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あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
二章 一色夏鈴

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第18話 余裕の悠香

「凛久、夏鈴にも感想を伝えてあげないと」


 悠香はよかれと思って言ってくれたんだろう。


「夏鈴の水着の感想なら前に伝えてある——っ!」


 冷静になりすぎたせいか、なんの気なしき答える俺。

 しまったと思い口を噤んだ時にはもう遅かった。


「前に伝えてあるって、どういうこと?」

「えっとぉ……」


 悠香は満面の笑みで尋ねてきた。

 必要以上に作られた笑顔が逆に怖い。


「あたしと一緒に水着を買いに行ったんだよねー♪」


 俺が言い訳を口にするよりも早く夏鈴が腕にしがみ付いてきた。

 水着のせいか、いつも以上に柔らかな胸の感触を味わいながら弁明する俺。


「一緒に買いに行こうって誘われたんだ。まさか女性用の水着売り場に連れていかれるとは思わなかったし、夏鈴の水着を選ぶことになるなんて思わなかったんだ!」


 人間、焦るとついつい余計なことまで口走るもの。

 口を滑らせて聞かれていないことまで答えるさまは、さながら浮気現場を彼女に見られた彼氏のよう。

 悠香と付き合っているわけじゃないけど気分的にそんな感じ。


「なるほどね」


 全てを察した様子で頷く悠香。

 不満の一つも言われると思いきや。


「夏鈴、あんまり凛久に恥ずかしい思いをさせないでね」


 なぜか怒ることなく夏鈴を窘める。


「男の子を女性用の水着売り場に連れていくなんて可哀想でしょ」

「相変わらず、これだからお子様は……」


 すると夏鈴は頭を振りながら溜め息を漏らす。


「男の子は恥ずかしいと思っていても興味津々なの。男の子が行きたいけど行けない場所ランキング一位は女性下着ショップで、二位が女性用の水着売り場。できる女は水着選びを口実に連れてって、なんなら好みの水着を選ばせてあげるものよ!」

「そ、その手があったか……!」


 悔しがる悠香をよそに、夏鈴は俺の耳元で『ね……りっくん♪』と甘く囁く。 

 相変わらず思春期男子の下心に理解があるどころか、全てを見透かされているようで軽く恐怖を覚える。頼むから紐を引っ張った件は秘密にしておいてほしい。


 そんな俺の願いをよそに、すぐに悠香は冷静さを取り戻す。

 すると余裕とも見て取れる笑みを浮かべた。


「夏鈴の言う通り、水着を選ばせてあげるのも男の子を喜ばせる方法の一つだと思う。だけど、やっぱりサプライズも大切だと思うの。試着室で見せる水着も悪くないけど、青空の下で海をバックにお披露目する水着の方が印象に残ると思わない?」


 確かに、悠香の言うことも一理ある。

 水着は海で見るからこそ映えるのは誰しも認めるだろうし、事実、悠香が俺の期待を超える水着姿を披露してくれたおかげで未だに興奮冷めやらない。

 どちらの主張も男として優劣をつけ難く悩ましい。

 こういう時、純真無垢な悠香は夏鈴の言葉を信じてやり込められる展開ばかりだったのに、今は一歩も引くことなく張り合っているから驚かされる。

 むしろ余裕という意味では悠香の方が上だろう。


「くっ……言うようになったわね」


 その証拠に今度は夏鈴が悔しがっていた。

 今日のところはドローということで仕切り直し。

 改めて、海水浴場へ向かおうと荷物を手にした時だった。


「ちょっと待て」

「痛った——!」


 骨が砕ける勢いで俺の肩に腕を振り下ろす菫さん。


「まさか凛久、私の水着姿だけ感想を言わないつもりか?」


 すごむ菫さんが着ていたのは圧倒的な露出度を誇るブラジリアンビキニ。

 その名の通り、美尻大国ブラジル発祥のビキニで、お尻を覆う布面積が小さいのが最大の特徴。ヒップラインを強調することで脚長効果が期待できるセクシーな水着。

 よほどスタイルに自信がないと着られない上級者向けの一着。

 似合っているけど知人が着ているのを見るのは少し複雑。


「さぁ、遠慮せず褒めてみろ」


 俺が褒める前提で感想を求めないでほしい。

 一緒にいるこっちの方が恥ずかしいなんて言えない。


「……大人の女性ならではの魅力って感じですね」

「さすが凛久、よくわかっているじゃないか!」


 腫れ物に触れるような当たり障りのない感想だけどお気に召したらしい。

 菫さんは水着モデルよりしくポーズを決めながらドヤ顔を浮かべてせる。


「これでビーチの男どもを根絶やし——いや、根こそぎ虜にしてみせる!」


 世の男性諸君を滅ぼすような言い間違いはやめていただきたい。


「「「…………」」」


 夏鈴たち三人も俺と同じ感想なんだろうな。

 微妙な笑みを浮かべながら菫さんを見つめていた。

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