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「かりそめの花嫁になれ」と冷遇されましたが、むしろウェルカム!~問題ありません、私は魔法の研究と実験さえできればそれで!~  作者: YoShiKa


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10/17

10.もしかして、詰んだ?

 隣国の実験体?

 これが?


 私は私室に戻って、すぐにブラッディ・ベアを引っ張り出した。

 確かに通常個体よりも大きい。

 体格は良し。状態も良し。

 でも、これだけでは何とも言えない。


「……嘘吐かれた?」


 そうは思ったけれど、王子が私に嘘を吐く理由もない。

 レティのことをレヴィリアだと疑っているのならまだしも。

 今のところは、そんな気配だって特になかった。


(……どうする?)


 今すぐ「ここにありますわ」と差し出せば、王子としては助かるに違いない。

 でもだめ。バレる。さすがにバレる。


 王子に「どうやって手に入れた?」とか詰問されちゃう。

 最悪、私が隣国のスパイとか言われかねない。

 そうなったらマリアのことも巻き添えにしてやる。


 さすがに「気づいたら部屋にありました!」はない。

 そうなったら、それこそ使用人たちが咎められてしまいそう。

 むしろ、速攻クビを切られてもおかしくない。物理的に。


 一番良いのは、マリアに押し付けて「討伐したのは私です」と言わせること。

 なんだけど。


「見られてるのよねぇ……」


 昨日の目撃が痛い。

 どの戦略も一手で潰してくる破壊力。


 昨日の時点でマリアの振りをしてやれば良かった。

 そうしたら、少なくともこれを差し出すことで私は正体がバレず、マリアは株が上がる。はず。


 私の正体が魔法使いであることはバレたくない。

 そうなったら、レティとしてのこの離宮生活はなくなってしまう。

 それどころか、王室付きになってくれとか言われかねない。

 正式に断るにしても手順が面倒くさい。あんな書類いっぱい書きたくない。

 そもそも、そんなことになったら研究どころではなくなる。


(詰んだ……?)


 いや、まだだ。まだイケる。

 ええっと、整理しよう。


 重要なのは、私――レティがレヴィリアだとバレないこと。

 そして、レヴィリアとして王子に接触しないようにすること。


 レヴィリア()がこのブラッディ・ベアを持ち帰った様子は見られてる。


「……あれ?」


 そうなったら、あれじゃないの。

 魔法使いレヴィリアが隣国のスパイだと思われない? 大丈夫?


「……」


 王室スカウトどころか、指名手配魔法使いになってしまう。

 それは良くない。だめすぎる。

 えっと、そうなってくると。


()()()()()がこの国のために動いたように見せる方が良い……?)


 ブラッディ・ベアを前にしてしばらく屈み込んでいた私は、一息をついて立ち上がった。

 王室付き魔法使いマリアに会いに行こう。それしかない。

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