本日の一杯
ある日、サラリーマンの男性が夜間営業のカフェを訪れた。カフェの扉を開けて中を見る。カフェマスターが別の人に何か詰問されていた。
「貴方誰なんですか? うちの店を無断で使って夜に営業していたなんて」
これを聞くだけで本来のカフェの運営者にこってり絞られている様子がわかる。
カフェマスターは実はカフェ無断使用の変人だったということらしい。
「私はカフェマスターです。あらゆるカフェというものにおいて免許を皆伝されここに立っております。いわゆるカフェ修士号ということです」
しかも話が通じないタイプだ。そもそも免許皆伝なら博士号の方が適切なのではないか?
サラリーマンの男性は見なかったことにしてカフェの扉を閉めた。ゆっくりとその場を立ち去る。
サラリーマンの男性には日々やるべきことがたくさんあった。
もともと彼がカフェで語る「もし」の話はほとんどが本当の話である。
転生者であり、前世は大魔導師だった彼は、今世で妹や仲間たちとともにこの世界の観測者と対峙していた。肉体強化と強力な攻撃魔法、そしてテレポートが彼の持つ能力である。そして仲間のリーダー格の男女の恋仲をいつも気にしつつ、独自のルートで増やした金をいらんことに湯水のごとく使う謎の権力を持つボケ担当として仲間たちに受け入れられている。
サラリーマンという肩書は世を忍ぶ仮の姿でしかなかった。
本日の一杯はこれにておしまいである。果たしてそれはこの話の総括のような一杯となりえただろうか。




