどん網の方向に、追い込んでいくの。
魚の追い込み漁ね。
……今、それやってる気分……。
魔王の追い込み漁って感じ~☆
でも、ユウスケの言ったように、本当に魔王城に戻る気みたい。
ちょうど、私たちが魔王城に入るルートと同じ道を通っているから。
明日には、捕まえられるかもね♪
じゃあ、待っててね☆
ユウスケ☆
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「とうとう……」
魔王との対決が……。
明日は僕が交換日記を書く番。
これで、僕達はどんな運命をたどるのだろうか。
「魔王の追い込み……ねぇ」
僕は切なさ交じりの笑みを落とす。
・・・・・・
本当に……これが最後かもしれない。
僕は筆を執って、綴った。
……切ない気持ちを抑え込んで……。
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魔王は魚ではありません!!
大好きなリノンへ。
正当防衛、びっくりしちゃった……。
そっちにあるとは思わなかった……。
……リノンはやっぱり、魚をとるのが得意みたいだね……。
でも、魔王は魚じゃないからね?
同じ感覚でやらないように!!
……って、飛空艇で追いかけるって、まぁ、それに近いよね……。
魔王城に戻るなら、戦いやすいかもね。
やっぱり、武者修行してたのかな?
それとも、玉座の手紙は武者震いしてかも?
……。
……ごめん、変な冗談言って……。
じゃあ、またね。
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「……ふふふ」
最後の最後で、僕のブラックジョーク。
僕達の交換日記……結末にふさわしい……そんな気もしてきた。
「リノン……最後は笑って?」
僕は願いを込めて、交換日記を閉じた。
交換日記はあわく光る。僕の見る最後の光りになるかもしれない……そんな思いがあった。




