2.俺の人生に介入するな
何か俺、遅刻しそうなんだけど。
と、ちょっと焦る俺に降りかかるなんちゃら。
何だよ。こんなところで不幸になるわけにはいかないんだって。
飛び起きた俺を制すかのように、自室にノックの音が響く。
「誰?」
ここまで来るのはヴィンか、レモイか、常連客か。
いずれにしろ俺の見知った奴ばかり。
たまに間違って入ってくる奴もいるけどな。
「ん…?」
返答がない。
ヴィンならすぐ「入るよ」って言って入ってくるはずだし(俺の親。)
レモイなら何も言わず入ってくるし(俺の友達。)
常連客なら控え目に名前を言うはずだけど(ほとんどがキルトなんだけど。)
ちょっとこの沈黙に耐えきれなくなってドアを開けると。
そこには、見た事もない綺麗な人が立っていた。
「はじめまして」
「え?あ…はじめまして」
つられて俺はお辞儀する。
「えっと…?」
「私はディオ」
「ディオさん…ですか」
カタカナの名前?
ここ日本。
それにこの手の店にはあんまり外国人寄ってこないはずだけどな(外国人にもなさそうな名前だし)
「指名、ですか?」
「いや」
そんな事じゃないと言いたげだ。
「お前が…欲しい」
「はぃ?」
この人男にしか見えないんだけど、実は女だったとか?
それとも俺今私服なんだけど、私服でも女にしか見えない?
それともまさか――――…
「あの…失礼なこと聞きますが」
「何」
ものすごく興味がなさそうなディオさん。
「男、ですよね」
「そりゃ」
だよね…こんな所に来るのは男だけだ。
「俺も男だって、知ってますよね」
「そりゃ」
だよね…ここにいるのは男だけだ。
「じゃあ何で…」
知らないのとでも言いたげな目で俺を見る。
「人を好きになるのに、条件なんか関係ないんだよ」
と、カッコイイ事を言った。
が。
「へぇ…」
はっきり言ってそれは、俺が興味無い。
「分かってくれないなら分からせるまでだ」
「は!?」
そう言うとディオさんは思いっきり俺をかつぎあげた。
俗に言う『お姫様だっこ』ってやつかな。多分。
「着いてきてもらう」
とか勝手な事を言ってるけど、俺の人生に介入してほしくないこいつには。
「強制で出演」
「はぁぁぁぁぁ!?!?!」
何かこの変な奴に、振り回されそうな予感だ。
…ていうか、俺急いでるんだけど。




