表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理系蛮族日誌  作者: Thera
12/15

理系蛮族の就活・だいじぇすと・改

 卒論に集中できない……


 いや、初稿は提出し終わってるから、あとは修正かけていくだけなんですけどね。私の卒論って、ぶっちゃけ


【集めたデータが新手法開発どころか定量評価にすら至らなかったため、成果なし】


 なんですよね。何度も何度も「わいの一年は無駄でした」っていう文章書いてるとなんか萎えちゃってですね。

 どうしても作業できないので、一筆書いたら、という条件を己に課すことにしたのでありますよ。


 さてさて、博物館についての話はもっと頭が働いてるときに書きたいので、今日は別の話題……


 理系蛮族の就職先って何があるの? そもそもあるの? という話です。



〇〇〇


 単刀直入に言いましょう。理系蛮族系の研究室にいたとしても、それだけで就ける職はほぼないです。どの職種でも、資格や経験、技術の有無が問われます。以下に主流な職種を記しますね。


【理系蛮族が就くことのできる職種】

〇研究員

 (修士や博士前提)

〇公務員

 (事務業務含む。地方によって林業・農業・一般事務職など受験する課が異なる)

〇鳥獣専門指導員

 (前提として二年以上の経験が必須。というわけで学位卒では厳しい。求職が非常に少ない)

〇植物園・動物園・博物館勤務

 (学芸員必須。欠員が出ない限り求職が出ない)

〇警備会社勤務

 (警備と、中型哺乳類の駆除を並行で行う。警察に進む人も多い)

〇環境コンサルタント会社

 (基本的には修士卒以上を優遇。学位卒でも採る場所は取るらしいが、修士と争う事を前提に)

〇樹木医

 (これだけではたぶん仕事にならないので、造園に関わる他の資格や必要と考えられる。樹木医補の資格を在学中に取得し、卒業後に樹木医試験に受かる事が必須)

〇フランス(ジビエ)料理店の解体業務

 (営業と並行。シカが解体できれば大丈夫らしい。求職サイトではなく転職サイトで一か所発見)

〇NPO職員

 (普及啓発などが中心。妖しい団体も多いので、団体に対するリサーチが必須。一年に一回、一人取るか取らないかくらいの頻度で求職が出る)

〇NPO職員・狩猟捕獲業務

 (狩猟免許・自動車免許MTが必須。こちらも一年に一度取るか取らないかという頻度)

〇NPO職員・観光ガイド

 (本職さんと少しお話ししただけで、あんまり調べてはいないです。話術と自動車免許は必須。こちらはATでも)

〇林業組合

 (チェーンソーとお友達。林業関係の知識が必要。求職はそれなりにある)

〇農協職員

 (あんまり調べてないです)


 ……まぁ知ってる限りだとそんな感じです。

 そういう就職先があるという事を知らずにいた私が、求職を始めた三年生時点で所持していた技能と、求職した(見ただけのとこもある)場所で、最低条件として求められた資格や技能も以下に記しましょう。あ、私が調べた範囲だけですからね?


【三年生時点で所持していた・取得する予定があった技能】

〇自動車免許(MT)

〇野外災害救急資格(救助の期待できない野外・あるいは災害時のみ、一部医療行為が制約付きで許可される)

〇森林情報士二級(卒業時に取得予定)

〇テレメトリー調査(動物の遠隔調査)の技術

〇解体・解剖の技術

〇コンパスを用いた山地図の読図


【求職時に求められた技能一覧(閲覧のみ含む)】

〇 自動車免許MT……かろうじて持ってる

〇 森林情報士……ある

〇 解体・解剖……できる

△ 読図……なんとか

△ テレメトリー調査とGISソフトの併用……なんとか

× 狩猟免許……取ってない

× 測量士……三角関数に敗北

× 学芸員……取ってないし募集されてる専門分野が違った

× 獣害対策業務に二年以上携わった経験……ない

× 今までに書いた論文の提出とプレゼン……卒論書けてない

× 【大前提として】修士・あるいは博士卒である……進学しない


 持ってた技能が〇、いやこれは無理だってのが×です。

 ……もうね、最後の一文を求めてくる場所が多すぎて絶望でしたよね。狩猟免許は持ってないし、そもそも取る金と精神的余裕がなくて、就活に間に合わなかったです。

 

 まぁ、そんなわけなので現時点で獣害対策分野で働いてる人に、学位卒は少ないと思います。基本的に即戦力となる技術者が求められているんですね。

 でもまぁ、やはり人手不足が顕著みたいなので、各地で未経験者を取ろうとする動きは徐々に出てきています。


 ちなみに、大学のキャリアセンターは一回行っただけで二度と行きませんでした。提出した会社の名前など誰一人しらず、提出書類の下書きを見せても『この会社何?』『読図って?』『狩猟免許……?』って感じだったのでなんか虚無りまして。なんかもう、自力でやるしかなかった()


 学位卒で卒業し就活をする上で、最も一般的なルートは全く関係ない会社か、公務員ですね。

 『林学』『農学』という分野の中で、獣関係の知識を活かせたら……という期待を以って受ける人が多いです。


 一般ルートで入る公務員は、獣害対策分野の中では最も安定し、給料もそれなりのルートになるでしょう。

 問題は、公務員と言う立場上、数年おきに業務内容が変わってしまうこと。

 それから『新しいこと』をやるのではなく『現状を維持すること』を得意とする機関なので、獣害対策という新しい業務で立ち回るのがそもそも難しいという事……ですかね。


 周囲からの聞きかじりではありますが……新しい事をやりたい、創意工夫をしたい、というたちの人間は、入る場所を選ばないと苦しい思いをするかもしれないです。

 

 私も最初は契約が2年以上ある公務員を目指していたんですが、地元で獣害対策に携われる分野が『一般』での受験になってしまうので、ちょっと断念した感じになります。私、事務職とかすごい苦手なんです。にゃはは。


 さて、一般企業への就職でリクルートサイトの使用が可能なのは……警備会社と料理店、それに環境コンサルタント会社ですね。

 たぶん、警備会社は最も一般的です。屋根裏に住み着いてる中型哺乳類だとか、白アリだとか……そういうのの駆除を行う業務になります。


 料理店ってのは、ジビエ料理を扱う場所での解体作業です。私が調べた場所は、シカの解体ができれば大丈夫、とのことでした。まぁなんとかなる。


 他に、牧場なんかもちょっと調べてました。

 直接の応募は出してなかったんで、そういう品を扱ってる酒場に行って、店主さんに名刺貰って調べたりとかしました。

 現時点では求職サイトより、その辺の酒場の方が就職先探すのに便利です(遠い目)


 環境コンサルタント会社は……一般ならともかく、技術者として入るなら修士に行ってないとスムーズには入れないでしょう。

 というわけで私の就活候補からは早々に落ちた会社が多いですね。数自体そんなにないけど()


 さて、他に求職先として探せた場所は、NPOや、立ち上がったばかりの合同会社なんかです。

 学会で話した方から名前を聞いただとか、酒の席を渡り歩いているうちに辿り着いた、という場所が多かったですかね。


 たぶん獣害対策の分野に行きたいという人は、こっちをメインに探す事になるでしょう。


 ただ、求職サイトには載っていない就職先ですし、どこも一年に一人取るか取らないか、というハードルの高さです。

 ひとりひとりの人柄を見て採用するかを決める場所が多いでしょうから、受け身でいてはまず採用されません。

 バイトなどに積極的に応募し、顔を覚えてもらう事が大前提となるでしょう。

 NPOは一年雇用や二年の契約雇用が前提の場所も多いですから、安定した職場を目指すなら公務員や警備大手会社などの方が向いています。

 ちなみに業務内容は、電気柵や罠の開発、中・大型動物の捕獲業務、普及啓発の為の講演や指導なんかが一般的です。私はこっち系の業種に入ろうとしてます。

 


〇〇〇



 そんなわけで理系蛮族の就活は、

 

 ふつうの就活よりも技能重視なので資格は三年生までに取る、求職サイトででるような大手は修士以上必須、そこに出ないような就職先は酒場、学会、話術で探す! 狩猟免許はなくても就職できるけど後で取ることになる事が多いし、マニュアル車は運転できないと調査できない!

 

 ……と、そんな感じになります。ぶっちゃけ、スーツの出番はほぼなかったです。

 

 それとつい先日、獣害対策分野に特化したリクルートサイトが開設されたので、私以降の後輩たちはそれを活用出来たらなあ、と思っています。


 さてさて、いい加減卒論に戻るとしましょう。博物館に関してはまた後日お話しします。あでぃおす!


 

これを書いた当時は知らなかったんですが、非常勤として鳥獣害対策の専門員や地域おこし協力隊を雇う自治体は増えています。2年であちこち移動できるバイタリティがあれば、けっこう雇用先があるということで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 酒場で就活って、ゲームだけのお話じゃなかったのですね! (´⊙ω⊙`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ