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あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
二章 一色夏鈴

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第16話 初めてのグランピング

 猫まみれを後にすると高速道路に乗り一路大洗へ。


 途中、サービスエリアで休憩を挟んで走ること約二時間。

 高速道路を降りて海岸沿いの道に出ると目の前に海が広がった。


「すごーい!」


 助手席の夏鈴は楽しそうな上げながら窓を開ける。

 すると、風と一緒に潮の香りが車の中に流れ込んできた。

 青い海と真っ白な雲が浮かぶ空の先、海と空を繋ぐ水平線がどこまでも続く。

 視界いっぱいに広がる海と、夏の日差しを受けてキラキラと輝く海面。沖にいくほど青みが増していくグラデーションに目を奪われずにはいられない。

 誰もが言葉を忘れて見惚れていたると。


「……海って、こんなに広いんだね!」


 隣に座る悠香が風になびく髪を押えながら感嘆の声を漏らした。


「悠香は海に来たことがないって言ってたよな」

「うん。子供の頃は連れてきてもらえなくて」


 それは当時、病気を抱えていたからだろう。


「だから、今日は思いっきり楽しみたいな!」

「無理だけはしないでくれよ」

「うん。心配してくれてありがとう」


 大丈夫だと思うけど気に掛けるようにしよう。

 夏祭りの夜に気づいたように、悠香は夢中になっていると疲れや痛みに鈍感になる。菫さんじゃないけど病人とメンヘラの『大丈夫』は信じちゃいけない。


 病気が治ったとはいえ、悠香が楽しんでいる時の大丈夫は要注意。

 まぁ心配ないとは思うけど念のため。


「目的地が見えてきたぞ」


 海に向けていた視線をフロントガラスの先に向ける。

 すると海岸沿いに見慣れない建物が並んでいるのが見えた。


「さぁ、到着だ」


 こうして本日お世話になるグランピング施設に到着。

 駐車場に車を停めて敷地内へ向かうとドーム型の白いテントが並んでいる。

 テントの隣にはプレハブみたいな小屋があり、キッチンやトイレの他、シャワーなどを完備したサニタリールームになっているとホームページに書いてあった。

 敷地内には似たようなテントが二十棟ほど並んでいて『海までゼロ秒!』というキャッチコピーの通り広大な海と砂浜が広がっていた。


「菫さん、あたしたちが泊まるテントはどれですか!?」

「そう焦るな。受付を済ませてくるから少し待て」

「はい。お願いします!」


 夏鈴は管理棟へ向かう菫さんをハイテンションで見送る。

 すると、我慢できないらしく敷地内を見て回りだした。


「みんな見て。キャンプファイヤーがある!」


 夏鈴が指を差す先にある広場に目を向ける。

 そこにはレンガで囲ったスペースがあり、中に木材が積み重ねられていた。周り椅子が並べられていているのを見る限り観賞用のスペースといったところだろう。

 パタパタと走っていく夏鈴の後を追いかける。


「夜になると火がつくのかな?」

「ああ。そうだと思うぞ」

「超楽しみだね!」


 夏鈴のハイテンションは留まること知らず鼻歌交じりに超ご機嫌。

 そんな夏鈴の姿を見て、俺は少しだけホッとしてた……というのも、菫さんが海水浴旅行の話を持ち掛けた時、なぜか夏鈴だけが乗り気じゃなかったから。

 なにかあったのかと心配していたけど元気そうでひと安心。


「待たせたな。さぁ部屋へ行こう」


 受付を済ませて戻ってきた菫さんの後に続く。

 俺たちが利用させてもらうのは海に一番近いテント。

 菫さんが鍵を開けてドアを開くと夏鈴を先頭にいざ入室。


「やばっ!」


 足を踏み入れた瞬間、夏鈴が感嘆の声を上げる。

 それもそのはず、テントの中は驚くほどお洒落な空間が広がっていた。

 南国の海を思わせるようなエメラルドグリーンの生地に覆われ、床には砂浜に似た模様の白い絨毯。鮮やかなピンク色のカーテンは海中のサンゴ礁を連想させる。

 海をコンセプトにした内装はもちろん窓から望む美しいオーシャンビュー。

 海までゼロ秒を謳っているだけあって最高のロケーションだった。


「えいっ♪」


 夏鈴は荷物を床に置くなりベッドへダイブ。

 ベッドの上でくつろぐ姿はさながら生足へそ出しマーメイド。

 思わず窓の外の絶景よりも夏鈴の無防備は素肌に目を奪われる。


「グランピングのテントって広いんだね!」

「それに設備も整っています」


 続けて入ってきた悠香と莉乃さんの言う通り。

 外観からして広そうとは思ったけど、中に入ると実寸以上に広く感じる。

 それは単純に広いからだけじゃなく、高い天井がそう感じさせるんだろう。

 室内にはエアコンやテレビ、冷蔵庫はもちろん、ベッドとテーブルとソファーも備え付けられていて、テントというよりもお洒落なリビングといった感じ。

 ここに住みたいくらいの快適空間が広がっていた。


「これで温泉も付いてたら最高なんだけどね」

「さすがにそれは贅沢すぎるだろ」

「だよねぇ」


 思わず苦笑いを浮かべる夏鈴。

 まぁでも、その気持ちはわかるよ。

 以前、再建活動後に日帰り温泉施設に行って依頼、実はみんなで度々足を運んでいるんだけど、最近の夏鈴は温泉がマイブームらしくて一人でも通っているらしい。

 作業で疲れる度に『温泉に行きたい!』と口癖のように言っている。


「よし。さっそく準備を済ませて——」

「その前にちょっといい?」


 海へ行こうと言うより早く、夏鈴が待ったを掛けた。

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