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【書籍発売中】あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
二章 一色夏鈴

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第17話 水着のお披露目会

「このテント、ベッドが四つしかないんだけど」


 確かに夏鈴の言う通り。

 五人に対してシングルベッドの数は四つだけ。


「このグランピング施設は一つのテントに最大四人までなんだが、無理を言って五人で泊めさせてもらったんだ。一人は誰かと一緒に寝るから大丈夫と伝えてな」


 つまり、この中の二人がベッドを共にするということ。

 この手の状況になると決まって起こる問題が一つ……。


「それなら、あたしがりっくんと一緒に寝る!」


 夏鈴は隣においでと言うようにベッドをポンポン手で叩く。

 さすがにみんなの前で添い寝はまずいと思いつつ、いつものように悠香が『早い者勝ちじゃなくて公平に決めるべき!』とか言って割って入ると思いきや。


「夏鈴、さすがに男の子と女の子が同じベッドで寝るのはダメでしょ。私が菫さんと一緒に寝るから、凛久には一人でベッドを使ってもらうのはどうかな?」


 悠香は夏鈴を優しく諭し、優等生よろしく模範解答を口にした。


「菫さん、いいですか?」

「ああ。私は構わないぞ」

「くっ……」


 張り合うどころか至極真っ当な意見に黙り込む夏鈴。

 みんなの前ということもあって反論できずに口を尖らせる。

 自分の意見が却下された不満もさることながら、いつものように張り合ってこない悠香に肩透かしをされた気分なのか、張り合いがないようでつまらなそう。

 ちょっと残念な気がしなくもないけどベッド問題は無事解決。

 こうして俺たちは海水浴の準備を始める。


 女性陣はテントで着替え、俺は外のサニタリール―ムで着替えることに。

 着替え終えると外に並べられた椅子に座り、海を眺めながら四人の着替えが終わるのを待つ中、眼前に広がる爽やかな景色とは対照的に俺の脳内は煩悩まみれ。

 というのも、テントの中から楽しそうな声が漏れてきているから。

 男なら女の子の黄色い声を聞いて妄想せずにはいられない。

 いったいどんな水着を見せてくれるのか?

 期待にあれこれ膨らませていると。


「お待たせ♪」


 夏鈴の元気いっぱいな声が聞こえて振り返る。

 瞬間、心臓が爆発するんじゃないかと思うほど大きく跳ねた。


「……生きててよかった」


 感動のあまり、思わず小声で本音を漏らす。

 そこには彩り豊かな水着に身を包む美少女たちの姿があった。


「待たせてごめんね」


 そう口にしたのは薄手のパーカーを手にした悠香。

 天真爛漫な悠香らしい情熱的な赤色をベースとした花柄のフレアビキニで、華やかなデザインながら派手すぎることはなく、いかにも健康的な美少女といった印象。

 動く度に揺れるフリルの扇情的な動きに胸元から目が離せない。

 いつもは下ろしている髪をまとめているのも好ポイント。


「そ、そんなに見られると恥ずかしいな」

「ご、ごめん!」


 謝る時点で下心があると白状しているようなもの。

 我ながらガン見していた自覚があるから言い訳の余地もない。


「いいの……でも、感想くらい聞きたいな」

「か、感想——!?」


 まさかの一言に思わず声が裏返る。

 積極的な夏鈴ならともなく、悠香に感想を求められるとは思わない。


「えっと……それは、その……」


 頬を赤く染めている悠香を前に俺まで恥ずかしさが込み上げる。

 悠香とは夏祭りに告白されて以来、今までとは明らかに関係が変わったように感じている。それは悠香の俺に対する態度だけじゃなく、俺の悠香への態度もそう。


 一言で言えば、好きかどうかはともかくお互いに意識しているということ。

 ていうか、こんな美少女に告白されて意識しない男なんていないだろ。

 ただでさえ女の子を褒めるのは恥ずかしいのに二倍恥ずかしい。


「……悠香らしくて似合ってると思う」


 瞬間、恥ずかしさで耳が熱くなる。


「あ、ありがとう……」

「ど、どういたしまして」


 さすがに羞恥プレイにもほどがあるだろ!

 二人揃って火が付いたように顔を赤くしていると。


「……怪しい」


 夏鈴はなにかを察したらしく疑いの視線を向けてくる。

 逃れようと視線を逸らした先には莉乃さんの姿があった。


「あ、あの……」


 莉乃さんは姿勢を正すと恥ずかしそうに目を伏せる。

 そんな莉乃さんが着ていたのは、鮮やかな緑色をしたスカートタイプのワンピース。ビキニより露出は少ないけど、上品な感じが莉乃さんらしくて似合っている。

 なにより驚いたのは、タイトな水着によって露わになった豊かな双丘。

 どうやら莉乃さんはアンダーが細くて着やせするタイプらしい。


「ごめんなさい……ビキニを着る勇気はありませんでした」

「あ、謝るようなことじゃないですよ!」


 あまりにも俺が悠香をガン見していたからだろう。

 莉乃さんに余計な気を遣わせてしまって自己嫌悪。


「清楚な感じでいいと思います。むしろワンピースの方が莉乃さんの雰囲気に合っているというか、莉乃さんほどワンピースが似合う人もいないというか」


 我ながら歯が浮くような台詞だけど気を使わせまいと褒めまくる。

 すると莉乃さんはそわそわした様子で辺りを見渡した。


「……わたあめも連れてくればよかったです」

「わたあめを? どうしてですか?」

「今、無性に猫を吸いたい気分です」


 莉乃さんにとって猫の匂いは精神安定剤。

 緊張している時や照れている時に猫を吸う癖がある。

 本人曰く、猫吸いには高いリラックス効果があるそうで、今みたいに動揺している時はわたあめのお腹に顔をうずめて深呼吸。猫を一発キメると落ち着くらしい。

 だけど残念ながら、わたあめは家でお留守番中。


「そ、そんなに見つめないでください……」


 莉乃さんには申し訳ないけど、いつも落ち着き溢れる和風美人の莉乃さんが照れまくっている姿は滅多に見られるものじゃないから少し得した気分。

 年上女性の羞恥に満ちた表情って妙にそそられない?


 もちろん悠香を褒めた時と同じように俺も恥ずかしいんだけど、自分よりも恥ずかしがっている人の前にすると不思議と気持ちが落ち着くんだよな。


「よし。準備もできたし海水浴場へ向うか!」


 おかげで冷静さを取り直し、いざ出発しようした時だった。

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